地域の未来・志援センターからのお知らせ

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地域デザインスクール第六回講座

2005-11-15 | 地域デザインスクール
以下の要項で地域デザインスクールの第六回を開催しました。

■─┐━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│6│ 持続可能な地域づくりの道具箱(その2)   講師:井上淳之典
└─┘━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   日時:10月29日 (土)10:00~16:30
   場所:あいちNPO交流プラザ 会議室B
   内容:~「志」をカタチにするツールを手に入れ身につけよう ~
      地域通貨ゲームや、マーケティングゲームを通して、
      問題解決のプロセスデザイン手法を学びます。

‥ はじめに

9月3日(土)に行われた第二回講座:持続可能な地域づくりの道具箱(その1)に続く井上さんの2回目の講座です。

その1では、グローバルな市場での競争をやめ、「地域」に持続可能な循環型共創市場をつくる必要性を、会社経営のシュミレーションゲームを通じて体感しました。

では、持続可能な循環型共創市場をデザインするには、どうすれば良いのでしょうか?

‥ グローバルな貨幣経済がもたらすもの

井上さんの指示で参加者全員に定額のオモチャの紙幣が配られ、架空の取引を相手を変えて何度か繰り返すというゲームから講座はスタートしました。

3回ほど相手を変えて取引をしたころに、井上さんから「終了」の合図がありました。それぞれの所持金は、元手の3倍ほどのお金を取得した人(あらかじめ稼ぎまくるよう密命をうけたスタッフ)から、ほとんど使い果たした人まで、かなりの格差になっていることがわかりました。

「今、この講座の中が一つの地域だとして、一番お金が集めた人が都会の人なり企業と考えてみると、これはどういうことを意味しているでしょう?」井上さんの問いかけに、すかさず「地域の市場からお金が都会に流出していき、地域はどんどん貧乏になる!」という参加者からの答が帰ってきました。講座も6回目に入り、参加者の感覚も鋭くなっているようです。

こうして、グローバルな貨幣経済システムそのものが、経済格差と地域経済の衰退を生み出す元になっていることを実感したわけですが、では、経済が循環し、地域が活性化するにはどうすれば良いのでしょう? 次の展開に期待が集まります。

‥ 地域通貨の可能性と課題

ここで、井上さんから、ある領域だけで流通する通貨 - 地域通貨の説明と、実際に使われている様々な種類の地域通貨の紹介がありました。

地域通貨は、多数の自発的な参加者が、必要なモノやサービスを提供しあう、お互いの信頼を基盤とした通貨です。限定された地域でのみ流通するため、地域経済が活性化するだけでなく、人々の間に協同や信頼の関係を築き、地域のコミュニケーションを多様で豊かなものにします。

地域通貨の種類は多種多様です。紙券、通帳、コイン、石や木、といった形状も様々ならば、利用形態も、地域の商店街で利用できるものから、ある事業のたすけあい活動にだけ使えるものなどいろいろです。井上さんが会場の南側にずらりと並べたサンプルは、どれもユニークで、見ているだけで楽しくなります。

次はいよいよ「感謝循環ツール“ポート”」を使った地域通貨ゲームです。

まず、それぞれの参加者は、紙の左半分に提供できるモノ・コトを、右半分に有ると嬉しいモノ・コトを列挙します。順番に読み上げたあとで、白版に貼り付け、自分の欲しいモノ・コトを提供してくれる人、あるいは、自分の提供できるモノ・コトを欲しそうな人に交渉し、交渉が成立したらそれをポートという単位で重み付けをし、手形形式の地域通貨でやりとりします。その際、裏面に取引経路を記述していきます。記載の多さは、人のかかわりの広がりとコミュニケーションの流れを伝えます。また、一枚の地域通貨は、発行者に戻った時点で清算され、通貨の価値はなくなるしくみです。

貨幣経済では見えてくることのないであろう、社会のなかの様々な価値、そして、それをお互いに提供しあう人の関係の豊かさを、地域通貨がもたらしてくれるかもしれない、そんな可能性を、このゲームを通して実感することができました。

