雑木帖

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共謀罪:アメリカの「留保」内容

2006-10-29 12:16:19 | 「共謀罪」
 “保坂展人のどこどこ日記:共謀罪、米国留保の分析 (議事録付)”で社民党の保坂議員が、アメリカが国際組織犯罪防止条約の批准で第5条を「留保」した内容、理由をけっこう詳しく提示している。
 ちなみに、安倍首相自らもこの国際組織犯罪防止条約を「テロ対策のために」と謳って「共謀罪」創設を訴えているが、多くの弁護士さんたちが指摘しているように、この国際組織犯罪防止条約の対象犯罪は≪金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪≫であり、政治的な目的を主にした「テロ行為」を対象の犯罪としたものではそもそもない。

 共謀罪、米国留保の分析 (議事録付) 2006年10月29日

 アメリカの弁護士資格も持っている喜田村洋一弁護士に、法務委員会で問題となっている「アメリカの留保」について分析をしてもらった。喜田村弁護士によればアメリカの犯罪の大半は、州法で裁かれるという。この国際化とITの時代に「アメリカの留保」について、いまだにデタラメな理屈にならない屁理屈を言い続けている外務省にはあきれるが、問題は「北朝鮮核実験」などの緊急事態を理由に、日本にアメリカの一部の州では犯罪とならない行為も犯罪とする「共謀罪体系」を一気に仕上げていこうという気配も見えることである。さっそく、喜田村弁護士の分析を頂いたので、ここに公開することにする。

 「喜田村洋一弁護士からのメール」

(国連のホームページから)条約に関する米国の留保の部分を読みました。外務省がどのように訳しているか知りませんが、彼(女)らの訳は信用できないので自分で訳してみました。ご参考までにこれをお送りします。

アメリカ合衆国は、連邦制という基本原則と両立する方法で本条約に基づく義務を引き受ける権利を留保するが、本条約で取り組んでいる行為との関係では、この原則に従って、連邦と州の双方の刑法が考慮されなければならない。合衆国連邦刑法は、州際又は国際通商その他の連邦の利益に与える影響に基づいて行為を規制しているが、合衆国内での組織犯罪に対する闘いにおける主要な法制度であり、この目的のために極めて効果的である。
連邦刑法は、当該犯罪行為が州際又は国際通商その他の連邦の利益に関わらないという稀な場合には適用されない。そのような完全に地方的な性格を有する犯罪に関し、合衆国連邦刑法及び州刑法が本条約に基づく義務を十分満たすとはいえない状況が少数は想定されうる。したがって、アメリカ合衆国は、高度に地方的な活動という狭い範疇に属する行動に対処する限度において、本条約で規定された義務を留保する。この留保は、本条約で規定された他の締約国に対して国際的協力を提供するという合衆国の能力に対してはいかなる点でも影響を与えない。(喜田村訳)

 …(略)…

“保坂展人のどこどこ日記”より)
  *(引用のなかでの文字の強調表示は雑木帖@管理人によるもの)

<犯罪行為が州際又は国際通商その他の連邦の利益に関わらないという稀な場合には適用されない。そのような完全に地方的な性格を有する犯罪>
<高度に地方的な活動という狭い範疇に属する行動に対処する限度において、本条約で規定された義務を留保する>
 ここで説明すらいらないほど明確に示されている理念は、今日本の政府が「共謀罪」を創設し適用しようとしている619の犯罪のうちのほとんどがこのアメリカの「留保」に該当する犯罪にあたるということではないのか。

 先の国会では、「民主党案では条約を批准できない」と言っていた政府与党がその民主党案を「丸のみ」してまで法案を通そうとしたのだが、通した後に修正すればいい、と自民党が口にしていることが新聞記事で暴露され、民主党が「丸のみ偽装だ」と与党を批判、さらに麻生外相も「民主党案では条約の批准はできない。国際条約を批准することにあたっては(条件は)満たしていない」とあらためて語ったことで、結局法案は流れた。
 けれど、一連のやりとりのなかでの「批准できない、できる」という台詞に疑問をもったかたも多いのではないだろうか。
 批准できるかできないかなどは担当側の国連事務局に問い合わせればそれで済むことではないか、と。
 その後判明したことでは、そもそもカリブ海のセントクリストファーネービスという国が、民主党案にある国際性、越境性を要件とする新法で条約を批准している、これはいったいどういうことか。
 ところが、政府が国連に問おうとしない理由がわかってみると、お粗末の一語につきる。
 国際組織犯罪防止条約の批准には国連による審査などは存在せず、条約締結国の意思の表明だけでいいのである。

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今度は,毎日が単独で…共謀罪:創設、攻防再び 条約批准に必要か (情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士)
東京新聞のまとめ記事に続いて,毎日も民主党がなぜ,共謀罪新設そのものの反対に回ったのか,日弁連が何を問題視しているのか,がよくわかる記事(←クリック)を掲載した。法務省は,例のHPで十分とお考えなのだろうか…。 ■■引用開始■■ ◇政府・与党「対テ ...