雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

「共謀罪」:昨年の“画期的な”判決から見る今の司法の流れ

2006-08-19 19:05:11 | 政治/社会
 前に書いたけれど『週刊現代』が「共謀罪」の記事を連載でとりあげている。今のところ隔週ペースで掲載している。今週号はその第3弾で、≪西原春夫早大元総長に聞く「刑法学者として警告します」≫。
『週刊現代』は“週刊誌の現場から”という連載の新記事を始めたのだが、その最初の問題提起の対象が「共謀罪」で、≪私たちは「共謀罪」に反対します≫という、識者などに「共謀罪」について語ってもらい「共謀罪」に迫るというシリーズものだ。

 今週のその記事は特にとても参考になる事柄を扱っているので少し紹介したい。
 記事のさわりの部分は以下。
「週刊現代」 2006.09.02

 週刊誌の現場から

 私たちは「共謀罪」に反対します──3
 西原春夫早大元総長に聞く「刑法学者として警告します」


 たとえ犯罪を犯していなくても、「犯罪を実行しようと話し合った」と警察に判断されただけで罪に問われてしまう「共謀罪」。
 こんな危険な法案が今秋の臨時国会で成立する可能性が高まっています。
 前回は「共謀」を「認定」するのが警察という「信用できない組織」であることが大問題だと、ジャーナリストの大谷昭宏氏に指摘していただきました。
 今回は早稲田大学元総長で、「共謀共同正犯」理論の権威である西原春夫アジア平和貢献センター理事長(78歳)に、刑法学者の立場から見た共謀罪の問題点について伺いました。

──警察が共謀を認定して逮捕し、検察がそれを起訴すると、次に裁判所が共謀の有無を判断することになりますね。

 その通りです。司法にはきわめて慎重な判断が求められるのですが、昨年来の最高裁の判断を見ると、今の日本は非常に危険な流れになっていると言わざるをえません。
 まずは、共謀罪を考える上で重要な「共謀共同正犯」についてご説明します。
 犯罪行為を共謀した仲間のうち誰かが実行すると、残りの人間も同罪になるという考え方、これが共謀共同正犯です。
 戦前から、多くの刑法学者がこの考え方に反対していました。「実行行為の一部を分担していなければ、共同正犯にはならない」とする説が大勢を占めていたのです。
 戦後、日本の裁判所は、「犯罪の実行行為がなくても、共謀するだけで共同正犯になる」と判断をすることが増えました。ただ、その場合にも、「謀議」という客観的な行動があったかどうか、厳密な証明が必要とされてきたのです。
 ところが昨年11月29日に、「50年代からずっと共謀共同正犯を是認してきた私ですら、到底容認できないムチャクチャな判断」と西原春夫氏に言わせるような最高裁の判決が出された。
 それは暴力団の組長を含めた一行がホテルに宿泊した際、手下の組員が拳銃所持で逮捕された裁判の判決で、最高裁は『組員に対して指揮監督権をもつ組長は、組員の拳銃所持を概括的とはいえ確定的に認識し許容していた』として組長に「共謀共同正犯」の懲役6年の刑を言い渡したのだ。

 これは「状況証拠だけで共謀が成立する」という判断であり、「共謀を証明するのに客観的な証拠は必要ありません。司法の主観的な認識だけでいいというわけです」(西原春夫氏)という判決だった。
 暴力団に対するものなのだから別にいいのでは…という考え方は危険と氏は指摘する。政府は「国民が納得するようなお題目で法律を拡大解釈し、いったん風穴を開けたら、後はその拡大解釈をどんどん一般化していく」と。「公権力が主観的に国民の共謀を判断し、有罪にできる。それが今の司法の流れ」と氏は言う。
 たとえば、いつも背広に免許証を入れている部下に車の運転をさせていた上司が、ある日背広を着ていず、また偶然検問で免許証不携帯で検挙された部下とともに「共謀した」として逮捕されることになる、という例を氏はあげる。その場合、部下に「今日は免許証を持っていなくてもいい」と言うなどの客観的な行為はなくとも、「部下が免許証を携帯していなかったことは上司にはわかるはず」という司法の主観的な判断だけで犯罪が成立することになるのだ、と。
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« エントリーの「リード部分」... | トップ | テレビの影響力 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆりかりん)
2006-08-20 01:46:33
律儀な性格なのですね。w

人のことは言えませんが・・・。www
死刑まである法体系 (雑木帖@管理人)
2006-08-20 21:31:16
安倍政権になれば、この「共謀罪」はすぐ国会を通過してしまいそうな気もします。

有権者も「国家」や「法」というものの恐さの一面を今一度考えるべき時ではないかと、この「共謀罪」をみていて思います。

ヤクザへの対処だから…という精神の弛緩は、いずれは自分の身に、という想像力をうばいます。

政官財は全面的には信用ができない、といいながら、今の日本の状況は白紙委任してしまう場面が多いような気がします。

そういうなかにあって、貴重な連載だと思います。

政治/社会」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

2 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
共謀共同正犯是認論者が広がりに憂慮~共謀罪が出来た暁には… (情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士)
実行行為を行っていない者を教唆犯などではなく共謀共同正犯として処罰することには,刑法学会で争いがあった。その共謀共同正犯について「おそらく生存刑事法研究者の中ではもっとも早くから共謀共同正犯を是認する立場に立っていた数少ないひとりである」ことを ...
安倍の地元で痛撃・追撃!とくら多香子の山口選挙区民主党公認立候補を祝し、断固支持する。 (雑談日記(徒然なるままに、。))
(クリックすると拡大します) ※漫画ができたのでとりあえずのアップ。寝不足でふら