現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

戌井昭人「すっぽん心中」すっぽん心中所収

2017-02-26 11:07:36 | 参考文献
 追突事故でリハビリ中の27歳の男が、社会の底辺をきわどく歩いてきたような19歳の女の子と繰り広げた珍道中を描いた作品です。
 土浦でのすっぽん捕りをクライマックスに、いきあたりばったりの猥雑な二人の関係がこれでもかと描かれているのですが、女の子に奇妙なバイタリティがあって、不思議と二人の場当たり的な生き方に共感できます。
 社会の底辺で閉塞した現状を生き抜くには、こんな風な生き方もありなのかと思いました。
 児童文学の世界でも、今問題になっている教室カースト制度の底辺の子どもたちにエールを送る、このようなたくましい作品があってもいいかもしれません。

すっぽん心中
クリエーター情報なし
新潮社

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