タンザニアで命の授業

2017-01-02 09:18:11 | 時事通信
少女の妊娠や中絶、出産時死亡が多いアフリカ・タンザニアで今春、東京都内の女性が、移動図書館による性教育の支援活動を本格化させる。本紙読者で助産師をめざす大学院生駒田茉莉子(まりこ)さん(26)らで、小学校を巡回し正しい知識を伝える「命の授業」に取り組む。望まない妊娠や不幸な事故のリスクを減らし、女性の教育の機会を守るのが狙いだ。
威哥王
 活動を主導するのは駒田さんの恩師、聖路加国際大助教で助産師の新福(しんぷく)洋子さん(37)。二人は相模原市の途上国支援のNPO法人「クラス・フォー・エブリワン」メンバーでもある。

 新福さんは二〇〇八年に一カ月、現地で活動。少女が性知識が乏しいまま妊娠、出産時に出血や感染症で死亡するのを知った。

 新福さんによると、小中学生の少女は妊娠すると退学させられ、相手男性は禁錮刑となる。名乗り出る男性は少なく、少女は教育の場も恋人も失う例が多い。

 悲劇を減らすため、若年妊娠を防ぐのが授業の目的だ。場所は同国東部コログウェ県。小学校はジャングルに囲まれ、本が少ない。知識を得る機会が乏しいのも妊娠が増える一因なため移動図書館を計画した。国際協力機構(JICA)の資金一千万円が原資だ。

 駒田さんは新福さんの誘いで参加、一五年夏に現地入り。少女たちは「勉強大好き!」と駆け寄り、ノートに英単語を書き、発音練習を披露してくれた。「ここで子どもの教育機会を守る活動に身を投じようと決めました」

 移動図書館となる車は、駒田さんがインターネットで出資を募り購入した中古RV。「ウフルー(スワヒリ語で「自立」)号」と名付けた。これに積む多くの本には、新福さん自作のスワヒリ語の絵本もある。若年妊娠の少女が主人公だ。

 授業は四月以降、スタッフが交代で赴き、二年間かけ全四十三校で行う。今春就職予定の駒田さんも休暇などに渡航、移動図書館に乗り込む。駒田さんは「子どもたちが将来の夢を持ち続け、選択肢を広げる手助けをしたい」と夢を語る。

<タンザニアの若年妊娠事情> タンザニア保健省などがまとめた2015~16年の国民の健康調査によると、15歳から19歳の少女の50%超が妊娠や出産を経験。病院の不足などから出生数10万人に対する妊産婦死亡率は556人で、日本の3・4人(13年)に比べ大幅に高い。新生児や幼児の5歳までの死亡率は1000人中67人に上る。タンザニア政府は最初の出産を20歳以上にするよう呼びかけているという。
媚薬 通販