カバ社長の日記 caba note

壁画やオブジェの制作会社ビッグアートの社長日記。「面白くなければ人生じゃない」がモットーの熱い熱いカバ社長の物語です。

シャッターアートの思わぬ効果

2011-07-18 15:12:59 | 地域活動
シャッターアート。
店が開いている時間に見られないというのが、最大の弱点。

そのため、「せっかくシャッターに絵を描いても、もったいない」とか「看板として意味がない」という声がほとんどで、ビッグアートとしてもこれまであまり積極的に取り組んできませんでした。

春日部駅東口地区、つまり「旧・粕壁宿」の地区に昔の面影を再生してまち歩きを楽しく演出し、来街者を増やそうという「日光道中・粕壁宿」景観再生プロジェクト。
当初は、蔵づくりの建物に調和する建物の装飾塗装や壁画、老舗看板や日よけ幕などの設置をめざしてスタートしました。
ところが、建物に手を加えるとなると、なかなか話が前に進みません。
苦肉の策として、シャッターに「粕壁宿」をイメージする壁画を描いて、宿場町の雰囲気を演出しようと方針を転換。
すると、あっという間に希望者が集まり、4~6月で9店舗も施工することに!
しかも、希望者が次々と名乗りを挙げ、後を絶ちません。
正に、うれしい悲鳴です。
商店会の役員の方々も、「こんな現象はここ20年以上なかった」と驚いています。

短い期間でシャッターアートの思わぬ効果や成果に遭遇し、思わず興奮しました。

<その1>
「シャッターアートは、朝と夜しか見れないから、看板としても景観演出としても効果が期待できない」というのは固定観念だということ。

実施した店主からの意外な喜びの声。
「今まで来たことのない新しい顔の客が来るようになった」
「『今まで10年以上も店の前を歩いて通勤していたのに、店の存在に気づかなかった。』という客が来店した」
「『朝の散歩中にシャッターの絵を見て面白そうだったので』といって昼間来店してくれた客がいた」

ここで気づいたのは、
・昼間見えるはずの看板が、意外と人の目に留まっていないこと。
・昼間は、お店のファサード(建物)のイメージや店頭の演出物、POPなどの方が看板より効果的である。
・文字だけの看板では、目が流れてしまい、特定の看板に目が留まりにくい。
・朝や夜間のお店が閉まっている時間帯の方が、看板が目に入りやすくお店が探しやすい。
・シャッターに絵を描いている店がほとんどないので、目に留まりやすい。
・文字より絵で情報を伝えた方が、一目でわかり印象に残りやすい。
・お店の間口の側面か上方に設置された看板より間口一杯で人の目の高さで見えるシャッターアートの方が、位置的にも、露出面積でもはるかに有利に目に入る。
ということです。

看板はどの店にも付いているが、無数の中から選ばれる確率は低い。
早朝や夜間はほとんどの店のシャッターが閉まっていて無地なので、シャッターアートは突出して目につきやすい。
誰もが頑張っている部分で一番になるのは難しいが、誰も努力していない部分で一番になるのはたやすい、ともいえます。

<その2>
シャッターアートに参加した店主の意識に、大きな変化が現れたこと。
やる気満々で、お店の陳列やディスプレイ、店頭演出まで変わってきたことです。

店主の声からもそれが伺えます。
「シャッターの重みを毎日感じます。この絵に負けないような店にならないと!」
「観光客が入ってくるようになって、道案内や店紹介ができないので、みんなでまちの勉強会をやりたい」
「シャッターに連続して絵を描いていけばもっとまちが楽しくなるから、隣近所にも勧めてみる」
「シャッターアートの絵を店内にも飾った。ホームページやチラシにも活用したい」
「シャッターアートをやった店同士で、新しい販促活動をやっていきたい」
私自身、この10年ほど中心市街地の活性化活動に参加してきましたが、こんな頼もしい元気な声を聞くのはハッキリ言って初めてです。

