フランシネの義手製作についてのご報告
まず始めに、皆さんにご報告が遅れてしまったことをお詫びいたします。
募金が集まった段階から現地で義手製作をお願いしている、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトと連絡を取りながらフランシネの義手製作について連絡を何度も取り合って調整していましたが、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトがフランシネの所在をつかみきれていないという状態が長く続いていました。
現状を打破するため、今年の4月、コンゴ取材の帰りにブルンジに立ち寄りました。
紆余曲折がありましたが、フランシネと面会することが出来ました。
フランシネと僕は久しぶりの再会をとても喜び、彼女は以前よりも垢抜けた様子で「私のことを忘れないでいてくれて、ありがとう」と言いました。
フランシネは2008年に再会した際と同じく首都のブジュンブラにある女性人権団体の敷地内で生活していました。また彼女の娘マキマーナは首都から離れた学校の寄宿舎で生活していました。
彼女になぜ、義手の製作をしないのかと問うたところ「義手製作の際、製作スタッフから両腕の肘がないため、腕としての機能がほとんどない義手しか作れないと説明を受けた」
「切れた右腕の断面が斜めになっているため義手を装着すると痛くて動かせない」と話しました。
現地で義手製作の担当者とその事について話し合いましたが海外から材料を調達しない限り、装飾用に近い義手しか作れないという話でした。また、フランシネは女性人権団体の協力によってイタリアで電動義手を作ると話しました。
帰国後、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトの主宰者ルダシングワ真美さんと現状について話し合いました。
「両肘がなくても訓練しだいでは腕が動かせるような義手が製作可能なこと」、「電動義手の製作がうまくいかなかった場合のサポート」をルダシングワ真美さんがフランシネに直接会って説明をしていただける様にお願いしました。
先週末、ルダシングワ真美さんからフランシネの現状について連絡がありました
以下、ルダシングワ真美さんからの報告です。
フランシネの義手を支援してくださったみなさまへ
この度はフランシネの義手製作をご支援くださり、誠にありがとうございます。ご報告が遅れてしまいましたが、現在の状況を順を追ってお伝えいたします。
(1)皆さまがフランシネの義手製作のためにご支援を始めてくださった時点で、フランシネはブルンジの当団体の運営する義肢製作所を訪れ、製作のために義手の型取りを行った。
(2)切断された腕の状況を見て、現時点で作ることが可能なのは腕の機能をすることができる義手よりは、装飾の義手を作ることが適当であると言うことを、当団体の義肢装具士より説明した。
(3)フランシネは一旦納得し、製作を開始しようとしたが、しばらく音信が途絶えた。
(4)その後フランシネの所属する団体の人と一緒に再び来所し、話を聞いたところ、装飾の義手よりも腕として機能する義手がほしいという希望だった。
(5)この時点で義肢装具士の説明が足りなかったのだが、実際は能動義手(腕の機能をある程度備えた義手)の製作も可能だったにもかかわらず、両腕を失ってしまっているため、能動義手の製作が難しいと説明してしまったようである。
(6)その後ずっと来所せず、また当団体としてもフランシネ一人の義手について追いかけることができず、間があいてしまった。
(7)2010年6月、私自身がフランシネの所属している団体(フランシネが実際に生活をしている場所)まで会いに行き、フランシネと話をした。
(8)その時点で、フランシネはイタリアの団体から支援を受け、イタリアまで行って義手を作ると言う話が進んでいた。
(9)イタリアで義手を製作する場合、まず患部の手術を行ってから義手を製作する。
(10)しかしながらまだイタリアに行って義手を作る十分な費用(義手代・渡航費など)が集まっていないため、実際に製作をするスケジュールは決まっていない。
(11)イタリアで製作を予定している義手は、電動の義手で、一本百万円以上するらしい。
(12)当団体では電動義手を作ることは不可能である。なぜならば高価すぎるし、壊れてしまった時のメンテナンスができないから。
(13)フランシネがイタリアで電動義手を作った時、壊れた時のメンテナンス、あるいは古くなってしまった時にフランシネが再度彼らから支援を受けられるかどうか懸念している旨を伝えた。
(14)しかし先のことまで考えられないようで、とにかく電動義手を作りたいと希望している。
(15)万一フランシネがイタリアで義手を作らなくなった場合、団体としてはいつでもスタンバイをしていると言うことを伝えた。
(16)現時点でフランシネは他で製作された装飾の義手を持っているが、装着していると傷を作ってしまったり、負担がかかるので使用していないらしいが、修理できるのであれば、団体がそれをすることができると言うことを伝えた。
(17)いずれにしても困った時はいつでも当団体を訪れてほしいと言うことも併せて伝えた。
以上のような状態です。フランシネのため日本の人たちが資金集めをしてくださったことも伝えてあります。またそれに対して感謝の気持ちも持ってほしいと言うことも、私自身の考えとして伝えました。