ゲームの次は、地域通貨の先端事例「イサカアワー」のビデオ鑑賞です。

ニューヨーク州にあるイサカ市は人口3万人、豊かな農村地帯で、コーネル大学のある街としても知られています。地域通貨のイサカ・アワー(Ithaca Hour)には「Time is money」と印刷されており労働時間を単位としていますが、市場で商品との交換もできるし(レートは交渉で決まる)、ドルとの交換も可能とのこと。99年までの8年間に日本円に換算して800万円相当が流通しており、経済効果におきかえると2億円以上にもなるそうです。

とはいえ、イサカアワーのように地域通貨が成功している事例は大変少ないそうで、地域内で自給可能な市場(農産業等)があったことや、地域に大学があったことで、進歩的な考えの人が多かったことが成功の大きな要因として挙げられていました。

地域通貨は、流通するための環境や条件を整えることや、運営コストをどう分担していくか等々解決すべき課題が多いこともあって、残念ながら日本においても、うまくいっているケースが少ないのが現状なのですが、井上さんは、地域通貨に大きな可能性を感じているそうです。

‥ ソーシャルマーケティングでローコスト社会を!

最後は、マーケティング・ゲームです。

ゲームでは、それぞれの課題を自ら設定し(問題意識を明確にする)、その課題に基づいて複数の人にインタビューを行い(マーケティング活動)、そこで得られた情報をポイントレビュー紙(素材データのカテゴライズとランクづけ、イメージ図など)にまとめていくことで、課題の本質を整理し解決をさぐります。

インタビューに際しては、何を聞いても良いですし、話したくないことは話さなくても良く、聞かれていないことを話してもまたかまわない、というのがこのゲームのルールです。

設定された課題は、「豊かな社会ってどういうこと?」「市民がエネルギーを選べる社会にするには」「どうしたら自分の目標(使命)が見つけられるか」といったかなり大きなテーマが多かったのですが、いずれも密度の濃いインタビューが行われました。

複数の人にインタビューすることで、課題をさまざまな異なる視点でみることができます。また、情報を上手に整理することで、課題を取り巻く様々な事象や、その関連といった総合的なイメージが、さらには課題の本質も、少しずつ見えてきます。

このあと、出来上がったシートを発表し意見交換を行う予定でしたが、残念ながら時間がなくなってしまい、後日全員のシートを配布することにして、井上さんから、マーケティング・ゲームの意味や目的について説明がありました。

マーケティングというと、企業がいかに利益を上げるかということで行われるリサーチ活動を連想することが多いのですが、ここ20年ほどの間に変化し、社会的な価値をどのように生み出すかという視点が大事にされるようになってきたとの事です。マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラーによって、その動きは「ソーシャルマーケティング」として提唱され、非営利事業やボランティア活動に応用されるようになっています。井上さんはそのソーシャルマーケティング(S.M.)のポイントを、以下のようにまとめて説明されました。
  • S.M.には、人々の認知、行動・行為、習慣、価値観を変革させるという4つの目標(パラダイムシフト:枠組みの変換)がある。
  • S.M.は、相手との対話や関わりの中で、新しい価値を産み出す「関係作りの社会的作法」である。
  • S.M.は、地域をどう経営するかを含めて見直し、デザインする、自然系、社会系、経済系といった系(ネットワーク)のマーケティングである。
  • S.M.の使命は、社会的な課題の発見と解決であり、その主なテーマはローコスト・ソサイエティをどう作り上げるかである。

‥ さいごに

地域が抱えている課題を解決し、持続可能な循環型共創市場をデザインするためには、いくつかの有効な手法 - たとえば、経済格差と地域経済の衰退には地域通貨の手法が、また、ローコスト社会をデザインするためには、ソーシャルマーケティングといった手法があります。2つのゲームを通して、それらの手法の有効性を、それぞれ少しずつ体感できた今日の講座です。

(事務局 筏井)

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