部員Xの生活日記

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2016年は下水道関係の記事を書いていこうかと。

下水道施設を耐震補強するべきか否か

2016-10-15 15:11:06 | 下水道関係

今週は全部出張で机に向かう時間が少なかったんですが、椅子に座ってる

時間は長かったな。移動が多すぎるという話でございます。

 

タイトルの件ですが、最近ホットな話題です。

そして長文です、頑張って読んでくれると嬉しいです。

 

さて

 

結論からいうと、

 

やったほうが望ましい。

でも金がなかったら仕方ない。

 

となります。結論じゃないという意見もあるかと思いますが、お許しを。

 

 

そもそも

下水道設備は社会インフラにおいて下流(良い悪いという話ではなく、物理的に下流)であり、

そして静脈(使ったものが戻る、という意味)のインフラとよく言われます。

上流、動脈のインフラは水道事業ですね。交通や通信はどっちともいえるし、

電力ガスはどちらかというと上流動脈でしょうか。

リサイクルシステム(資源、ごみ)は下水道と同じ、下流・静脈のインフラですね。

 

この下流・静脈タイプのインフラの特徴として、

 

「昔はなくてもどうにかなった」

 

というインフラであるといえます。

 

昔は

汚水は川や海に流せばいいし、ごみはその辺で燃やして穴に埋めちゃえばいい。

これは本当にその通りでして、歴史的に見てもそうしてきたわけです。

 

環境の処理能力(海の生物循環や土壌による分解などのこと)を超えない範囲なら

今でもこれでよいのですが、現実として人が増えて自然環境下の処理能力を

上回る負荷を環境下へ放出しているので、金とエネルギーをかけて処理をする

時代になってきたというわけです。

 

そのため、下水道施設は後回しにされたインフラともとれます(まぁ金がかかる)。

それが昭和の後半から平成一桁で一気に普及が進み、今に至る、というのが超大雑把な

日本における下水道施設の普及であります(環境的、社会的に許容できなくなり、問題が顕在化し、

それに法律が追い付いてきた結果ともいえます)。

 

んで、ここからが本題です。

 

その下水道施設を耐震補強するか否か、という話。

 

耐震補強工事にかけられる金が有限であるので、当然取捨選択して

優先的に耐震補強を進めるインフラ施設を自治体が決めていかな刈ればならないわけです。

 

役所庁舎、学校とかの公共施設、道路、橋、水道、下水道・・・・

このなかで優先的にやるべきなのは、地震が発生したとき、耐震補強をしていなかったために

「人的被害」が大きく設備、ということになります。

 

これは単純に、「人がいる時間」が多い施設ということになるので、役所庁舎や学校を優先的に

行うのがまず第一(その点でいうと、個人の住宅は夜寝る場所ですし、最優先で補強するべき)。

 

その次にどこをというと、やっぱ上流のインフラだと思います。

具体的には水道ですね(電力、ガス、エネルギーは民間なので除外します)。

水がないと人間はすぐ死んでしまいますから。

 

災害が起こった時に、まず死なない、ケガしない。

次に災害後すぐに死なない。

 

これが自治体の耐震方針の基本で、たぶん国の指針とかにも同じことが書いてあるはず(未読です、すみません)。

道路、通信はそれを補強しないことにより、すぐ死ぬ可能性が低いので、優先順位は少し下がる。

 

んで、その次に来るのが下水道施設となります。

 

けっこう後回しです。でも、これは仕方ない。

う〇こ流せなくても死なないし、シャワー浴びれなくてもどうにかなるわけですから。

 

そんなこんなで、余裕があれば耐震補強しよう、というのが自治体の基本的な

スタンスかと思います(これは仕事をしていて肌で感じます)。

 

そして、実は下水道施設の耐震補強工事をするよりも先にやりたいことがあって、

それは設備の更新です。

 

先に述べた通り、下水道が普及したのが昭和の終わりから平成一桁ですので、

この時期に設置した設備が耐用年数を迎えているのです。

機械物ですから、いつまでも使えるわけではなくて、当然劣化します。

 

ここで、「耐震補強工事」と「設備の更新」のどちらを先に行うか、という取捨選択が

発生するのです。

 

この選択はけっこう自治体の方は迷うと思います。

 

ようは、

「目の前の不具合」と「来るかもしれない地震被害」を天秤にかけなければ

いけないわけです。これはしんどいと思います。

しかも下水道は「災害時になくてもどうにかなる」のですが、平時には「ないと困る」という

選択の難しさです。

さらにいうと、人的な被害の大きくありません(処理場で働いている人は庁舎や学校に比べ少ないです)から、

余計に選択が難しくなるわけです。

 

そんなわけで、同じ金をかけるなら設備の更新を優先する、という選択をとる自治体は

多く、財政的に豊かでない自治体ほどその傾向があるといえます。

この選択が悪いわけではないと思います。

耐震補強工事にはお金がかなりかかりますし、地震が起きなければ意味のないものですから。

 

ただ、考えておかないのは本当に地震が起こった時、のこと。

 

躯体がつぶれた場合ですと、ふ復旧にものすごく時間がかかりますし、

せっかく更新した設備がおじゃんになる可能性もあるわけです。

 

なので、理想的には

 

耐震診断→耐震補強設計(とそれに合わせた設備の更新設計)→耐震補強工事→設備の更新工事

となります。

 

でも現実には

耐震診断→設備の更新設計→設備の更新工事→耐震補強設計→耐震補強工事

という流れですが、この場合、更新した設備が耐震補強工事の邪魔をすることがあり、

手戻りが発生する可能性があるわけです。でもこれは仕方ないと割り切ったほうがいいかと思います。

 

やっぱ目の前にある不具合を放置するのは危険ですからね。

ポンプ場とかで設備の不具合があると、大雨の時とかめちゃんこ不安になると思います。

大雨は発生頻度も高いし、発生もある程度予想できる現象です。地震は真逆。

設備の更新をしないで街を浸水させるリスクをより大きく評価するのは仕方がないこと。

 

あと街を浸水させたら住民から自治体へ文句がめちゃんこ言われると思いますけど、

地震で下水処理場が使えなくなるような状況が発生したときって、下水処理場以外の

被害が処理場の被害と比べ物にならないくらい甚大なことが容易に予想できるので、

めちゃんこ怒られることはないはず。

 

あと一点申し上げておくと、「長寿命化計画」と「ストックマネジメント計画」の

間であるここ1、2年は余計にこの選択(設備の更新工事を優先すること)に拍車をかけていると

思います。

 

「できるうちにやっておこう」という、マインドです。これは仕方ないです。

 

少しだけ解説すると、「長寿命計画」は処理場単位のマネジメントで、

「ストックマネジメント計画」はその自治体の下水道施設全体のマネジメントなんです。

この違いについては、また今後書いていきたいと思います。

 

長々と書いてきましたが、もし地震が起きたら・・・という考えは本当に大切なことです。

ただ、下水道施設に関しては設備更新を優先しても仕方ないかな、というのが上で書いた

結論の捕捉です。

 

以上、長文読んでくれてありがとうございました。

 

 

 

 

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