実際にフランシネあるいは所属する団体はフランシネの義手のために複数の場所で支援を求めており、ブルンジの新聞・テレビなどを使って資金集めを行っていたようです。
フランシネ、また団体の代表者は電動義手を作ることにこだわっており、今の時点ではイタリアに行くことを強く希望しています。
私たちとしては、彼女たちがそれを望んでいるのであれば、その気持ちを妨げるわけにはいきません。しかし実際に彼女がもしイタリアで義手を作れたとしても、その後のメンテナンスや手にあわなくなった時に、彼女が再度彼らから支援を受けることができるのかどうかということを、非常に懸念しております。なぜならば余りにも高価なため、一人の女性に対して継続的にそれらの支援が受けられるとは考えにくいからです。
いずれにしましても、今後は彼女たちの出方を待っているしかないと思います。
今回思っていたように義手製作を進めることができておりませんが、万一彼女がイタリアからの支援を受けられなくなった時、団体としていつでも彼女を受け入れる態勢だけは整えておこうと思います。
今後フランシネの義手のことで進展がありましたら、またご報告させていただきたいと思います。
皆さまにはフランシネの義手製作についてご支援をいただき、本当にありがとうございました。フランシネも決して皆さまの気持ちを踏みにじろうとしているわけではなく、義手をつけて生活が少しでも改善されるように望んでおります。ただ彼女の所属している団体の人たちの考えもあり、イタリアに行って義手を作ること、また非常に高価な義手を手に入れることができるかもしれないと言う状況に、彼女と団体の意識が傾いてしまっていると言うことも事実のようです。
これからは彼女のことを見守っていきたいと思います。
ご報告が遅れましたこと、お許しください。皆さまのフランシネに対するお気持ち、本当にありがとうございました。
ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクト ルダシングワ真美
現地からまた新しい状況の進展があればご報告したいと考えています。
日本ではまったく報道されることはないですがブルンジでは今月、総選挙が行われます。民族間の問題、政治勢力間の争いはまだ続いています。
遠く離れた日本からフランシネを取り巻く複雑な状況を理解するのは大変難しいと思いますが、フランシネの為にご協力していただいた方が少しでも現状をご理解いただけたら嬉しく思います。
また皆さんの「現状をなんとかしたい」という強い気持ちは僕自身に大きな糧として心に残り続けています。
この場を借りてお礼申し上げます。
亀山 亮
追伸:募金の締め切り後、2名の方から4万円が振り込まれていました。
計2回のブルンジ滞在(ビザ、通訳、交通費)の経費の一部に充てさせていただくことをご了承いただければ幸いです。
まず始めに、皆さんにご報告が遅れてしまったことをお詫びいたします。
募金が集まった段階から現地で義手製作をお願いしている、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトと連絡を取りながらフランシネの義手製作について連絡を何度も取り合って調整していましたが、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトがフランシネの所在をつかみきれていないという状態が長く続いていました。
現状を打破するため、今年の4月、コンゴ取材の帰りにブルンジに立ち寄りました。
紆余曲折がありましたが、フランシネと面会することが出来ました。
フランシネと僕は久しぶりの再会をとても喜び、彼女は以前よりも垢抜けた様子で「私のことを忘れないでいてくれて、ありがとう」と言いました。
フランシネは2008年に再会した際と同じく首都のブジュンブラにある女性人権団体の敷地内で生活していました。また彼女の娘マキマーナは首都から離れた学校の寄宿舎で生活していました。
彼女になぜ、義手の製作をしないのかと問うたところ「義手製作の際、製作スタッフから両腕の肘がないため、腕としての機能がほとんどない義手しか作れないと説明を受けた」
「切れた右腕の断面が斜めになっているため義手を装着すると痛くて動かせない」と話しました。
現地で義手製作の担当者とその事について話し合いましたが海外から材料を調達しない限り、装飾用に近い義手しか作れないという話でした。また、フランシネは女性人権団体の協力によってイタリアで電動義手を作ると話しました。
帰国後、ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクトの主宰者ルダシングワ真美さんと現状について話し合いました。
「両肘がなくても訓練しだいでは腕が動かせるような義手が製作可能なこと」、「電動義手の製作がうまくいかなかった場合のサポート」をルダシングワ真美さんがフランシネに直接会って説明をしていただける様にお願いしました。
先週末、ルダシングワ真美さんからフランシネの現状について連絡がありました
以下、ルダシングワ真美さんからの報告です。
フランシネの義手を支援してくださったみなさまへ
この度はフランシネの義手製作をご支援くださり、誠にありがとうございます。ご報告が遅れてしまいましたが、現在の状況を順を追ってお伝えいたします。
(1)皆さまがフランシネの義手製作のためにご支援を始めてくださった時点で、フランシネはブルンジの当団体の運営する義肢製作所を訪れ、製作のために義手の型取りを行った。
