現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小川洋子「若草クラブ」不時着する流星たち所収

2017-05-06 10:50:54 | 参考文献
 学芸会で「若草物語」を演じたのをきっかけに、四姉妹役の少女たちが、「若草クラブ」という秘密のサークルを結成します。
 といっても、それぞれが自分の演じた少女(メグ、ジョー、ベス、エミイ)のセリフを言いながらその役になりきるだけです。
 主人公の少女は、末娘のエミイ役なのですが、文学少女(学芸会のシナリオも彼女が書きました)なので、本当は作家志望の次女ジョーをやりたかったので不満でした。
 でも、映画の「若草物語」で、エリザベス・テイラーがエミイを演じたと聞かされて、考え直します。
 そのうちに、主人公は、エミイではなくエリザベス・テイラーになりきろうとします。
 彼女に、自分との共通点(毛深い、仮病を使う、足の大きさが21センチ)を見出したからです。
 主人公のなりきりは、だんだん病的(成長して大きくなろうとする足を無理やり矯正する、十二種類の薬を飲む(エリザベス・テイラーが飲んでいたような過激な薬ではなく、ビオフェルミンや正露丸などですが)、結婚ないし離婚相手(エリザベス・テイラーはこの時点で七回結婚していました(最終的には八回))を暗唱する、エリザベス・テイラーが飼っていたシマリスは無理なのでハムスターを飼って12匹にも増やすなど)になっていき、最後に破綻します。
 すでにおわかりのように、この作品は往年のハリウッドの大女優(1950年代から1970年ごろまでは世界で一番美しい女性だと言われていました。なにしろ日本で俗に言われている世界三大美人(他の二人は楊貴妃と小野小町)のクレオパトラ役もやったのです)エリザベス・テイラーに触発されて書かれたものですが、この作品の舞台の1980年ごろ(レーガン大統領の就任式が出てくるので)にはすでにかつてのようには人気がなくなっていたので、若干無理があるかなって気もします。
 また、彼女が出演した「若草物語」は1949年の作品(その後テレビでも放送されましたが)なので、みんなが知っているのは明らかに不自然です。
 作品のテーマになっている「若草物語」は、かつては「小公女」や「赤毛のアン」などと並んで、女の子に人気のある児童文学の定番でしたが、さすがに今ではあまり読まれなくなっているでしょう。
 ただ、個性の際立った四姉妹、メグ(美人で女性らしい魅力にあふれている)、ジョー(男勝りで作家志望の文学少女)、ベス(病気がちで内気なピアノの名手)、エイミー(わがままで気まぐれだが、その分かわいい)の書き分け方は、多くの追随者を得て、今でもパターンとして生きています。

不時着する流星たち
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