21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

この世の由来-世記経  ~人類の降臨 その1

2013-07-09 05:16:31 | 経典
仏陀は比丘たちに語り始める。
 
「〈光音天の下までの世界〉を焼き尽くす〈火災〉もついに終わり
〈失われた世界の天地〉がふたたび生成されようとしていたとき、
“とある生きもの”が
〈光音天〉での“幸せ”が尽き
“おこない”が尽き
“命”が尽きて、
〈光音天のひとつ下に新しく生まれたばかりの天国・空梵處(大梵天)〉に生まれた。

彼はこの世界の美しさに心を奪われ
“執着の心”を起こして、

 -ほかの者たちとともに、ここに生まれたいものだ。

と願ったのだった。
 

やがてほかの者たちも
“光音天での身体”が壊れ
“命”が尽きて
〈空梵處〉へと生まれた。


すると
先に〈空梵處〉に生まれた“彼の者”がこう告げた。

「私こそが〈空梵処の王〉だ。
〈大梵天王〉なのだ。
なぜなら私は
“おのずと存在している”のであり
“私を創造した者などいない”のだから。

私は
“この〈梵天以下の千の世界〉を自在に善くすることのできる者”であり
“万物を豊かに生み出すことのできる者”だ。
私は
“あらゆる生きものたちの父であり、母である”のだ」


あとから来た者たちはこう思った。

―あのお方こそが〈空梵処の王〉だ。
〈大梵天王〉なのだ。
あのお方は
“おのずと存在している”のであり
“私を創造した者などいない”のだから。

あのお方は
“この〈梵天以下の千の世界〉を自在に善くすることのできる者”であり
“万物を豊かに生み出すことのできる者”なのだ。
あのお方は
“あらゆる生きものたちの父であり、母である”のだ。
私たちは
あのお方にこそ従うべきだ―

と。


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