現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

0.5ミリ

2016-10-08 10:50:05 | 映画
 ひょんなことから事件に巻き込まれて、職を失って放浪している若い介護ヘルパーの女性の話です。
 様々な問題を抱えた老人たちと知り合って、そこに寄生する形で生活をしています。
 介護、老々介護、老人の性、老人ねらいの詐欺など、極めて今日的なモチーフを描いているので興味深いです。
 前半はテンポも良く、泊まるところをなくした家出老人と一緒にカラオケでオールをしたり、ネズミ講のような詐欺から一人暮らしの老人を助けたりして、なかなか痛快です。
 しかし、中盤から、戦争、生きていくこと、親子問題、近親相姦(?)、性同一性障害などの重い問題が、未消化なまま生硬な感じで出てきて、中途半端な印象を受けました。
 特に、登場人物のセリフとして、テーマが生のまま語られたシーンには閉口しました。
 やはり三時間十七分の上映時間は長すぎて、しかも途中からはテンポもかなり悪いので、観客が飽きてしまいます(休憩時間もないので、途中でトイレへ行く人が続出していました)。
 この内容では二時間以内に刈り込まないと(特に後半)、商業的に成功させるのは難しいでしょう。
 主演女優の安藤さくら(女性監督の妹)はけっして美人ではなく、しかもノーメイクに近いので、作品にリアリティを持たせています。
 その点では、このような映画では、美人女優はかえって不利でしょう。
 また、共演者たちは芸達者なベテランぞろいなので、未熟な監督や主演女優をかなり助けています。
 ただし、主人公は家事や介護ヘルパーとしての腕前は超一級(腕前を強調しすぎています)なので、冒頭で職を失ったからといって、ただちに放浪生活に陥る設定には、かなり無理がありました。


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