ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

阪急電車 有川 浩

2011年06月11日 | 有川 浩
2008年
幻冬舎



初めて有川浩さんを読んだのは「空の中」という作品だった。
非常に面白かった。
いつも、有川さんの作品を読むときは「空の中」のような作品を思い描いて読んでいるが
どうも、「空の中」だけ違うのでしょうかね・・・

この作品はAmazonなどのレビューでも高評価なのですが、どうも私はピンとこないです。

阪急電鉄の電車の中や駅で起こる、日常の中の小さな事件(?)
その場にいる人たちの生活や人生がささやかに交差する。

図書館の帰りの電車でよく見かける女性が隣に座った。
実は、ちょと気になっていた人だった、
その女性が電車の窓から外を見ている、気になってその彼女が見ている方向をみると・・
川の中州に文字のオブジェのようなものがあり、
二人は話に花を咲かせる

そして、その声が漏れ聞こえていたのは

婚約者を寝取られ、ささやかな復讐のために
二人の結婚式に白いドレスで出席した帰りの女

そのドレスを見て喜ぶ孫とともに電車に乗り込んできた年配女性
その年配女性は白いドレスの意味を感じ取り、
ちいさなアドバイスをする。

そのドレスを着た女を見ていたカップル
結婚式での来賓の白いドレスについての話から
彼氏の方が一方的に不機嫌になり当り散らす
部屋などでも殴られたりけられたりしながらも別れられずにいた。
彼氏がその彼女を置き去りにして去って行ったあと
先の年配女性が一言
「下らない男ね」
その一言で冷静になり別れることに決める

と、決めたはいいが心が揺れているところにあらわれた
数人の女子高生
彼女たちの話を聞いて、こころは固まる

・・・

と、言った感じ前半は登場人物の現在の状況
後半で、彼ら彼女らの問題の解決

本の薄さにもかかわらず、
沢山の登場人物を出しすぎて、全体が薄い
どう考えても、おばあさんの一言で解決するような話じゃないと思うが
解決してしまう。
そもそも、電車の中で知らない人通しがこんなに気安く話をするのかな~など、突っ込みどころも満載だ。

あと、勧善懲悪というのでしょうか、
最後の方で、マナーの悪いおばさんを撃退する部分があるが、
小さな物語を積み重ねた最終的な終点はそこ?って感じである。

読んだ後も、なにも残らずヒマつぶしにはもってこいだが、
結構、残念な作品かな・・・

恩田陸さんの「ドミノ」を読んでいるので
ついつい比べてしまうが、「ドミノ」にくらべるとかなり薄っぺらな印象です。

ただ、あくまでも私の意見でAmazonのレビューの評価は高いです(何度もいいますが・・・)


植物図鑑 有川 浩

2011年05月25日 | 有川 浩
2009年
角川書店
☆☆


しばらくヘヴィな本がつづいたので、
ほっこりと優しい気持ちになれる一冊で・・・

ある日、さやかは飲み会でほろ酔い気分になって帰宅する途中
行き倒れていた青年イツキを拾うことになる。

翌朝、イツキは朝食を用意してくれて、すっかりその食事に魅せられたさやかから、
行くところが無ければしばらくいてもいいと提案し、
二人の同居生活が始まる。

イツキは野草に詳しく、
出不精だったいつきを休みごとに近所の河原などに連れて行き、
そこでいろいろな野草について話したり、食材となる野草を摘んで
その日の食事にしたりする。
フキノトウやノビル、イタドリやワラビなど季節ごとの野草とともに、
その時の思いでが語られていく。

イツキは、名前以外は何も語らず、さやかもあえて聞かずにいたが
ある日、さやかが仕事から帰ると、部屋からイツキが消えていた。

毎週のように二人で野草を見たり、収穫したりと楽しく過ごしている姿が
とてもすがすがしく、暖かい気持ちになる。
イツキが居なくなるシーンでは、ちょっと切ない気持ちになるが、
最終的には、ステキなハッピーエンドが待っていて
安心して読める、やさしいラブストーリーとでもいいましょうか。
この、野草の料理とラブストーリーが絡んでいるところが、なんとも素敵です。

図書館戦争 有川 浩

2010年05月30日 | 有川 浩
2006年
メディアワークス
☆☆


まず読み始めて、この本の設定や世界を確認する。

この本は、たぶん近未来
公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』
というのが施行される。
超法規的検閲により本が狩られていく。
本を守る為、図書館には図書防衛軍とうのがあり・・・・

そして、この本のヒロイン郁は
学生時代に、本を購入しようと本屋へ行った時
良化隊による査察が入った。
購入予定の本をとっさに隠してしまったが、良化隊に見つかってしまう。
そこへ現れたのが図書隊員の青年である。

郁は、その図書隊員を王子さまと慕い(顔は覚えてないが)
図書隊員となる。

軍備の専門用語はよくわからないが、
テンポもよく、楽しく読める。

図書館戦争



シアター! 有川 浩

2010年03月14日 | 有川 浩
2009年
メディアワークス文庫
☆☆



父は売れない俳優だった、
そして、弟は学校でいじめられ話すらできず唯一話ができるのが兄である司だった。
少しでもコミュニケーションができるようになったらと思った母親が
弟に演劇を習わせることにしたのだが、
そこで思わぬ才能があったことに気がつき、弟も物事をアピールすることができるようなった。


時は流れて、その弟は採算の取れない劇団の主宰者となっていた。
ある日、司のもとに300万円の借金を申し出てきた。

そこで司は、300万円を無利息で貸す代わりに
劇団の利益のみで2年以内に返還することを条件とし、
もし返せなければ劇団を潰すという。

司の采配により劇団の立て直しが始まるのだが・・・

実に、軽快で楽しく読める。
一見つめたそうな印象の司であるが、
弟を大切に思っているのが伝わってくる安心して読める本だ。

ただ、最後が尻切れトンボで終わっていて、
劇団の行く末がきになるところだが、もしかしたら続編が出るのかもしれない。


気になったらチェック↓

シアター! (メディアワークス文庫)

空の中 有川 浩

2008年12月31日 | 有川 浩
2008年
角川文庫
☆☆☆



民間航空機が高度2万の空域で事故を起こした。
さらに、自衛隊機も同じ空域で何かに激突した。

事故調査員の青年と自衛隊機の女性パイロットは高度2万であるものを発見する。
そして、事故死をした自衛隊員の息子と幼馴染の少女は海辺であるものを発見する。

高度2万メートルに生息する”者”は不本意ながら航空機事故を引き起こしてしまった。
その時に一部が剥離して地上に落ちてしまう。
その生まれたものは知能は高いものの真っ白な状態であった。
少年はそれを拾ってフェイクと名づける。
父親を亡くしたことでフェイクにのめりこんでいく、
フェイクを盲目的に、自分の思うがままに育てていったが、
あるとき、少年の父親を事故死させたものとフェイクは同じものだと知って
フェイクを放置してしまう。

これは、フィクションであるがフェイクとペットをオーバーラップさせた時、
かわいいからペットショップで犬や猫などを買うが
面倒になって捨ててしまうという話を考えてしまった。

この作品はとにかくテンポが良く、飽きることがない。
全編ずーっと”面白い”
作者のプロフィールを見ると
”電撃ゲーム小説大賞”の出身者であった。
電撃ゲーム小説はテンポの良いスピード感ある作品が多い、

青年と女性パイロットの側と少年と幼馴染の側がそれぞれ進行して・・・
なかなかのオススメ本です。


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