「しつこく」新×3もろもろ日記

今になって夫が「進撃の巨人」に興味を持ち始めました^^

ぐるりのこと。(リリー・フランキーと木村多江主演映画)~ややネタバレあり~

2008年06月25日 | 映画・舞台
「ハッシュ!」の橋口亮輔監督作品。監督自身「うつ病」になったのが
この映画を撮るきっかけになったんだそうですが、
夫婦のあり方も考えさせられる映画でした。

最初はカナオ(リリー・フランキー)は女好きで定職にもつかず
「こんな男と結婚していいの?」と翔子(木村多江)は周りに心配される。
見ているほうもまったく同感なのだけど、次第に二人の関係に変化が。
悲劇から立ち直れない翔子を優しく心配そうに見つめるカナオ。
長い間、怒りもせず、ことさら騒ぎ立てることもせず
ただ静かに相手を見守るということはとても難しいことだと思う。
私がカナオの立場だったら、逃げ出してしまうかもしれない。

一緒に暮らしていても相手のことをどれだけ理解できているのか?
また理解されているのか?
不安に感じることは誰しもあるんじゃないかと思いますが
カナオは、そんな翔子の思いをも包み込んでいるようで。

時に穏やかに時に激情をぶつける翔子を木村多江は熱演。
リリー・フランキーも普段顔には出さないのだけど
実は心優しいカナオを魅力的に演じてました。

カナオの仕事は「法廷画家」ということで、裁判中のスケッチの場面も出てきます。
実際にあった事件を想起させる裁判を見ていると
とてもまともな人間と思えぬ被告の発言に憤りを感じつつも、
この人にも親はいるわけで、親はどんな気持ちでいたのだろうと思うといたたまれない。

つい先だっても秋葉原の無差別殺人という凍りつくような残忍な事件が起きたばかり。。
殺伐とした世の中に悲しみを覚えることもあるが、こんな時代だからこそ
人と人とのつながりを大事にしていかないといけないんじゃないだろうか。

本作は、そのつながりの最小単位として「夫婦」を登場させたのかも。
一緒においしいものをおいしいと言って食べ、面白いものを見て笑い、
単純なことがきっと一番大切なんだろうと見終わった後に考えました。

なんだかこう書いてくるとえらくシリアスな作品に思われるかもですが
実際は結構笑える箇所もあり、シモネタも出てきます(笑)
オッチャンたちの笑い声が私の見た映画館では響いてました!

幸せな気持ちで映画館を出られる、いい映画でした。



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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これも観たい映画です。 (rudo)
2008-06-25 00:25:49
リリーさん 映画初出演なんですよね。
観たいけど、多分DVD待ちになるでしょう^^;
単館系ですからね~ (のら)
2008-06-25 00:46:47
リリーさん、味があってとっても良かったですよ!(方言を話してましたが、どこ出身の設定だったのかな)
木村さんもいろんな役をこなせる女優さんだなと思っていたのですが、今回もさすがという感じでした。

コメントありがとうございます~是非DVDでご覧になってくださいね♪
これは見たい映画! (かっぱ)
2008-06-25 07:39:41
そうそう、題名がわからなかったんですが面白そうだな~って思った映画なんですよね~。

木村さんって陰ある役がうまいというか、凄いひきつけられる表情とこえしてらっしゃますよね~。
一児の母だと最近知って結婚されててしかもお子さんもいたんだ~と驚きました。
生活感のない女優さんだな~って思ってたので。

見に行きたいと思ってます。
また見たらコメント書きますね~。
おっ!そうでしたか (のら)
2008-06-25 12:00:07
うちの夫もこの映画のことを知っていたので
びっくりしました。あらすじも知っていたようで「もっと女性に思いやりを持たないといけないと思った」と殊勝な発言で、びっくりしました(笑)

そうですね~木村さん、意地悪な役も陰のある役もうまく演じられますね~。何年か前にいろんな連続ドラマで脇役で気になる女優さんが出てきて、それが木村さんでした!

