テレビのツボ

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「茶々の恋」~恋物語その3

2011-05-30 08:44:29 | 大河ドラマ
いや~~、今回は予想に違わず、茶々の演技に引き込まれてしまった。もちろん、今週の一押し、ツボ中のツボは宮沢りえ演じる茶々に決定! もうこうなりゃ、戦国ドラマなんて形だけの看板は下ろして、悲恋ドラマとしてリニューアルしてはどうだろうか? 史実と異なっていようが、歴史考証がどうであろうが、宮沢の演技がここまで真に迫っていると、そんなことはどうでもよくなってくる。これはこれでいいんではないかな?な~んて思えてくるから恐ろしい。秀吉と同じく、茶々の魅力にすっかり嵌まってしまったのかも知れない


(江…達者でおるか?)
京極家に嫁いだ初からの手紙を、江が読んでいる。文面は実に他愛ない。城からは懐かしい琵琶湖が見えるし、食べ物は美味しいし、何より高次様に愛されてる、ってノロケまくりの内容だ。「私はこの国一の幸せ者じゃあ~~!!」と、初が城から叫ぶシーンまで描いている。花火が炸裂する効果音まで入れて…。能天気すぎて、見てるこちらまでアホらしくなった。

「またにござりますか?」
江の傍らで見守っていた侍女が呆れ顔で尋ねる。「そうじゃ…また届いたのじゃ」江がうんざりした顔で文箱を開けると、そこには山のように積み重なった初からの手紙。
「ノロケておる場合かぁ! こっちで起きていることも知らずにぃ!!」と怒り、手紙を筆箱に収めると、蓋をバーン!と閉める。
江は、茶々が秀吉をビンタしたことと、そのあとに号泣したことが気掛かりでならなかったのだ。

「初は幸せそうで何よりじゃな…」
茶々は、江と一緒に食事しながらそう話すが、心ここにあらずの様子。侍女が秀吉のことを話し出すと、慌てて箸を落としてしまう。
「京都で普請中の聚楽第が間もなく完成するそうで…。諸大名が競って寄進し、大坂城に劣らぬきらびやかさだとか」侍女の説明を受け、江が「どうせ金キラキンの悪趣味な城であろう。ねぇ、姉上」と話し掛けても上の空。
茶々に直接、本心を聞き出せない江は、龍子に意見を聞きに行く。

「お茶々様が殿下の頬をねえ…」
龍子は、自らの頬をピシッと叩くジェスチャーを交えながら意味ありげに微笑む。

「それは…悋気というものですよ」

「りんき?」

「や・き・も・ち…側室に焼きもちを焼かれたのね」

茶々の恋心に、とっくに気付いている龍子は、自信たっぷりにそう断言する。

「よほどの想いがなければ、あの冷静沈着なお茶々様がそんな馬鹿なことをするわけないわ」

「でも秀吉は敵なのですよ!」

「だから…だからよ、ご自分の気持ちを認めたくなくて、お悩みじゃないのかしらねぇ」

「龍子様…何でもかんでも、男と女の話にしないで下さい!」

「あら、でもそうよ」

龍子の答えに納得できない江は憤然として部屋を出てゆく。
「フフフッ、何だか面白くなってきたわねぇ」龍子は一人楽しげに呟く。
しかし、この龍子、台詞が現代口調すぎやしないか? のだめ丸出しの江よりも、更に現代的な言葉遣いではないか! ドラマのコンセプトがコンセプトだから、まあこれでもいいけど

次に訪ねたのは利休の茶室。
「龍子様の言わはる通りかも知れまへんなあ。おなごが想いに駆られて、叩いたり泣いたりする時は、そんなもんやないかと…」と、龍子と同じようなことを言う利休に、江は食って掛かる。「姉上に限ってそんなこと!」

だが、肝心の茶々に本心を尋ねられないでいることを打ち明けると、ズバリこう指摘される。「…ということは、お江様もお気づきではないんですかな? 茶々様が殿下に想いを寄せられていることを…」

「私は利休様も、利休様の立てる茶も好きです。でも、今のお言葉は許せません…」江は悲しげな顔になり、茶室を出て行った。

「分からん…おなごの気持ちはさっぱり分からぬ」
秀吉が厠で踏ん張りながら呟いている。秀吉には茶々の真意が全く伝わっていなかった。
「なぜ頬を叩かれたのかのお…」厠から出た秀吉が腑に落ちぬ顔で廊下を歩いていると「事件現場」の縁側で茶々とばったり出くわす。

「いやいや、今日もよう晴れましたなあ…」話題を逸らせながら、何気ない風で茶々に尋ねた。「先だって、お茶々様が頬を叩かれた訳は?」

「耐えられなかったのです! 昼日中から若い側女と戯れることが…。何より、そのお顔、お姿が嫌なのです!」

茶々から手酷い言葉を投げつけられた秀吉はすっかり落ち込む。
「今すぐ聚楽第に行く! 大坂にいることは耐えられないのじゃ~!」寝室に戻った秀吉はベッドの上で布団を被りながら、おねの前で駄々をこねる。
「お茶々様のことですか? 女房の前でヌケヌケと…」呆れるおねだったが、茶々にビンタされた一件を聞くと顔色が変わった。「お茶々様がお前様を叩いた?」

