現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

新庄耕「狭小住宅」すばる2012年11月号所収

2016-07-05 14:11:09 | 参考文献
 第36回すばる文学賞を受賞した作品です。
 ブラック気味な不動産販売会社に勤める若者が、都内の一戸建て住宅(狭い所に無理やり立てているのでペンシルハウスと呼ばれている狭小住宅)を顧客に売り込んでいくうちに、内面も外面も次第に変わっていく様子を描いた作品です。
 新庄が不動産業界にどのような体験や取材経験があるのか知りませんが、そこで描かれている会社の様子はかなり底が浅いような感じがしました。
 得々と語られている売り方は、業界とは無縁の私の経験(購入側でしかありません)でも、簡単に想像がつくような販売ノウハウでしかありません。
 また、少し謎めいて描かれている上司のコーチングも、管理職としては初歩的なものにすぎません。
 おそらく新庄は、まともに会社で働いた経験(不動産販売会社でなくてもいいのですが)があまりないのでしょう。
 しかし、審査する方の面々も、作家としてのキャリアは申し分ないのですが、実社会で働いた経験があまりない人たちばかりなので、この程度の会社の描き方でもリアリティがあると思いこんだようです。
 また、ストーリー展開もご都合主義ですし、人物造形(特に女性)も浅薄ですので、エンターテインメントならばまだしも、純文学としては食い足りないと思います。
 一方、エンターテインメントとしては、この題材と描き方では想定される読者であるサラリーマン層にとって読み味が悪すぎて、需要が見込めないのではないでしょうか。
 作品世界と審査員のミスマッチが、このどっちつかずの受賞作を生みだしてしまったのかもしれません。

すばる 2012年 11月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
集英社


狭小邸宅
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1 コメント

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なんか共感できなくて~ (すずらん)
2014-03-16 02:17:24
すばる文学賞つながりで
奥田亜希子さんの第37回すばる文学賞受賞作『左目に映る星』を読みました。
オタクのひとってなぜか凄いピュアな存在のように書かれること多いよな~なんて。

ttp://birthday-energy.co.jp/ってサイトは奥田亜希子さんのことを人を育てる教育者に向くが、結婚した相手を発展させず、滅ぼすばかりの人 なんて書いてましたよ。コワイコワイ。ちょっと変化球な視点のコラムをぜひ読んでね♪
「ハレる運命2014」も配信中!!

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