@りえ記

観劇と気になる記

2008年5月の観劇記

2008年05月31日 | 観劇記
5月の観劇記

2本しか観なかった4月の反動か、今月は11本。リピートなし!
のべにすると3日に1本以上で、それもどうかと思いますが(笑)観ちゃったモノは仕方がない。

5/06 昼 SE・M・PO@神戸オリエンタル劇場
5/11 昼 空中サーカス@福岡市民会館
5/16 昼 ルドルフ・ザ・ラストキス@帝国劇場
5/16 夜 瞼の母@世田谷パブリックシアター
5/17 昼 わが魂は輝く水なり@シアターコクーン
5/17 夜 志村魂3@天王洲銀河劇場
5/18 昼 失われた時を求めて@ベニサンピット
5/20 夜 ギンギラ太陽ズBORN TO RUN@西鉄ホール
5/21 夜 ドラキュラ伝説@福岡市民会館
5/25 昼 ベルサイユのばら外伝~ジェローデル編~@福岡市民会館

SE・M・PO@神戸オリエンタル劇場
 東京公演を観た友人から勧められたのと、知っている役者さんもたくさん出ているし、ちょうど友人との旅行が和歌山で1日居残れば観れるということで観ることに。A席でしたが1階の15列目でよく観えました。
 キャスト発表されたときに頭をかしげた、杉原千畝さん役の吉川晃司さんですが、歌い方もほとんどの人が彼の名前を聞いたときに思い浮かべたシャウトした唄い方ではなく、ミュージカルでの唄い方とそして立派な紳士ぶりにふさわしい不思議な響きがあるセリフの声に驚きでした。
 作品的には、わかりやすくしようとしてわかりにくくなっている国際情勢の風刺シーンや、千畝さんがあの行動に踏み切った理由にもう少しつっこんで欲しかったというような部分もあるものの、千畝さんがどういうことを成し得た人かということは非常によくわかったし、中島みゆきさんの歌も非常にハマっていて、興味深く観れました。
 あと印象的だったのが、一時期ちょっと唄い方が苦手だな・・・と思ったこともあった井料瑠美さんの歌声が非常に澄んで美しく、心を打たれました。

空中サーカス@福岡市民会館
 かろうじて危ういバランスを保っていたサーカス団という閉じられたコミュニティがムチャクチャな医者の闖入で崩れ落ちそうになる様を多少シニカルさとコミカルさを交えながら見せてくれた作品。サトエリのエロ気ムンムンのスーパー看護婦がツボでした。

ルドルフ・ザ・ラストキス@帝国劇場
 「エリザベート」では、トートの策略によって死んでしまうルドルフ殿下ですが、こちらの作品では、見事なダメ男くんに描かれてて、確かにこの人為でこの情況になってしまったら、そりゃ死んじゃっても仕方ないわ・・・と納得。マリーちゃんは、冒頭は打算的に生きていこうとしていたのに巻き込まれてちと可愛そうな気もしましたが、2人がどんな形だったにせよ、何よりも愛を選んだということもわかりました。曲もドラマティック。
 額縁の演出や中世絵画モチーフの美術は興味深かったですね。答え合わせしたい気もしました。

瞼の母@世田谷パブリックシアター
 「蒲田行進曲」以来、草なぎ君の舞台は観ていなかったのですが、今回は高橋一生くんも出ることだし観る気に。しかしチケット取れるのか? と思っていたところ抽選先行の申し込みに平日で入れたのが当たり観ることができました。O列でしたが世田谷パブリックセンターでは観難いことはありませんでした。これでこれまで薄らぼんやりとしか知らなかった「瞼の母」がどんな話かわかったのは収穫でしたが、草なぎ君は連ドラや映画のPRでちゃんと稽古時間が取れたのかな? と思ってしまう感もあり。周りが芝居巧者ばかりなので尚更。