このように、シャッターアートはお店のお客様や市民に対するアピールだけではなく、店主に向けてのエールの役割も果たしているようです。

そして、店主やおそのお客様たち、市民の方たちの笑顔がまた、私たちのエールになるのです。

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「絵を描く仕事」の可能性を広げる視点

2011-07-18 11:44:46 | アートと仕事
絵を描くことを仕事にしたい人は限りなくいますが、実際に仕事にありつける人となるとほんの一握り。
実際に絵を描く仕事に就いても、十分な収入を得ている人や安定して仕事を継続している人となると、そのまた一握り。
というのが実態です。

このことは、絵を描くことが仕事として成立しにくいことを物語っています。

では、絵やアートの需要がないかというと、その逆で、無限にあると私は実感しています。
問題は、ビジネスモデルがないんです。
イラストレーターやアニメーター、絵本作家なども、ビジネスモデルが古いため仕事として続けていくのは厳しいのが現実です。

昔からあった仕事は、人件費の安い海外や技術革新よる機械化という流れに押しやられ、低生産性、低賃金という厳しい環境を強いられています。

つまり、ただ絵を描くだけでは価値を生み出せない時代に突入したのです。
それは、絵に限らずすべての業種、職種にも言えることです。
「ただつくるだけ」「ただ売るだけ」といった単純労働の仕事は、どんどん機械に取って代わられていきます。
機械より安い低賃金の労働力だけが、まだ生き延びているという構図です。

私も、壁画を中心としてウォールアートという仕事に18年間取り組んできましたが、こうなる予兆は15年以上も前から気づいていました。
そのため、単純で安直な楽な仕事は避けて、新規性のある仕事、提案性の高い仕事に特化してきました。

「オンリーワン」「価値の創造」「視点を変える」・・・・私の口癖であり、それは外に向けてというより私自身をインスパイアする言葉です。

ビッグアートでは、以前から続けてきた既存の仕事を脱ぎ捨てる努力を続けています。
壁画を描かないとか、デザイン塗装をしないとか、オブジェをつくらない、ということではありません。
全く新しい仕事の枠組みに切り替える、という作業です。

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実は、絵を描くことそのものは仕事にはなりにくいのです。
というより、仕事にはなりません。

「誰のために絵を描くのか」
「何のために絵を描くのか」
つまり、絵を通して「何をどう変えるのか」です。
絵によって、どんな価値を作り出すのか。

今、絵で食えないという状況は、その絵がほとんど価値を生み出していないからです。
つまり、描いた絵が人に対して社会に対してあまり意味がないということです。
絵は上手いにこしたことはことはありませんが、上手いだけでは意味がありません。
仕事の対価は、提供した仕事によって生み出した価値に対する報酬です。

その人が8時間もかかって描いた絵が、コピー機で簡単に出せるものと同じ価値しかなければ、10円の価値しかありません。
つまり、8時間で10円の稼ぎしかありません。

ビッグアートの仕事、「シャッターアート(壁画)」に例えてみましょう。

<ケース1>
シャッターに、決まった原稿の絵を描くだけなら、描き賃(作業費)をいただくだけです。
相場は、インクジェット出力のシートを貼る料金との比較になるでしょう。

<ケース2>
シャッターに、お店の魅力をアピールし、入店を促進する絵を描いたらどうでしょう。
集客力アップを目的としたシャッターアートです。
月商1,000万の店が1,200万円に業績アップしたら、年間2,400万円の売上貢献です。

<ケース3>
もし、シャッターアートでその街の歴史や文化を体系的に描き、街の景観づくりや観光化という一大プロジェクトを実現したなら、・・・・・どうででしょう。
そのことによって、川越市のように年間200万人もの観光客が訪れるような効果を生み出すとしたら。
街に及ぼす経済効果は、年間68億以上と試算されています。
街の努力次第で、それを倍にすることも十分可能です。

<ケース1>~<ケース3>の事例からシャッターアートの成果を比較したら見えてきます。
同じように見える仕事でも、視点を変え、目標を変え、コンセプトを変えたら、生み出す価値の規模は、何十倍にも何百倍にも何万倍にもなるということです。

絵を描くのが得意というのは、歌が得意、車の運転が得意、話が得意・・・・・というのと同じです。
それは誰もがそれぞれに持つ個性、能力特性のひとつにすぎません。
問題は、それが凄いか凄くないかではありません。