(2)切断された腕の状況を見て、現時点で作ることが可能なのは腕の機能をすることができる義手よりは、装飾の義手を作ることが適当であると言うことを、当団体の義肢装具士より説明した。
(3)フランシネは一旦納得し、製作を開始しようとしたが、しばらく音信が途絶えた。
(4)その後フランシネの所属する団体の人と一緒に再び来所し、話を聞いたところ、装飾の義手よりも腕として機能する義手がほしいという希望だった。
(5)この時点で義肢装具士の説明が足りなかったのだが、実際は能動義手(腕の機能をある程度備えた義手)の製作も可能だったにもかかわらず、両腕を失ってしまっているため、能動義手の製作が難しいと説明してしまったようである。
(6)その後ずっと来所せず、また当団体としてもフランシネ一人の義手について追いかけることができず、間があいてしまった。
(7)2010年6月、私自身がフランシネの所属している団体(フランシネが実際に生活をしている場所)まで会いに行き、フランシネと話をした。
(8)その時点で、フランシネはイタリアの団体から支援を受け、イタリアまで行って義手を作ると言う話が進んでいた。
(9)イタリアで義手を製作する場合、まず患部の手術を行ってから義手を製作する。
(10)しかしながらまだイタリアに行って義手を作る十分な費用(義手代・渡航費など)が集まっていないため、実際に製作をするスケジュールは決まっていない。
(11)イタリアで製作を予定している義手は、電動の義手で、一本百万円以上するらしい。
(12)当団体では電動義手を作ることは不可能である。なぜならば高価すぎるし、壊れてしまった時のメンテナンスができないから。
(13)フランシネがイタリアで電動義手を作った時、壊れた時のメンテナンス、あるいは古くなってしまった時にフランシネが再度彼らから支援を受けられるかどうか懸念している旨を伝えた。
(14)しかし先のことまで考えられないようで、とにかく電動義手を作りたいと希望している。
(15)万一フランシネがイタリアで義手を作らなくなった場合、団体としてはいつでもスタンバイをしていると言うことを伝えた。
(16)現時点でフランシネは他で製作された装飾の義手を持っているが、装着していると傷を作ってしまったり、負担がかかるので使用していないらしいが、修理できるのであれば、団体がそれをすることができると言うことを伝えた。
(17)いずれにしても困った時はいつでも当団体を訪れてほしいと言うことも併せて伝えた。
以上のような状態です。フランシネのため日本の人たちが資金集めをしてくださったことも伝えてあります。またそれに対して感謝の気持ちも持ってほしいと言うことも、私自身の考えとして伝えました。
実際にフランシネあるいは所属する団体はフランシネの義手のために複数の場所で支援を求めており、ブルンジの新聞・テレビなどを使って資金集めを行っていたようです。
フランシネ、また団体の代表者は電動義手を作ることにこだわっており、今の時点ではイタリアに行くことを強く希望しています。
私たちとしては、彼女たちがそれを望んでいるのであれば、その気持ちを妨げるわけにはいきません。しかし実際に彼女がもしイタリアで義手を作れたとしても、その後のメンテナンスや手にあわなくなった時に、彼女が再度彼らから支援を受けることができるのかどうかということを、非常に懸念しております。なぜならば余りにも高価なため、一人の女性に対して継続的にそれらの支援が受けられるとは考えにくいからです。
いずれにしましても、今後は彼女たちの出方を待っているしかないと思います。
今回思っていたように義手製作を進めることができておりませんが、万一彼女がイタリアからの支援を受けられなくなった時、団体としていつでも彼女を受け入れる態勢だけは整えておこうと思います。
今後フランシネの義手のことで進展がありましたら、またご報告させていただきたいと思います。
皆さまにはフランシネの義手製作についてご支援をいただき、本当にありがとうございました。フランシネも決して皆さまの気持ちを踏みにじろうとしているわけではなく、義手をつけて生活が少しでも改善されるように望んでおります。ただ彼女の所属している団体の人たちの考えもあり、イタリアに行って義手を作ること、また非常に高価な義手を手に入れることができるかもしれないと言う状況に、彼女と団体の意識が傾いてしまっていると言うことも事実のようです。
これからは彼女のことを見守っていきたいと思います。
ご報告が遅れましたこと、お許しください。皆さまのフランシネに対するお気持ち、本当にありがとうございました。
ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクト ルダシングワ真美
現地からまた新しい状況の進展があればご報告したいと考えています。
日本ではまったく報道されることはないですがブルンジでは今月、総選挙が行われます。民族間の問題、政治勢力間の争いはまだ続いています。
遠く離れた日本からフランシネを取り巻く複雑な状況を理解するのは大変難しいと思いますが、フランシネの為にご協力していただいた方が少しでも現状をご理解いただけたら嬉しく思います。
また皆さんの「現状をなんとかしたい」という強い気持ちは僕自身に大きな糧として心に残り続けています。
この場を借りてお礼申し上げます。
亀山 亮
追伸:募金の締め切り後、2名の方から4万円が振り込まれていました。
計2回のブルンジ滞在(ビザ、通訳、交通費)の経費の一部に充てさせていただくことをご了承いただければ幸いです。