現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

グードルン・パウゼヴァング「賢母十字勲章」そこに僕らは居合わせた所収

2017-02-24 10:12:33 | 作品論
 戦時中のドイツでは、子どもを四人以上生んだ女性に「賢母十字勲章」が贈られることになりました。
 それだけたくさんの兵士を誕生させて、国に貢献したということなのでしょう。
 日本でも、「産めよ増やせよ」というスローガンのもとに同様の風潮がありました。
 その村では、女性たちに「賢母十字勲章」を授与するのは、「少女団(ヒトラー・ユーゲントの女性版)」の少女たちの役目でした。
 おそろいの制服で、式にふさわしい歌を歌い、勲章と花冠を授けるのです。
 ほとんどの女性たちは、「賢母十字勲章」の授与を喜びました。
 しかし、年老いた洗濯女アンナ・ハーバマンは、少女たちが歌った「英雄に墓石を」を聞いて腹を立て、勲章を肥溜めに放り込み、花冠をヤギに食わせてしまいます。
 アンナ婆さんの四人の息子たちは、全員第一次世界大戦で戦死していました。
 その話を聞いてあわてた村長は、肥溜めを懸命に探しましたが、勲章は見つかりませんでした。
 でも、なぜかアンナ婆さんにはナチスからのお叱りはありませんでした。
 戦争中でも、ナチスの権威に抵抗を示したアンナ婆さんが痛快です。
 庶民のたくましさやユーモアが描かれていて、好感が持てました。

そこに僕らは居合わせた―― 語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶
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