ここに時速300キロで走れるスーパーカーがあるとします。
でも、30キロ以上のスピードで走ることがないとしたら、大して自慢になりません。

つまり、どんなに絵が上手くても、それをフルに引き出し、それに見合う価値の仕事をしなければ無用の長物でしかありません。

そのカギを握るのは、
「絵を描くことを仕事にしたい」ではなく、
「絵を何のために使うのか」です。

絵を描ければどんな仕事でもいい、という人はビッグアートでは要りません。
絵を活用して、人々が喜んでくれる「家」や「まち」をつくることが、ビッグアートの使命です。
絵を使って、「家」や「まち」の空間価値を創造していくこと。
目を少し転じてみると、まだ誰も手がけていない仕事が際限なく見えてきます。

既存の価値や枠組みから脱して、より高度な価値を模索していけば、新しい成長への道が開けてきます。
手描きの壁画、手づくりのオブジェがデジタル化の波に押し勝っていく、いや共存していく世界がすぐ目の前に来ています。

絵の仕事は、本当に楽しい!

手描き、手づくりのアートの未知なる可能性を求める情熱のある人、来れ!

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粕壁宿を演出するシャッターアートたち(その1)

2011-07-04 00:39:23 | 地域活動
「日光道中・粕壁宿」景観アートプロジェクト。

外壁やシャッターに描いた壁画やべんがら塗料などで古来の風合いで再生した壁などで、かつての宿場町の面影を再現。
粕壁地区の由来や歴史を歩きながら感じとってもらい、現存するまちの景観や風景に愛しさや愛着を抱いてもらいたい。
まちのストーリーを楽しみながら、そこに流れる独自の空気感を味わって欲しいというのが狙いです。
今まで見過ごしていた建物や街具が、特別な意味を持って話しかけてきて、街中が劇場のようにドラマチックに見えてきたらどんなに素晴らしいことでしょう。

今年の1月から6月末までに9ヶ所に施工しました。
まだまだささやかですが、旧きよき粕壁の薫りを感じとっていただけたらと思います。

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まずは、公園橋脇の公衆トイレです。
近くに、船着き場や粕壁宿の目印だった碇神社のイヌグスの木など、古利根川周辺の風景をイメージして壁画にしました。



老舗の和菓子店「江戸助」です。
店名をイメージした役者絵と看板商品の花餅を表現しました。



老舗の煎餅店「利根川せんべい」です。
店名通り古利根川をモチーフにしました。



煎餅店「栃惣」です。
建物の木部の部分をべんがら塗料で塗り替え、壁に春日部のシンボルで「藤の花」の絵を描きました。



作業着と祭り用品の店「田中屋」です。
江戸時代のテイストで「祭り」を表現しました。



創作惣菜店「Bien(びあん)」です。喜多川歌麿の「ビードロを吹く女」を「食べる女」にアレンジしました。



おしゃれの店「もりいずみ」です。
江戸時代の文様で「おしゃれ」をイメージしました。



靴の店「くわばら」です。
大正時代の女性を描き、袴に編み上げの靴というコーディネートで新鮮なアピールをしました。
女性が手にしているのは、当時流行っていた「令女界」という雑誌。
時代考証も抜かりありません。



今は空き店となっている店舗です。
宿場町当時、このあたりに「米問屋」がありました。



このように、粕壁宿の歴史や宿場町のテイストで街並みに統一感とストーリー性を与えながら、お店の個性(業種やこだわり)も表現することで、粕壁にしかない独自の壁画を展開しています。

今後も、シャッターアート(壁画)を中心に制作を続けていきます。
粕壁地区に賑わいが戻ってくることを夢見て!


