雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

沖縄の姿が「特殊指定」を巡る新聞社の姿にだぶる

2006-04-04 19:07:40 | メディア
 最近の(?)公取委は政府の先兵としての役割を担っているんではなかろうかと思われてくる。

『THE HARD CORE ナックルズ Vol.02』 2006年03月10日刊

 米軍再編の水面下でかけ引き激化
 沖縄カジノ加速で浮かぶ政治家の名前
 山崎拓、小池百合子、伊藤公介


 ライブドア事件で一躍、有名になった沖縄利権。
 その中でも永田町の連中が目をつけている最大の利権がある。
 それはカジノ構想。
 石原都知事の歌舞伎町お台場カジノ構想がほぼ霧消された現在、
 沖縄に金が集まり、それを求めて政治家たちが群がっていく。

 …(略)…
 すべてのカギとなる米軍再編=普天間飛行場問題については、目下のところ政府、県ともに妥協する余地は見せておらず、綱引きが続いている。政府は強権手段に出て、県の同意なしに基地移設を可能にする法制定の「禁じ手」を使うのでは── 一部にはこんな見方もあるが、具体的な動きはまだ見えない。しかし、政府が敢えて「禁じ手」を使うまでもなく、両者の力関係は今まさに、沖縄側の圧倒的不利に傾きつつあるのである。

 衝撃!公正取引委員会の一斉捜査

 2月14日、県経済界に衝撃が走った。公正取引委員会が昨年6月、県発注の工事で談合を繰り返していたとして、県内約160の大手土木建設業者に立ち入り検査を行った問題で、公取委がこれら業者に納付を命じる課徴金と県が業者に求める違約金(損害賠償、国税への追徴金)総額が200億円規模になるとの試算を、県建設業界が明らかにしたからだ。公取委は3月中に最終的な結論を言い渡すと見られ、処分を受ける業者は3~9ヶ月の排除措置を受ける。
 業界からは「これほどの金額を払うことは不可能。死刑宣告と同じ」「罰金に融資してくれるところはない」などと悲鳴が上がっており、数十社がいっきに倒産する可能性が指摘されている。
 談合そのものは、罰せられて当然の行為だ。しかし沖縄では、県内5千の建設業者が全産業の12%を占める7万3千人の就業者を抱えており、今回の問題が県経済全体を深刻な事態に導く可能性が高い。それでも沖縄側はなす術もなく、せめて本年度末の工事受注を可能にしようと、排除措置命令などの行政処分を3月末にするよう、県建設業協会が公取委に求めているのみだ。
 こうした事態の推移を眺めていて気になるのは、公取委による検査や処分の時期的なタイミングだ。
 公取委が昨年、沖縄で立ち入り検査を行った正確な日付は6月7日。チャーター機で150人の係官を送り込んでの大規模な”奇襲”だった。
 そしてこの数日後、普天間飛行場移設先にあたる県北部では地元建設業者らが、代替施設を既存の米軍キャンプ内に作ろうという防衛庁の「地上案」に対抗して、「浅瀬(埋め立て)案」を提案している。この「浅瀬案」については、埋め立て利権が欲しい地元建設業界、その利権と絡みついた防衛施設庁、米軍再編協議の主導権を防衛庁から奪いたい外務省、新基地建設の既得権を侵されたくない米国──この4者の合作であるとの説が有力なのだ。ちなみに、最近の「官製談合」事件で表面化した防衛庁と防衛施設庁の確執は、この時期にいっきに激化したと言われている。
 つまり公取委の電撃的な一斉検査については、「こうした動きに対する政府からの牽制だったのでは」(地元紙記者)との見方が根強くあるのである。
 さらに、公取委が沖縄の建設業者に処分を下す3月には、在日米軍再編の最終報告が出る予定になっている。はた目には、政府の沖縄関係閣僚・高官らは、米軍再編への理解を得ようと”説明行脚”を粘り強く繰り返しているだけに見えるが、実はそうではない。
 彼らが敢えて恫喝せずとも、沖縄に対する無言の圧力は、その重圧の度を水面下で増し続けているのだ。
 …(略)…
 いわゆる「沖縄利権」については、かつて一手に掌握していた自民党旧橋本派から森派に移行中との説をよく耳にするが、県建設業界の幹部に言わせれば、「たしかに、沖縄振興の予算確保は政治家にお願いしているが、それを執行するのは国交省」だという。沖縄を食い物にしてきた政治家と役所のラインが新たに「カジノ」を握るのを、世論が傍観するだろうか。…(略)…
 急に話題に浮上した新聞の「特殊指定」も、上の沖縄のような政府の戦略的意味のものであるのなら、考えを改めねばならないのかもしれない。
 これまで大メディアによる批判らしい批判がおこなわれなかった小泉政権は好き放題やりたいことをやってきた観があるが、いわゆる「4点セット(米国産牛肉の輸入停止問題、ライブドア事件、耐震強度偽装事件、防衛施設庁を舞台にした官製談合事件)」をきっかけのようにして、それら大メディアの批判報道も出てくるようになった。しかし、民主党の贋メール騒動で難を逃れたところで、その政府が政権批判を始めていた大メディアに釘をさすという意味で新聞の「特殊指定」の問題をちらつかせた、というのは有り得ることだろう。
 僕は現在の新聞を含む”世の中の基礎的事実の情報の流通”の惨状が今のままでよいとは思わず、新聞の「特殊指定」の撤廃がおこなわれることで全体の状況が改善の方向に向かうのであれば、撤廃は賛成である。しかし、政府が新聞を今以上に「官報化」、また「政府の広報化」たらしめんとしてこの新聞の「特殊指定」の問題を今回持ち出したのであれば、それに乗らないということが、状況の改善ということでは正しい対処だと思う。

参考:

「週刊ダイヤモンド」2006.04.08号

 米国の年次改革要望書と日本の”構造改革”
 関岡英之(ノンフィクション作家)

 米国の要求に隷従はやめ真に日本の国益を考えよ

 …(略)…
 年次改革要望書を介した「米国による日本改造」の実態は、「制度化された内政干渉」としか表現しようのない、主権国として尋常ならざるものだ。在日米国大使館がわざわざ邦訳しているぐらいだから、米国政府は内政干渉を隠すどころか、「これを読め、読んだらすぐ実行しろ」と日本人に迫っているのだ。にもかかわらず、日本の一般国民はむろん、与党自民党の国会議員にさえ、つい最近までその存在も、内容も知られていなかった。
 だが、知らなかったのは国民や国会議員たちの懈怠(けたい)ではない。説明責任を果たしてこなかった官僚と、報道責任を果たしていないマスメディアにこそ、最大の罪がある。米国の言いなりになっている官僚たちが、その事実を知られたくないと考えそうなことはわかる。だがマスメディアは立場が違うはずだ。新聞やテレビは、普段は政府だろうと総理だろうと容赦なく批判する。なぜこの問題に限っては取り上げようとしないのだろう。
 初めのうちは、私のほうが年次改革要望書のことを大げさに受け止めているのであって、プロのジャーナリストから見ればこんなものはまったくニュースバリューがないからなのかと思っていた。しかし国民の代表である国会議員、それも政権与党自民党の国会議員たちが問題視し、国会質疑でも取り上げたのだ。報道価値がないはずがない。しかし去年一二月七日に年次改革要望書の最新版が公表されたとき、新聞は一行も、テレビはひと言もこれを報道しなかった。日本の報道機関は、国民に真実を伝えていない。


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