おねも茶々の恋心には勘づいていた。知らぬは当事者の秀吉ばかりなり、ってところだ。
大竹しのぶの、微妙な表情の変化で感情を表す演技はやはり絶品だ。そう言えば、大竹もかつては上野樹里と同じく天然女優の異名を取っていたが、当時から演技力には定評があったなあ…。

秀吉が大坂を去ると聞いた江は大喜び。中庭に向かって「猿がいなくなるぅ~! 猿よいなくなれぇ~!」と叫ぶ。同席していた茶々は、口では江に同意しつつも、表情は寂しさでいっぱい。宮沢も、微妙な表情の変化だけで複雑な感情を表せる。大竹と宮沢の確執がますます楽しみになってきた。

その夜、庭の東屋へ茶々を呼び出した秀吉は、再度プロポーズを試みるも「あなたは…父と母の敵です!」と、またしても拒絶される。
「本日このときをもって、キッパリ諦めまする」と言って去ろうとする秀吉を茶々が呼び止める。
「力ずくで我が物にしようとは思わぬのですか?」
茶々の婉曲な愛情表現も秀吉には通じない。「普通のおなごならそうしていたでしょう。では…」と言い、去って行った。

翌日、聚楽第に向かう北政所ら秀吉の家族一向が、茶々と江に挨拶をする。

「あの…関白殿下は?」と心配顔で尋ねる茶々に「一足早く立ちました」と答えるおね。
龍子が「お茶々様は殿下の頬っぺを叩かれたとか…。私もあの側室はチャラチャラして嫌いでした。すっきりしましたわ。ですよねぇ…」傍らのおねに同意を求める。「フフッ、そうじゃなあ。夫には良い薬です」おねは頷くが、やはり目は笑っていない。このピリピリした緊張感。女達の腹の探り合い。こりゃ完全に大奥の世界だよ。ヒィー! 恐いよぉ~~!!

いきなり場面は半月のち。秀吉が京都で催した北野大茶会のことも、侍女たちの説明だけでスルーしてしまった。歴史的な一大イベントが完全スルーで、恋愛模様は嫌というほどコッテリ見せつけられる。こういうパターンにもすっかり慣らされた。

塞ぎ込んでいた茶々だったが、「聚楽第から関白殿下がお見えになりました。お茶々様にお逢いしたいとお仰せです」との報を受けると、侍女にも不審がられるくらい“いそいそ”と秀吉の元へ赴いていった。
久しぶりに逢った秀吉が茶々に告げたのは名門公家との縁談。政の道具にする気かと茶々は怒るが「決して政略結婚ではなく、お茶々様に幸せになって頂きたいとの思いからです。せめてもの罪滅ぼしです」秀吉が頭を下げる。「そこまで考えて頂いたのなら…お受けいたします」と茶々は即答した。

茶々の縁談成立を誰より喜んだのは江だった。「やっと猿も姉上のことを諦めたか!」
だが茶々は浮かぬ顔。夜半、寝所で寝床に就くとき江も「姉上はあまり嬉しそうではなかった」と侍女にこぼす。「そう! わたくしもそう思っておりました。でも、姫様とお別れになるのがお寂しいからでしょう」と言われ「そうじゃな…」と、江も無理やり自分を納得させる。


茶々は、秀吉との逢瀬の際に交わした言葉を忘れられず、例の東屋に来てしまう。そこへ偶然、秀吉が通り掛かった。秀吉も、眠れぬから来てしまったと言う。
一礼して立ち去ろうとする秀吉に茶々が尋ねた。
「なぜですか?なぜ、私に縁談など…。私を側室になさりたかったのでは?」

「それは諦め申した。いや、諦めきれぬから縁談を持ってきました。己れの気持ちにけりを付けるために…」

「ならば三成を寄越せばよいこと…」

「それは…己れの口からお伝えしたかったから…いや、ひとめお茶々様にお逢いしたかったからでございます…いやいや、これはまた未練がましい。こうしていては、また未練が募ります。これにて御免!」

再び立ち去ろうとする秀吉に、茶々が精一杯の想いをぶつける。

「未練を持つなら、いっそ持ち続けるべきではありませんか! 幾度か断られたぐらいで諦めるのは、それしきの想いしかないからでございましょう!!」

「そのような…」

「…そうなのです!」

燃えるような眼差しで訴え掛ける茶々。秀吉もついに茶々の真意を悟った。表情を“オス”の顔に一変させ、茶々に駆け寄り手首を掴んだ。

「お離しなされっ!」茶々は反射的に身を翻し拒絶の言葉を吐くが、もちろん本意ではない。手を振りほどき秀吉と向かい合う。「そなたは敵(かたき)じゃ…父と母の敵じゃ…」言葉とは裏腹に、もはやそこに秀吉への敵意はなかった。

