新しい風<公益社団法人 宮崎市郡医師会のBLOG>

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今、求められる手術同意書のあり方(会報No989)

2013年07月01日 | 一語一話
宮崎市郡医師会病院 専従医療安全管理者 西内 明美(2013-7-1)

 医療過誤訴訟では、適切な説明が行なわれなかったことが争点となることが多く、その場合、同意書は重要な証拠書類となります。侵襲を伴う手術や検査・処置はハイリスクな診療行為となり、説明と同意が必要になり、書面による同意を得る必要があります。治療や手術の同意書には、事故があっても異議を申し立てないという内容の同意書と、具体的な内容について説明を受けた上で同内容について同意をするという形のものがありますが、前者のような同意書は効力がないという判決があり、現状では後者の形式の同意書が必要となっています。
 治療や手術についての説明の内容は、診療録へ記録するか、同意書とともに説明文書にします。説明文書は同意書と一体をなすものであるので、患者に説明文書を渡すとともに、患者に渡した同じ文書を診療録に保管します。説明文書を別に説明書として作成した場合は、説明書および同意書は原本を診療録に保管し、複写を患者に渡します。
 説明内容には、
1.診断名、病状
2.予定している手術、麻酔の名称と方法 
3.予定している手術により期待される効果と限界
4.予測される合併症と危険性及びそれに対する回避策
  (危険性や合併症の発生頻度については、できるだけ自施設での最近のデータを提示)
5.予測できない偶発症の可能性と対応策
6.手術をしない場合に予測される症状の推移
7.代替可能な他の治療法などの有無。有る場合にはその内容および利害損失 など
 ほかに、セカンドオピニオンを求める権利、同意を保留する権利の保証や、手術実施前であれば同意を取り消すことができることなどについて説明し、そのことを説明書などに明記しておくことが求められます。
 手術同意書には 1)説明医師名 2)説明医師以外の同席者(医師・看護師など病院側の立会人) 3)説明日時 4)診断名、病状 5)予定している手術、麻酔の名称と方法 6)患者および家族などの説明を受けた者の署名と住所などが必要な事項となります。患者や医師、同席者の署名は自署でなければなりません。よく家族が患者に代わって署名をしていることがありますが、代筆はしないように説明する必要があります。自署に加えて捺印までの必要はありません(書類に“印„ が設けてある場合には必要)。
 説明は原則として患者本人に行ないますが、できるだけ家族の同席を求めるようにします。患者が心身障害のために判断能力がない場合や署名不能の場合は、最近親者又は後見人や扶養義務者に説明を行い同意を得ます。緊急時、患者の意識がなく、代理決定する人が明確でなかったり、連絡がとれないような場合には、事前に説明し同意が得られなくても患者にとって最善の方向で治療開始することは許されます。ただし、できるだけ早い時期に患者および家族に説明し了承を得ます。その場合、同意書の日付は同意書に署名した日付となります。患者が自身への説明を希望しない場合は、患者が希望する家族などの代理人に説明し同意を得ます。患者が未成年の場合には、親権者などに説明はしますが、患者本人にも理解しやすい表現で説明します。
 今日、インフォームド・コンセントが重要視される背景には、医療訴訟の問題があります。同意書の重要性が高まっていますので、同意書作成と同意を得る際は説明事項の漏れや、記載間違い、患者の記載漏れなどの不備のないようにすることが必要だと思います。尚、帝王切開の手術説明書と同意書を例として添付しましたので、ご参照ください。
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