わが魂は輝く水なり@シアターコクーン
 大好きだった「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」と同じ蜷川&清水コンビで歴史モノとくれば観ないわけにはいかない。会員優先にはハズれちゃったのですが、友人の分のチケットもあったので、DMメール優先の日に地元のぴあに並んでGET。その甲斐はあったなという満足が得られた作品でした。やはりこういう実際の歴史上の人物に、人間世界で投げかけ続けることを重ね合わせた物語は好物らしい。
 相変わらずの蜷川さんの舞台創り上手さと、武将たちの思いの外コミカルな掛け合いに魅せられていると、「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」ほど70年安保とは重なってこない。巴が義仲ということで、ようやく永田洋子に思いが到るほど。
 誰もが相手を狂気といい、自分だけはまともだと思いながら非人間的な行いにつきすすむ様は、確かにそれをオーバーラップして描かれたものであろうけれど。ただ、あえてその色を薄めさせたのは、もしかすると「これは過去の話ではない」ということなのかもしれない。
 キャラクター的には、もの凄い人たちの中の普通の人に思いいれしてしまうので「早く木曽に帰りたいよお」と弱音吐きまくりの兼光ちゃんがお気に入りで、死んじゃったの?と思ったところ、生きていてホッとしました。
 あと「赤い月」でニヒルな諜報員だった長谷川博己さんが、飄々とした大将役でなごませてくれました。間が面白いんですよね。
 心に残った一言は、尾上菊之介さんが自身の最期を父に語る「本当に痛みはなかったのですよ」。傷ましく切なく心に響きました。

志村魂3@天王洲銀河劇場
 3ですよー、3でアホに・・・ではないですが。数字のついてない頃から観ている人間にはもうかなり観込んでるネタも多いのですが、今回は全国公演でまだ1度も観たことのない皆さんもかなりいると思われるのでしょうがないかも。わかっていても面白い、というのもあるし。やはり子どもの頃ドリフ観てた世代としては、チラっとでも東村山一丁目の白鳥が見られたりするのも嬉しいですしね。
 お芝居は新しい作品で古きよき時代の人情喜劇。形而上的な現代演劇でああだこうだと考えるのもいいけど、こういう作品もホッとします。たまには出てくる人がいい人ばかりの芝居を観るのもいいものです。
 しかし、1,2,3とリピートしているスレた観客は、突発的に見える失敗も、打ち合わせ通りなんだろうなと思ってしまうところが寂しいところ。(翌日に見た友人に確認したらやはりそうでした)でも初めて観た人は、きっと今日だけ失敗しちゃったんだろうな、と思うだろうなと思うくらい自然に見えるところは、さすがのプロの技なのです。


失われた時を求めて@ベニサンピット
 阿佐ヶ谷スパイダースがベニサンピット! というのは、私にとってかなり魅力的な興行で、上京日程とかぶってくれたのが有難かったです。
 長塚版ゴドーを待ちながらな趣の作品でしたが、これまでとここ、これからの時間の曖昧さ、確かと不確かの境界の難しさ・・・月の明かりの下では、すべてが危うくイトオシイ。


BORN TO RUN
 ギンギラ太陽ズの秋の一ヶ月公演にむけての前哨戦、1時間のミニ・シアターです。
この公演の嬉しいところが、初日が18時半開演と20時半開演の公演だったこと。
 20時半なら早めに仕事を切り上げなくても楽々行けちゃう。
 いつもなら西鉄ヤクザバス軍団が出てくる開演前の記念撮影タイムですが、やはり地元の旬のネタということで、突貫工事で作成された「ほっかほか亭」軍団対「ほっともっと」軍団になってました。(福岡では5月16日から、ほとんどのほっかほか亭がほっともっとに屋号を変更したところ)さすがです。私はといえば携帯を忘れたため撮影できず、残念~。今度からデジカメを持っていくべきだわ。
 で、今回のお話は0系新幹線と呼ばれる初代新幹線さんが主役。最高速度は250kmといいつつ、営業速度は220kmだった、とか、ひかりレールスターは280kmで0系より30分も早く新大阪に着いちゃう・・・とか、相変わらず豆知識の宝庫。ひかりレールスターのマンマ・ミアちっくなヒューヒュー言うキャラ・デザインはナイス。BORN TO RUN、走るために生まれた0系のひたむきさと、諸外国の新幹線開発に与えた影響などの実際の史実もあいまって、今回も胸を熱くさせられました。「翼をください」のYSさんもひよこ侍もオイシイ役どころで登場。
 7月の「女ビルの一生」もできれば観たいものです。

