私のベトナム、そしてアジア

ベトナムから始まり、多くのアジアの人々に触れた私の記録・・・

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ファム・ズイ・ヒエン元ベトナム原研所長(2012年4月30日に聞く)

2012-07-16 01:41:35 | Weblog
http://blogs.yahoo.co.jp/okerastage/9221829.html
おけらの いつか青空 脱原発
2012/7/10
ファム・ズイ・ヒエン元ベトナム原研所長(2012年4月30日に聞く)
1937年5月生まれ。74歳

ダラトの原子力研究所は1963年から67年まで機能しましたが、その後は情勢が危険になり、アメリカが研究所から資材を持ち去りました。
1975年の南ベトナム解放後に接収し、設備を更新・拡張しました。私は1959年から63年までモスクワ大学で原子物理学を学びました。この原子力研究所で1981年から91年まで所長をつとめました。福島の原発事故のあと、ベトナムが日本から原発を購入することを決めたことに国民は不安を感じています。もし国民の意見を聞く投票をすれば70%から80%の国民が反対するでしょう。知識人に限れば反対の比率はさらに高くなります。私はこの10年間、原発の建設には「時期尚早である」として反対し続けて来ました。私は、日本で同じように原発導入に異議を唱えた仁科博士や湯川博士を尊敬しています。

私が反対を唱えている理由の第一は、ベトナムが日本に比べても、近代社会の規律で訓練されていないことです。市内を走行するオートバイを見れば一目瞭然です。当然、交通事故も多発しています。食品も安全ではありません。財産を略奪する強盗や泥棒事件も多く、まだ法治国家とはいえません。まず規律ある社会をつくることが先決です。

第二の理由は、原子力の専門家がいないことです。原子力発電に携わる人はできても、原発の知識をもっている人がいません。ベトナムでは一つのプロジェクトで大体20%が個人のポケットや口座に入ってなくなります。原発は1基70~80億ドルします。アメリカで建設された原発は2基で140億ドルでした。ロシアの原発は1基100億ドルです。1%がふところに消えるだけでも膨大な金額になります。規律、法律、知識がなく、あるのは利権の追求だけです。これが反対の第二の理由です。

第三は、原発がきわめて高価であることです。
第四は、2020年から2030年までの10年間に原発を10基も建設しようとしていることです。
原発はオートバイや自動車とは異なります。10基も建設して管理できると考えているとしたらあきれたことです。

ベトナムテレビで原発建設をめぐる討論番組があり、私と貿易省の高官が出席しました。高官は、原発は絶対安全だと言うだけでした。これは全くのごまかしです。私はさまざまな理由をあげて反対を唱えました。原発の輸出や輸入にはごまかしが満ちています。

フクシマ原発の事故から一周年を迎えるにあたってニューヨーク・タイムズが私に電話でインタビューしました。日本人のアジア支局長でした。私の意見はニューヨーク・タイムズに掲載されましたが、そのさい、「なぜ福島の事故の原因もわかっていないのに、日本はベトナムに原発を売り込むのか?」との私の問いかけに、日本の銀行家が答えていましたー「もし日本が売り込まなければ、他の国が売り込むからです」。

5月6日に日本の原発がすべて止まるかどうか、期待して待ちます。止まれば、日本の原発輸出にも影響するでしょう。

福島の原発事故から100日が過ぎた2011年6月に私は菅首相に手紙を出して、日本がベトナムに原発を輸出するのを10年間延期するように提案しました。その間に知識を吸収し、規律を確立することを見極めることが大切で、あわてる必要はないと訴えました。そしてその間に日本から効率的な電力消費のノウハウを教えるよう要求しました。ベトナムは電力の浪費が世界一です。1キロ・ワット時の電力消費で生産する商品はフィリピンやインドネシアの半分です。ベトナムのGDPはこれらの国の半分です。私の菅首相あての手紙はインターネットのサイトに日本語で掲載されました。

日本の中小の経営者がこの10年間に自然エネルギー開発を促進することを期待しています。ドイツに加えて、フランスの大統領選挙でフランスの政策が変化し、日本がこれに加われば、自然エネルギー開発の流れができると期待しています。中国の原発は南部に集中しています。ベトナムの国境から50キロのところにあります。冬には中国大陸からベトナムに風が吹き込みます。ここで事故が起きれば、ハノイが全滅します。北京ではありません。私は3月11日の福島の事故のあと、放射能の流れを追跡しました。ベトナムでは4月10日が放射能のもっとも高くなった日でした。沖縄、台湾、フィリピンからベトナム、そしてマレーシアに放射能は流れました。

ニントゥアン省のロシアの原発建設で数千人がロシア語を学び、日本の原発建設では数千人が日本語を学ぶことになります。異なる言語に加え、ロシアと日本の原発の構造の違いにも苦しめられます。

私は最近、セシウム137による土壌汚染に関する論文をまとめました。近く発表する予定です。

昨年末に韓国で原発の安全に関する国際会議が開かれて、ベトナムから首相と科学技術大臣が出席しました。帰国して記者に質問されて、科学技術大臣は、原発建設を2年間、遅らせる必要があると語りました。当然、これは首相の意向だと思います。2020年にはベトナムは原発を持っていないことになります。私は10年前から原発建設延期を主張してきましたが、聞く耳を持たない政府も徐々に変化して、私のこれまでの主張に注意を払ようになってきました。徐々にですが、政府の態度にも変化が見られます。

私は原発建設の延期を主張しているのであり、原発建設をやめよとは言っていません。

しかし、福島原発の事故以降は、原発建設から自然エネルギー開発への転換を望む声が強くなっています。日本とベトナムが国民レベルで協力し、アジアが協力し、世界が協力すれば、世界から原発がなくすことも可能になると思います。

(終わり)



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1 コメント

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Unknown (フランスねこ)
2012-08-05 22:05:48
はじめまして。ベトナムについての記事作成の際の参考として引用させて頂きました。事後報告で恐縮ですが、御承認いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/383-ca5d.html

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