声も鈴がなるような?涼やかな声で、印象的だと思います。お子さん、割と最近生まれたんじゃなかったですかね?
ご自身も切迫流産で長い間入院されていたのだとネットの記事で読みましたので。。他人事でなく翔子を演じられたんじゃないでしょうか。

つらいシーンもありますが、最後はあたたかい気持ちで映画館を出られると思いますよ!
いい映画でした! (たまやん)
2008-06-28 07:56:38
カナオさんの佇まいが全ての優しい映画でしたね~。

夫婦の会話がリアルなのに対して、周りが芝居がかった感じなのも面白かった。
夫婦の会話は (のら)
2008-06-28 09:56:15
リアルでしたね~。見てて恥ずかしくなるくらい(笑)

カナオさんの表情、視線・・ああ、やさしいなぁと思いました。

法廷画家という仕事についても知らないことばかりだったので興味深かったです。
Unknown (まい)
2008-06-29 00:58:13
はじめまして。

今日「ぐるりのこと」を観てきました。
夫婦が絆を確かめ合うシーンに感動しました。

実際に母が今、空の巣症候群という症状で木村さんが演じていた女性のような状態になっています。

自分では感情をどうやってもコントロールできなくて、身近な人に自分の必要性を求めています。

そういうこともあり、
このシーンでは、母のことを思い、泣いてしまいました。

トラックバックさせていただきました。
ありがとうございます。
どうもはじめまして! (のら)
2008-06-29 15:29:44
コメントをありがとうございます。

そうなんですか・・お母様が木村さんの演じた
女性のような状況になられているのですね。。。
この作品は胸に迫るものがあったのではないでしょうか。

今の世は物は豊かにあふれているけれど、人間がどう生きていったらいいか、戸惑ってしまいやすい時代なのかと思っています。
心の病にかかる人が多いのもそのためかと。
決して他人事じゃないなというのも考えます。

この映画では、大事な人が自分をきちんと見ていてくれたら、いつかつらいことも乗り越えられるという勇気を与えられたように思っています。

ずっと結婚を反対していた母親がカナオに向かって「娘をよろしくお願いします」というシーンがありましたよね?あそこで私は涙が出てしまいました。(ほかにもいくつか泣いたシーンはあるのですが)やっと親に認めてもらえたという安堵の涙だったのだろうと思います。
夫婦で天井画の下でたわむれる場面も良かったですよね・・

TBどうもありがとうございます。
わたしも (yoko)
2008-07-06 08:18:58
カナオだったら 逃げ出したくなると思います。
でも彼は 静かに翔子を見守っていましたね。
やさしいまなざしで。
強く励ますこともなく・・・
その優しさが 少しずつ翔子を元に姿に戻していったんでしょうね~。

ですが フランキーさん
カナオを地でやってるような自然な演技。
すごいですね~。俳優さんなのかな??^^

カナオのやった法廷画家という仕事。
裁判のシーンでいろんな最近の残虐な事件を思い出しました。
病んだ社会。
でもそんな中、のらさんの言われている・・・
おいしいものを一緒に食べたり 笑ったり
そういう日常が一番幸せなのかもしれませんねー!

深刻そうなテーマですが
笑えるところもいっぱいありました。
観てよかったなぁ~と思える作品でした。

コメントありがとうです! (のら)
2008-07-06 09:39:00
「うつ病」など心の病には、「頑張って」とか励まさないほうがきっといいんですよね。
でもそれを実践するってなかなか難しいんだろうなぁと思いました。
カナオの優しい気持ちが翔子を立ち直らせていったのだろうと私も思います。

リリーさんは、多才な人で、イラスト描いたり
小説書いたり、放送作家みたいなこともやったり・・何をやる人といえばいいのだろう?
「東京タワー オカンと僕と時々オトン」の作者でもありますし。俳優専業ではないけれど
今後はそういう仕事増えてくるかもしれませんね。そのくらいカナオは素晴らしかったと思います。リリーさんって独身なんだけど、もったいない気がしました(笑)

法廷作家の仕事については、最近テレビ番組でも見る機会があったんですが。。短時間で絵を仕上げないといけないから大変だよね・・
裁判所の中にテレビ局の詰め所?みたいなものがあるんだなぁとかいろいろ興味深かったです。やっぱりまだまだ男社会なんだなとか。

テーマはシリアスなものだけに、ぷぷっと笑えるシーンが大事で際立ってましたね!

もみじのイラストから雪が降るシーンに変わるところ、美しくて大好きでした♪