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「日光道中・粕壁宿」景観アートプロジェクト

2011-07-03 14:49:07 | 地域活動
春日部駅東口地区は「旧日光道中・粕壁宿」として栄えた宿場町です。

最近、市民の高齢化が進んだせいでしょうか、まちを散策するお年寄りをよく見かけるようになりました。
「ぷらっとかすかべ(かすかべ情報発信館)」ができ、観光ガイドのボランティアの方々の活躍も功を奏しているようです。
まちの散策コースが6つもあるそうで、団体の観光客をガイドしている光景も珍しくありません。
観光のまち「かすかべ」への動きがようやく形になってきたようです。

私たちも、アートで「まちの景観づくり」や「ストーリーづくり」をお手伝いするチャンスです。
・まちなかにある史跡や老舗や古い街並みを壁画でつなぎ合わせ、「点」を「線」にしていくこと。
・近代的なビルに挟まれて見捨てられているように見える史跡や古い家を、当時のような魅力に蘇らせ、周囲の景観がそれらを引き立てるように修景デザインを施していくこと。
・現状のまちの景観からは感じ取りにくくなった歴史やまちのストーリーを、壁画で再現、補完することで観光ガイドの役割を果たし、まち歩きを楽しくすること。

具体的には、
・老朽化した古い建物を、べんがら塗料やしっくいなど風情のある伝統的な材料や手法で修復、再生する。
・老舗店には、日よけ幕やのれん、家紋、欄間看板、金箔カマボコ文字看板などで老舗感を演出する。
・シャッターや外壁に壁画を描いて、時代感(江戸、明治、大正、昭和初期)を演出したり、粕壁宿の歴史を再現し、街並みにストーリーをつけていく。
・店頭閑地を活用してポケットガーデンやもてなしのオブジェを設置し、くつろぎ感やワクワク感を演出していく。
などなど。

従来のハード型のまちづくりではなく、人々の心や感性に訴えるソフトなまちづくり。
便利さや快適さ重視の都市開発ではなく、「温かさ」「遊び心」「出会い」「発見」「感動」といった人々の心に響くまちづくりが求められていると実感します。

その意味では、アートやデザインが本領を発揮する「出番」の時だと思います。

一朝一夕でできることではありません。
5年、10年と長い年月をかけて、着々と続けていくことです。
ただ、もたもたしているとチャンスを逃しかねません。
タイミングとスピードも成功のカギを握っています。

そのため、達成目標と行動計画を立て、優先順位を決めて即行動しなければなりません。
今年は全社挙げて、まちのシャッターや外壁に壁画を描いていきます。
目標は、今年度内に30ヶ所達成。
それは、「発火点」を意味します。
今年すでに、9ヶ所を施工しましたので、残り21ヶ所です。

不安がないといえば嘘になりますが、何が何でもやり抜かなければなりません。
「粕壁(かすかべ)」が元気を取り戻すために!

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デザインって、本当に楽しいですね!

2011-07-01 12:07:22 | アートと仕事
「日光道中・粕壁宿」景観アートプロジェクト。

春日部駅東口地区(旧宿場町「日光道中・粕壁宿」)の面影を取り戻して、まち歩きを楽しくすることでまちに活気を取り戻すことが目的です。

その活動の一環がシャッターアートや壁画による「粕壁宿」のストーリー化です。

6月末は、春日部駅東口地区でのシャッターアートを5件の制作しました。

あるシャッターアートのデザイン案ついてレポートします。

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店舗名:びあん(創作惣菜店)
場所:春日部駅東口のロータリー付近

かつての宿場町の面影を伝えながらお店をアピールすることがデザイン目標です。
店主からは「市松模様を入れてほしい」という要望がありました。
ターゲットは、ヤングからシニアの女性層です。

店主はフランス料理にこだわるオーナーシェフ。
この店の客層は、そんなシェフのグルメなファンです。
そこで、江戸時代の浮世絵「ビードロを吹く女」(喜多川歌麿)のビードロを箸に差し替えて、「上品さ」と「食」をイメージしました。



江戸時代の浮世絵を少しリメイクすることで、宿場町の演出とお店のアピール(業種とこだわり)が同時に表現できました。
しかも、店主からの要望だった市松模様も着物の柄の中に実現できました。
浮世絵と「Bien(びあん)」というロゴの組み合わせも新鮮で、ちょっとお洒落です。

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統一感のある「まちの景観」と「お店の個性」を融合させるシャッターアートのデザイン。
今回は何とかうまくいきましたが、毎回物件ごとにさまざまな障害があります。
しかし、デザイン目標とさまざまな与件をうまくクリアして「ストレート」で「シンプル」なデザインにたどり着くプロセス。
デザインの醍醐味は正にそこにあります。

デザインって、本当に楽しいですね!

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