ドラキュラ伝説@福岡市民会館
 名古屋公演を観た岡幸二郎さんの興奮冷めやらぬままに書かれたブログを読んで、俄然興味がわいてきて急遽観ることに。平日公演だけど、強制退社日の水曜日だったので問題なく観ることができました。
 赤毛モノなのに所作とセリフは時代劇とか、フライングするならもっと効果的なシーンがあったんじゃ・・・とかいう野暮なツッコミは、ひとまずおいて楽しむが良しの作品です。出演者のほとんどがミュージカル界で「間違いなし」の実力派なので、歌もダンスも充実の内容でステージングもそれをよく活かしていて魅せられました。
 ストーリーもわかりやすく、それぞれのキャラクターがこう行動する理由の部分もちゃんと描かれていました。
 園岡さんのメフィスト怪しすぎ! 綜馬さんのヴァン・ヘルシング、ドラマチックすぎ!(結果的に何もしてないことになってしまったところも)。
 マツケンさんの伯爵と光枝さんのじぃの掛け合いは、なかなかにほほえましく楽しかったけれど、この作品、井上芳雄さんとか浦井健治さんあたりで、帝劇でやったら結構ファンの人は嬉しいんじゃないかと思ったり。
 観終わって、思っていたよりはるかに満足度が高かったので、会った人には勧めまわってしまった。得チケも出ているようですし、多くの人に観てほしいものです。

ベルサイユのばら外伝~ジェローデル編@福岡市民会館
 怒涛の観劇月間を締めくくるのがこの作品です。今月市民会館に3回も来ちゃいましたよ。迷っていましたが3000円で譲ってもらったので、観ることにしました。3、4年ぶりに宝塚ファンの友人Tどんに会ってびっくり。「そういえば、このへんの人だったねえ」という彼の現住所は当然、福岡ではない。いろいろな先入観から、昔の宝塚の「オスカル編」のような???作品になるのではないかと思っていたのですが、少女マンガの王道ともいえる、まともなストーリーでした。
 娘役トップさんの演じられていたヒロイン、フェルゼンの妹ソフィアの澄んだ歌声と凛としたお芝居が印象的。アントワネット様とアンドレは出てこない代りにマロングラッセばあや大活躍でしたが、キャラの頭数上、オスカル様がお笑い担当になってしまうのは、ファンの人的にはどうなんでしょう・・・。
 ショーはやはり宝塚ならではの華やかさで、ピンクのドレスの群舞などは、女要素少なめなワタクシでも、うっとりさせられるところがありました。
 アラン編は近くに来ないから観られないけど、秋に福岡に来るベルナール編はぜひとも観たいものです。

08南紀旅行

2008年05月06日 | 旅ネタ
GW熊野旅行

今年のゴールデンウィーク(GW)は、熊野古道。いつもながらMちゃんと「そろそろ決めんとやばいよ」のノリで、皆がまだ行ったことがないところで行きたいところという条件で選んだのが3月。
も少し早く決めてれば~と思うところもあり、私も含め3月は爆忙の面子が多い中、テキパキRNちゃんのおかげで、よさそうな宿が一泊、最悪泊まるところがないということだけは避けられるような保険の宿を一泊抑えることができて、無事、今年も行くことができました。

山口・広島の中国地方組の2人は新幹線ということで、私も同行することも考えたのですが、JALがマイルキャンペーン中で2000円ぐらいで変更可能なビジネス切符なら、通常300マイル弱のフライトマイルが1000マイルになるということで、迷わず飛行機で。結構時間があるつもりだったのですが、飛行機に搭乗し、出発時刻になった時点でスチュワーデスさんのアナウンス。「当機はまだ60名様のお客様の搭乗をお待ちしています」。そういえば満席だって言ってたのに空席が目立つと思っていたところ。60名は団体客ではなく、バラバラのお客さんで空港までは着いているものの、GWの手荷物検査場の混雑でゲートまでたどり着けないとのこと。
結局15分遅れで出発。予約した段階では、新大阪で和歌山行き特急「くろしお」に乗り換えるのは余裕だったハズなのですが、結構気ぜわしくホームへ行くことになってしまった。ホームに下りたところで、中国地方組と偶然、合流。
3人なのでくろしおの座席は2・1に。1のMちゃんは初対面の隣の愛知県からきたというお嬢さんと道中すっかり仲良くなっていて、さすがでした。

