新しい風<公益社団法人 宮崎市郡医師会のBLOG>

会員の皆様と執行部の間で双方向のコミュニケーションを図り、宮崎市郡医師会の公益目的事業を遂行します。

建替整備計画の進捗状況(会報No1,090)

2017年09月15日 | 一語一話
宮崎市郡医師会 会長 川名 隆司(2017-9-15)

 本会は現在、久米設計と共に医師会病院・臨床検査センター・成人病検診センター・看護専門学校・事務局の一体的な設計業務を進めています。基本設計後の実施設計では、その段階から工事施工者が持つ独自の技術や経験・知識を設計に反映させるECI(Early Contract Involvement)方式を採用しています。そして、工事施工者に対して、建設コスト高騰の抑制を鑑み、資材の機能や品質を維持したまま経費を下げる改善案であるVE(Value Engineering)提案を求めることとし、施工応募の4者(清水建設、大林組、フジタ、戸田建設)に対し、7月29日、選定審査を実施いたしました。各者の提案は、病院建築の経験と知識、技術の高さが活かされ、独自のノウハウに基づいた特徴も見て取れ、本事業にふさわしい意欲的な内容でした。その中で、基本計画や基本設計の意図を汲んだプレゼンテーションを展開し、且つ概算事業費も妥当と思われた戸田建設を選定、8月9日の理事会で承認いたしました。
 そのような経緯の中、先日、ある会員の先生から新医師会病院の進捗状況について、下記の質問が寄せられましたのでご回答申し上げます。

Q-1)この問題に限定した説明会を開催
A-1)今回、本誌面で概要をご説明いたしますが、ご不明な点は12月9日(土)宮崎市郡医師会産業医部会総会・産業医研修会の後に説明会を開催し補足したいと思います。

Q-2)新病院の規模、診療科構成
A-2)所在地:宮崎市大字柏原・大字有田、敷地面積:約45,000㎡、階数:地上6階・ペントハウスフロア1階(ヘリポート)、構造:鉄骨造・免震構造、最高高さ:32.7m、建築面積:9,839㎡、延べ床面積(病院棟・緩和ケア棟・看護専門学校棟・院内保育棟・エネルギーセンター棟):30,095㎡、病床数:267床。診療科は、内科を拡充、循環器内科・緩和ケア科・外科・心臓血管外科・整形外科・産婦人科は現状維持、放射線科はMRI導入のため1名増員、麻酔科は手術件数増に対応するため1名増員を検討しています。新設の救急科には4名の専門医が赴任予定です。

Q-3)資金計画
A-3)事業費の殆どを自己資金と借入金で賄う予定です。補助金に関しましては、確定分と未定分を含め一応期待できる金額を想定しており、今後、行政と具体的な協議を行ってまいります。また現在、金融機関6行と金利等の融資条件について擦り合わせを行っており、9月中に1行を選定したいと思います。なお、具体的な金額につきましては、紙面では差し控えさせていただきます。

Q-4)市行政、県行政との協力関係
A-4)移転地の用地取得及び造成工事は、宮崎市の防災支援拠点整備事業として行われることになっており、今年度より造成工事に着手しています。また、財政的支援につきましても、災害時拠点強靱化緊急促進事業に係る補助金等の協力を得られる見込みです。一方、宮崎県とは、地域医療構想に関連する地域医療介護総合確保基金の支援を上申する所存です。

Q-5)地域住民、隣接行政との話合い
A-5)平成28年7月、宮崎西IC周辺防災支援拠点整備事業の造成に係る実施設計並びに都市計画に関する地域説明会を4回(有田地区、富吉地区、柏原地区、地区役員)実施しています。また同年8月、地質調査のための地権者訪問及び説明会を5回行いました。平成29年2月には、基本設計の概要を戸敷宮崎市長に説明いたしました。今後、実施設計が終了し詳細な工事計画が定まった段階で、再度地域住民等への説明会を予定しています。