「さよう、敵にござります。ならばこそ、あなた様に尽くします。尽くして、尽くして、あなた様を命懸けでお守りいたします。この手で…守り抜いてみせまする…」膝まずいて茶々の手を取って誓うや、立ち上がり茶々を固く抱き締めた。

「そなたは…敵じゃ…敵じゃあ…」茶々は涙に溢れ、言葉もかすれ、ただただ秀吉に身を委ねた。
「守り抜きまする…」茶々の耳元へ押し殺したような声で囁くと、秀吉は更に強く茶々を抱き締めた。その想いに応えるかのように、茶々も秀吉の背に手を回してきつく抱き締め返した。
大きな満月の下、狂おしく抱き締め合う二人のシルエットが一つになった…(このシーンで流れる甘く切ないバラードのBGMが、これまたいい!)。


書いていても照れ臭くなるくらい、熱烈なラブシーンだ。大河ドラマでこんな迫真に満ちたラブシーンは見た記憶がない。NHKだから卑猥な描写はもちろんないが、二人の情熱の現し方が半端ではないほど凄い!

宮沢は今回で5回目の大河ドラマ出演だ。2003年にはフジの年末時代劇『太閤記 猿と呼ばれた男』では、なんとなんと、お市の方を演じている。その時の画像と、今回の画像とを見比べてみるとかなり印象が違う。





上が2003年で、下が今回のものだ。可憐さというか若々しさではもちろん8年前の方が勝っているけど、艶かしさというか憂いを帯びた深みという点では今の方が格段に勝っている。今の宮沢りえだからこそ、あんな狂おしく切ないラブシーンを演じられるんだと思う。ただ可愛さや若さだけで勝負している女優には、絶対に演じられない境地にまで宮沢は到達している。

相手役の岸谷五朗も、感情表現の巧みさはずば抜けている。今回の大河はマンガチックな演出が目につくが、シリアスな演技をしたらそこはやはり舞台出身だけあって素晴らしい。ラブシーンはやや誇張されてはいたけど、その誇張さ加減が絶妙で唸らされてしまう。

宮沢と岸谷は2004年に日テレのドラマでも共演しているので、息が合ってるのかなあとも思う。





シリアスさがまるで違うから単純比較はできないけど、宮沢の、女優としての進化(深化?)は一目瞭然ではないかなあ?

来週のサブタイトルは「豊臣の妻」。予告編を見ると、おねと茶々との間に相当、確執が出てきそうな感じ。ストレートな台詞やジェスチャーに頼らず、表情や言葉の行間だけで、どれほど女の性(さが)を醸し出せるのか注目だ。
「江ワールド」は見方をちょっと変えるだけで、意外な奥の深さが感じ取れるし、非常に楽しめると思うよ~

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2 コメント

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宮沢りえさんは綺麗です。 (★魅乃乎★)
2011-11-22 15:35:09
嬉しい程、同意見です。
今年の大河ドラマ(来週で、おいおい最終回ですが)は実話的でなくあくまでファンタジーでしたが、かえってそこが面白く見れたと思います。

確かに、宮沢りえの淀(茶々)は綺麗でした。昔の宮沢りえの方が綺麗だという声もありますが、今の宮沢りえは妖艶な儚さを伴った、大人の女性って感じで大好きなんです。(例えば伊エ門の宮沢りえもたまりません!!)その宮沢りえ+男感情の演技をやらせたら絶品の岸谷五郎が、それ以外は思いっきりズッコケなのに淀と二人の時、とくにこの恋の時期は・・・色気あります。
おじさんと若い女の恋なわけなのに、感情移入してドキドキでしたもの!!
多分、この時期が今年の大河ドラマで一番面白かったです。。。!!
久しぶりの書き込み (ブガッティ)
2011-12-12 05:59:26
★魅乃乎★さん、コメントありがとうございます!

最近は書き込みから遠ざかっているため、お返事が大変に遅れてしまいました。まことに申し訳ありません(ご本人はもう見てないと思うけど…)

今年の大河ドラマはもう終わったしまいましたが、宮沢りえさんの演技は良かったですね。
最後、大坂夏の陣で自害するシーンは悲壮感が漂ってましたが、同時に少女時代を演じていた頃にはなかった貫禄まで備わっていて感心させられました。
短期間でキャラを演じ分けるとは、さすが女優さんですね!

上野樹里が、晩年の江をどんな風に演じるんだろうか?と気を揉んでいましたが、意外や意外、落ち着いた江を演じていてホッとしました。
決して、世間で言われるほど大根ではないように思います。

…さてさて、長らく放置していた拙ブログですが、折りを見て再開させようかなあと思っています。
年明けには新しい大河ドラマが始まるし、それ以外にも色々と興味深い番組もありますしね

その節はまた、よろしくお願いしますね!(…って、やっぱりご本人は見てないですよね)

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