ずいぶん前に和歌山に行った友人からは、「くろしお」の揺れがキツいときいていたのですが、車両が改良されたのか、そんなに感じませんでした。
和歌山につくとマイクロバスでレンタカー屋まで連れて行ってもらいました。ずいぶん離れたところにあるなあと思ったのですが、2時間後の東京組との合流までに時間つぶしに行こうと思っていた「とれとれ市場」のすぐ近くでラッキー。
「とれとれ市場」は、やはり人が多く、大変な賑わいで丼モノは長い行列ができていたので、寿司と海老の焼き物をチョイス。GWじゃなくて、もっと空いてる時期にきたら、ぜひ丼モノにチャレンジしたいところです。
おなかもいっぱいになったところで、梅干売り場の方に移動。しかしそこはあまりに梅だらけで、まるで自分が梅の流れでもまれている感じ。私もちゃんも、もう何を買っていいやらわからなくなったのですが、一粒200円なりの金粉のかかったダイヤモンド梅を1個買ったMちゃんはエラい。あとでダイヤモンド梅を少しだけ味見させていただきましたが、甘みがあって「これはお茶菓子だね」とのMちゃんの感想に納得の味でした。
 とれとれ市場の後は、東京組と合流し熊野古道の王子のひとつである不寝王子へ。王子って何でしょうね~と言っていたら地元の人が「昔のドライブインのことよ」と明快なお答え。だから道に沿っていくつもあるんですね。
 不寝王子の後はとりあえず宿「湯の峰荘」に行き、荷物を置いて熊野の本宮へ。駐車場やお店もほとんど店じまいまであとわずかというところでしたが、ざっと階段をのぼり、ざっと見ました。まあ明日が本番ということで。熊野の守り神は八た烏ということで、グッズがいっぱいありました。八た烏のモチーフはどれもカッコいいですね。日本サッカー協会のマークはずいぶん昔から八た烏だそうで、決めた人、ナイス!
湯の峰荘へ戻り、お楽しみの夕食! ここは料理に力をいれている宿というふれこみに間違いなし。熊野牛の焼き物も美味しかったけど、鮎が刺さって出てきたのに驚きました。もちろん鮎も美味しかったです。
 翌日の朝は温泉粥をいただいて、近所にある「つぼ湯」に。今でも入れるのに驚きましたが、少人数ずつ交代で入るシステムのようで、これもさすがに待ってられない。
 再び本宮に行き、何柱もある神様に参った後、熊野古道短めコースの不拝王子(ふしょがみおうじ)へ。なんと我々は不拝王子へ行く唯一の市営バスに定員オーバーで乗り切れず、親切な地元の観光関係の女性の手配してくれた車とタクシーに分乗して向かいました。
不拝王子からは、本番の古道歩き。やはり森の仲を歩くのは気持ちいいですよ。そりゃ大分の家に帰れば、徒歩1分で同じような道を歩けますけどねえ・・・旅先だし。
 しかしそれにしても不拝とかいて「ふしょがみ」って読むのは、カッコいい。「不拝史朗の事件簿」とかミステリ書いたら、それらしくないですか(笑)。
 熊野古道歩きを堪能した後は新宮と那智の大滝のある那智大社へ。那智の大滝の姿は本当に美しく、これを神様だと考えた古の人の気持ちがわかるような気がしました。
 滝の美しさとともに印象に残ったのが、参道前の階段! 神社に参るにはつきものとはいえ、本気で苦しかった~。
 2日目の宿は白浜近郊の椿楼、温泉はいいが食事が・・・という評判の宿でしたが(動き始めたのが遅かったため、選択肢がなかった)、食事は普通で、大浴場の設備がイマイチでした。まあこれは夜に入ったせいで、窓からの眺望がいい昼間に入っていればまた感想が違ったかも。
 3日目は風が強く、雨も降ったりやんだりの生憎の天気でしたが、千畳敷、三段壁という、白浜に行っココ行っとかないと! な観光スポットに行き、誰かがカメラをかまえると、雨がやむという幸運に恵まれました。きっと誰かの行いがいいのですねえ。
 前にMちゃんが入ったときに、営業時間ぎりぎりでお湯がぬかれて落ち着いて入れなかったという崎の湯は、こんかいちゃんと入れてリベンジ。私は入りませんでしたが、斉明、天智、持統、文武の四天皇も入られたとか。なんとなく4人で入ったイメージを抱いてしまいましたが、斉明、天智、持統の3人は持統の幼い頃ならありそうだけど、文武は持統の孫だから無理ですねえ。3人も別々に行幸されたのだろうなあ。
 和歌山は思ってた以上に良い湯どころで、あとどこ行っても弁慶伝説があるのに、ちょっとびっくり。(お父さんが熊野別当だという伝説があるため)大昔に書きかけてやめてしまった、弁慶が主役の自分の小説をちょっと思い出したりしました。