Q-6)医師会員の医師会病院の診療科に対する要望(具体的にどのような診療科を充実させるのか)
A-6)
①内科:医師会病院等建替整備将来構想の策定時に行った会員アンケート調査結果に基づき、現在の内科に加え、呼吸器内科、消化器内科、総合診療科の拡充を考えています。これにより、他診療科の入院患者の合併症に対応、また会員からの紹介患者の円滑な受入れを目指します。なお、既に招聘活動が実り、本年7月、新たに総合内科医1名を招聘することができました。
②緩和ケア科:外来や在宅医療で終末期医療を担っているかかりつけ医からの依頼に応じて患者を受け入れ、緩和ケア医療を行っています。現在は、がん患者が中心ですが、今後は、難病や末期の心不全・呼吸不全患者への対応も想定しています。また、2025年問題に関連して、会員の後方病院としての機能をより求められると予想されます。新病院では、会員との連携をより緊密にし、患者や患者家族、かかりつけ医等の多様なニーズに臨機応変に対応、在宅の末期患者を速やかに、確実に受け入れる体制整備を行います。
③外科:主な診療領域は、食道・胃・大腸・肝胆膵等の消化器系のがん、胆石症、閉塞性黄疸等の腹部外科領域ですが、ヘルニアなどの一般外科領域にも対応しています。また、外科手術症例の約4割を急性虫垂炎・イレウス・消化管穿孔、吐下血等の急性腹症が占めている状況です。夜間や休日もオンコール体制で24時間365日可能な限り急患を受け入れ、緊急手術も積極的に実施しています。新病院では、これらの体制を維持しつつ、現状では他病院のシェア率が高く、また将来的に医療需要の増大が予測される「がん」に今以上に対応すべく、診療機能の強化を目指したいと考えています。
④整形外科:高齢者の大腿骨頸部骨折や小児の骨折等の外傷を中心に診療しています。特に股関節大腿骨近位骨折における人口骨頭挿入術の症例数は、平成27年度全国2位(343例)でした。当科は緊急手術、高齢者の手術も多いため合併症には細心の注意を払い、循環器内科や麻酔科との連携を重視しています。手根管症候群や肘部管症候群等の慢性疾患から、人工関節(股・膝)置換術等まで幅広く対応し、会員のニーズに的確に応えています。
⑤放射線科:引き続き、紹介患者及び入院患者の各種画像診断を行います。新病院では、MRIの導入を計画していることから、放射線科医の増員を目指します。
⑥麻酔科:常勤3名で、年間1,700件を超える麻酔症例に対応しています。新病院では、「救急科」等の診療科の新設に伴い、麻酔科医の増員が望ましいと考えています。
⑦救急科:新病院では、宮崎大学医学部附属病院救命救急センターとの連携・協力体制を構築する所存です。救急科は、ER専門医が重症度や疾病の種類、外傷の部位などに関わらず、全ての急患に対応します。一方で、医師会病院に併設する宮崎市夜間急病センターは、主に夜間帯に発生した軽症の救急患者に対する医療(応急処置)を提供しています。当初はER専門医4名の体制ですが、その定員では夜間急病センターの業務の全てをカバーすることは困難であり、将来的に増員等が図られるに伴い同センターの運営を見直したいと思います。なお、小児の準夜帯及び深夜帯の診療に関しては、県立宮崎病院の敷地内に整備されている宮崎市夜間急病センター小児科が引き続き初期救急を担います。
⑧心臓病センター(循環器内科・心臓血管外科):心臓病センターには、循環器内科医が24時間待機しています。また、夜間・休日もオンコール体制で心臓血管外科医及び循環器内科医が急患に対応、会員医療機関や救急隊からの受入れが常時可能な体制を維持しています。最新の医療機器による専門的先進医療を担い、全県から多くの症例を受け入れています。平成27年度、急性心筋梗塞の患者数は2,073例で、全国10位でした。また、平成24年10月からはモービルCCUを導入し、県内全域の重症心臓疾患患者を対象とした救急医療を提供しています。
⑨地域周産期母子医療センター(産婦人科・新生児科):地域周産期母子医療センターの認定を受け、出産前のモニタリングや出産並びに産後の救急症例・手術を全て同センターで完結できる体制を整備し、周産期を対象とする地域の中核医療機関としての役割を果たしています。また、新生児特定集中治療室(NICU)を有し、かかりつけ医や宮崎大学医学部附属病院ときめ細かな連携の下、質の高い医療を提供しています。新病院においても、引き続きオープンシステムを活用しながらハイリスク分娩等に対する医療機能を更に充実・強化し、会員への支援を行っていく所存です。

Q-7)医療環境の厳しい中、国家財政も破綻状態で、医療費抑制策は強行されると予想されます。収支計画の見通しは
A-7)本会は、平成24年8月に公益社団法人として認可されましたが、その要件の中でも、収支相償等の財務3基準については厳格な遵守、管理が要求されます。今後、医療費抑制策は確実に強行され、更に厳しい経営を強いられることは間違いないでしょう。このような状況下、収支計画のシミュレーションは、慎重の上にも慎重を期し、想定しうる事態を考慮して、あらゆる角度から分析を行いました。その結果、開院後7年目には経常利益も黒字化し経営は安定、借入金の元金返済に充当する営業キャッシュフローも確保できる見込みです。今後、運転資金の確保や収支相償の問題も含め、金融機関や行政と経営の安定を維持する更なる交渉も必要になると考えています。尚、借入金の償還年数は30年(猶予2年)を予定しております。

Q-8)同規模の会員中小病院との共存策
A-8)救急医療を担う中核病院については、平成26年度の宮崎市医療提供体制将来構想策定委員会において、救急搬送時の交通アクセス等を考慮し、宮崎市の東部地域、西部地域、南部地域、北部地域という地域バランスを図る必要があると結論づけられました。その結果を受けて、新病院は西部地域に新たに整備されることとなった経緯があります。また、今回整備できなかった診療科については、圏域内の医療機能を把握し、限りある医療資源をこれ以上分散させることなく、近隣の会員医療機関と棲み分けを図ることで対応したいと考えます。当院は救急及び急性期医療に特化し、治療後に速やかに地域の会員医療機関に転院できるよう機能分化を推進しながら、地域医療連携の強化、入退院支援の充実を図り、会員医療機関との共存を図りたいと思います。

 この本会諸施設の建替整備事業は、2025年問題に対する地域医療構想及び地域包括ケアシステムの推進に深く関わっています。本事業は平成32年度に完成予定ですが、各々の会員医療機関の将来ビジョンをサポートしながら、共に宮崎市郡の在るべき医療提供体制の構築を目指してまいりたいと思います。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加