部長ブログ@箕面市役所

箕面市役所の部長が、市のホットな話題を語ります!
市の動きや仕事紹介、副市長、教育委員会委員などのつぶやきも。

本当はすごい日本の医療保険

2017年03月06日 | 市民部

皆さま、こんにちは。
市民部長の小野啓輔です。

アメリカ合衆国のトランプ大統領が、
いろんな場面で引き続き注目されています。

「公約を 本当に守る 大統領」
           (TBSラジオ 時事川柳から)

トランプ大統領は、就任後すぐに数々の「大統領令」に署名し、
様々な物議を醸し出していますが、
そのひとつに、「オバマケアの撤廃」があります。
アメリカは、もともと公的医療保険ではなく自由診療を基本とした国ですが、
医療環境や高額な医療費問題は深刻で、
そこに医療保険制度改革として対策を打ったのが
オバマ大統領の政策「オバマケア」でした。
その効果については、アメリカ国内でも賛否両論ある政策でしたが、
トランプ大統領は、選挙戦で徹底してオバマケアを批判し、
就任の初日に、オバマケアの迅速な廃止に向けて、
連邦機関に大統領令で準備を命じたものです。

一方、日本の医療制度は、世界的にも成功例として知られています。

特に、日本の「国民皆保険(こくみん かいほけん)」を基本とする
公的医療保険制度は、平成12(2000)年に、世界保健機関(WHO)から
世界最高の評価を受け、その充実度は、経済協力開発機構(OECD)の
加盟国中でもトップレベルと言われています。

市民部では、その国民皆保険の中核を担う「国民健康保険」を
所管しています。
そこで今日は、日本の医療保険制度を振り返ってみます。


●「国民皆保険」制度

現在、日本では原則として、国民は必ず「公的な医療保険」(国民健康保険、
組合健保、協会けんぽ、共済組合など)に加入しなくてはなりません。

これを「国民皆保険制度」と言います。

日本に住むみんなで保険料を出し合い,病気やケガの場合に安心して医療が
受けられるように助け合うという目的の社会保険制度で、
相互扶助の精神に基づいています。

公的な医療保険には、

(1)会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合や、
  公務員が加入する各種共済組合保険など、組織に属している雇用者と
  扶養家族が職場ごとに加入する「被用者保険」、

(2)農家や自営業の人、会社を退職した人などが加入する「国民健康保険」、

(3)75歳以上の人がすべて加入する「後期高齢者医療制度」

の3種類があります。

これら公的な制度でカバーされる人たちを合わせると国民全員となることから、
「国民皆保険」と呼ばれています。

つまり日本では、すべての国民が公的な医療保険制度への加入を義務付けられ、
その結果として、病気やケガをした場合、「誰でも」「どこでも」「いつでも」
必要で適切な医療が受けられる制度となっています。

普段、あまり意識せずにお医者さんにかかっていますが、
そのプロセスを分解すると、こうなります。

(1)国民は、加入している保険者に保険料を支払います。
(2)保険者は、国民に保険証を交付します。これにより、国民は
    病気やケガをしたとき、医療機関で受診できます。
(3)医療機関は、国民に診察や検査などの医療行為を提供します。
(4)国民は、法律で定められた一部自己負担額(1~3割)を医療機関に支払います。
(5)医療機関は、一部自己負担額を除いた医療費を保険者に請求します。
(6)保険者は、請求された金額を後日、医療機関に支払います。

実際には、この流れをより適正・スムーズにするために、
社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの
「審査支払機関」が仲立ちをします。




●国民皆保険の歴史

日本でこの「国民皆保険」が実現したのは、今から56年前の
昭和36(1961)年でした。
それまでにも、例えば炭鉱夫などの特定労働者への部分的な医療制度や、
農村の医療確保を目的として昭和13(1938)年に制定された国民健康保険法
等はありましたが、国民全体を対象とする医療保険制度ではなく、
自営業者や零細企業従業員等を中心に、国民の約3分の1に当たる
約3,000万人が無保険者で、戦後の大きな社会問題となっていました。

そこで、昭和33(1958)年に国民健康保険法が全面改正され、
昭和36(1961)年から全国の市町村で国民健康保険事業が始まり、
すべての国民が、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険による医療を
受けられる「国民皆保険体制」が確立しました。

今では日本では、保険証1枚で、どの医療機関にもかかることができるのが、
当然のことだと思われており、制度は定着・浸透しています。
そして、乳児死亡率等の健康指標も大幅に改善され世界首位を占めるとともに、
世界トップクラスの長寿国になり、日本の医療保険に対する評価は高く、
今や世界に誇れる制度となりました。


●「フリー・アクセス」制度

また、医療機関を自由に選べる「フリー・アクセス」も、
日本の国民皆保険制度の大きな特徴となっています。

フリー・アクセスとは、患者さんが望めば、診療所でも病院でも、
自分の判断で自由に受診医療機関を選べる制度を言います。

これにより、どこの診療所でも中病院でも大学病院でも、
また、内科・外科などの診療科を問わず、
患者が受診したいと思ったときに自由に受診先を選択できます。

医療機関へのアクセスがこれほど自由な国は、そう多くはありません。
例えばイギリスでは、あらかじめ登録した家庭医にまず診てもらわなければ、
専門医や病院には受診できないしくみになっており、家庭医も予約しないと
受診できません。
ドイツは、診療所は社会保険方式なので、わりと自由に選べるのですが、
病院への入院は診療所の医師の紹介がないとできません。
フランスでは、病院は外来受付をやっていません。

