820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

『踏みはずし』 出演者紹介③、滝沢信さんのこと。

2013-10-18 | 生活の周辺。
滝沢信さんとは今回はじめて舞台をともにする。
ぼくと同じ1984年生まれの、いて座だ。いて座は旅を愛し、はるかな世界を望み、いつだって遠くに目をこらしている星座だ。石井ゆかりさんの美しい文章によれば、身の内に「虚空」を抱えている星座だ。

滝沢さんは確かに遠くを旅する人の佇まいを漂わせている。
それは地理的な距離ではないかもしれないが、心の向かう先が多岐にわたって、様々な風雪をくぐり抜けてきた人のように思う。あちらこちらで見つけてきた幾多の財宝を、日々ぼくたちに手渡してくれた。何しろ、いろいろなことを知っていた。遺産の配分率からトカゲのおっさんのコントまで、何を聞いても答えてくれるし、未知の事柄に関しては敏感に心を伸ばしてその領域を踏査する。気がつくと、素敵なお土産を小脇に抱えて戻っている。

稽古場で、まずぼくが嬉しかったのは、「言葉が通じる」ということだった。感性が似ているのか、あるいはいつか、似たような場所を旅したことがあるのかもしれないね。ぼくの言葉の足りないところを補ってくれたり、芝居を前へ前へ、きちんと動かしてくれた。何よりその音感の良さに救われた。せりふを、そう語ってほしいと思うその通りに語ってくれた。

末っ子で、自分は甘えたいタイプなのだと語っていたけれど、今回の座組みで甘えるのは至難の業だろうなと思う。しかし、甘えられるものなら、ぼくに甘えてみてくれたまえ。全力で対峙しよう。

石井ゆかりさんによれば、いて座は、内なる「虚空」に傷つきながら、その果てに光を見つける星座だ。滝沢さんの瞳の先の光に舞台が照らされることを祈る。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