現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

落合恵子「子どもと大人、同時代を生きる~クレヨンハウス40年の歩み~」

2016-10-18 07:41:31 | 参考情報
 日本児童文学者協会の創立70周年記念公開研究会での講演です
 彼女の基本的な考え方の話から始まりました。
 それは、ネイティブ・アメリカンに伝わる「七世代先の子どものことを考える」ということで、そこまでいかなくても、次世代あるいは孫世代のことを考えて行動しているそうです。
 それは、多くの児童文学者とも共通する考え方ではないでしょうか。
 その後は、いろいろと話が飛びましたが、以下のように分類できます。
 彼女の政治および社会活動の話(安倍政権批判、トランプ批判、石原慎太郎批判、TPP反対、反原発、戦争反対、ペットブームと殺処分、動物実験反対、新潟知事選挙など)。
 クレヨンハウスの話(児童書も含めて命にとって大事なもの、オーガニックの八百屋、クレヨンハウスのお金はどこ(男)から来てるのと言われた(実際は「スプーン一杯の幸せ」の印税)、女性の働く場所を確保する、平和と反戦の絵本、女性の一生を描いた絵本など)。
 文学の話(ボブ・ディラン、文学の範囲とはなにか、子どもの本は全ての世代のため、読まれて初めて本になるなど)。
 差別の話(子どものいない人に何ができるといわれる、子どものいる人が何をしたのか、アザー・ボイス(非主流の声)、フェミニズム(男性優位主義というナショナリズムに異議申し立てする)、一般に普通と言われる人たちとそれ以外のマイノリティの人々、女性の人権、子どもの人権、シングルマザーの子どもとして生きてきた自らの生い立ち、オリンピックは国威発揚のため(一番感動したのは1968年のメキシコオリンピックの表彰式で人種差別反対を表明した選手たち)など)。
 彼女の主張の是非は別として、観衆(特に女性)の共感を得るスピーチがうまいなと思いました。
 ただ、日本児童文学者協会の創立70周年記念公開研究会における講演ということを考えると、もっと「児童文学」に寄せた内容にすべきだったでしょう。
 特に、ラストで彼女がかかわって作った歌をCDか何かで聞かされた時は、強い違和感を覚えました。
 それは、私だけではなく、その後の分科会や懇親会の時に、他の児童文学者たちも違和感を感じたことを述べていました。
 おそらく落合のファンが多いであろういつもの講演会ではここで盛り上がるのでしょうが、今回はどこかしらけた雰囲気になっていました。
 また、「私がフェミニストなのは女性がマイノリティだからで、男性がマイノリティになったら私は男性を擁護する」と述べていましたが、完全に男性(書き手も読み手も)がマイノリティでL文学(女性の作家が、女性を主人公にして、女性の読者のために書いた文学)化している現在の日本児童文学の状況(当日も参加者の大半は女性でした)を考えると、皮肉にしか思えませんでした。

スプーン一杯の幸せ―愛を語る三つの形
クリエーター情報なし
祥伝社



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