このように、海外の医療制度は、日本と比べるとかなり不便なシステムに
なっています。

さらに加えて、日本では、急病や交通事故などの際は
119番をダイヤルすれば救急車が出動し、無料で救急病院に搬送する
体制も整っています。

近年では日本でも、身近な診療所と大病院の役割分担を促進するため、
診療報酬上、紹介状の有無などで加算を付ける政策は進められてはいますが、
基本原則はあくまでフリー・アクセスを堅持しています。
健康保険証を持っていれば、日本全国どこの医療機関でも受診することが
可能で、かつ医療保険の給付対象になるため、医療の価格も統一されており、
料金(自己負担額)も医療保険で決まった割合で抑えられていることから、
病気やケガのときに安心して医療を受けることができる環境を
実現しています。


●公的医療保険の加入状況

ここで、国民全体の公的な医療保険の加入状況を見ておきます。

平成28年度の厚生労働白書によると、

「国民健康保険」に加入している人は、国民の約28.7%。
主に、農家や自営業者、非正規雇用者、年金生活者、会社を退職した人、
無職の人など、他の公的医療保険に加入していない住民が対象。
約3,600万人が加入しています。
保険者数は、全国の市町村など約1,900。予算規模は、約10兆円です。

「協会けんぽ」(以前は「政府管掌健保」)に加入している人は、国民の約28.3%。
協会けんぽは、自らは健康保険組合の設立が困難な中小企業に勤める人と
その家族が加入できるように作られた保険者で、加入者は約3,550万人。
保険者は、全国健康保険協会。予算規模は、約5兆円です。   

「健康保険組合」に加入している人は、国民の約22.9%。
大企業に勤める人が対象で、約2,870万人が加入しています。
企業や企業グループ、同種同業の事業主などで組合が組織され、
保険者数は、約1,400です。

「共済組合」に加入している人は、国民の6.9%。
公務員や私学学校教職員等が対象で、約870万人が加入。保険者数は85。
健康保険組合と共済組合等を合わせて、予算規模は約4兆円です。

「後期高齢者医療制度」に加入している人は、約13.2%。
原則として75歳以上のすべての人が対象で、加入者は約1,660万人。
都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合が設立され、
予算規模は、約15兆円です。

【平成28年版 厚生労働白書から】


●医療機関の窓口での自己負担

公的医療保険に加入している人がお医者さんに行き、
保険証を出して診察を受け、窓口でお金を支払う時に、
何割を自分で負担しないといけないのでしょうか?
 
かつては、加入している医療保険によって自己負担はまちまちでした。
その後、制度が変遷していく中で、しだいに整理され、
平成20(2008)年からは、年齢に応じて、原則、次の自己負担率となりました。

0歳~5歳は、2割。
6歳~70歳は、3割。
70歳~74歳は、2割
75歳以上のかたは、1割。
ただし、70歳以上のかたで現役並み所得者は、3割

従って、保険診療費から自己負担額を引いた、残りの7割~9割が、
公的医療保険から医療機関に給付されます。

以上を原則として、さらに退職や年齢などにより各制度の経過措置や、
他の制度による負担軽減等があります。

国民健康保険に関して、詳しくは、こちら。、

【厚生労働省 資料】

 

さらに、地方公共団体による医療費の助成制度などもあり、
それによっても自己負担額は変化します。

例えば前回のブログでお知らせしたとおり、
箕面市では、子どもの医療費について、所得にかかわらず
入院・通院とも1日あたり1医療機関で自己負担額が最大500円、
月2日限度で最大1,000円になるよう助成制度を実施しており、
今年4月からは、対象を高校卒業年齢までに拡大します。


●奥が深い国民健康保険制度

ここまでが、公的医療保険の基本中の基本事項です。

そして、この制度全体を支えるために、
国・都道府県・市町村等の公費負担や繰入金、
各医療保険者間や介護保険への拠出金・納付金や交付金等による
支援・調整制度が、様々に工夫されて構築されています。
その上に立って、各医療保険の保険料が決められます。

これら仕組みの全体を理解するのは、結構難しいものです。
特に、国民健康保険だけを見てみても、
例えば、調整交付金(普通分・特別分)、前期高齢者交付金・納付金、
保険財政共同安定化事業拠出金、高額医療費共同事業負担金、
保険基盤安定繰入金、保険者努力支援制度、後期高齢者支援金、
老人保健拠出金、介護納付金などなど、
名前も内容も難しい用語が山積みです。

加えて、平成30(2018)年度からは、国民健康保険の広域化が実現し、
さらに制度は大きく変わる予定です。

市民部1年生の私には、まだまだ理解のハードルが高いです。
しかし、いつか私も、これらの仕組みをもっと深く理解し、
よりわかりやすく説明できるよう、チャレンジしていきたいと
密かに闘志を燃やしているのです。

 

「自転車事故ゼロ」をめざして「ながら運転」をなくすために、箕面市では2017年3月31日(金曜日)までの間「絶対ダメ!ながら運転 自転車を安全に乗りましょう!」を統一キャンペーンとして展開します。

ジャンル:
ウェブログ
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 春のこどもフェスティバルin箕面 | トップ | みのお市民ツリー の復活をめ... »
最近の画像もっと見る

あわせて読む