「2083―ー欧州独立宣言」日本語版

グローバル極右界の「共産党宣言」、現代世界最大の奇書

3.82 父権を復古せよ(p1138~)

2013-02-23 21:47:39 | フェミニズム批判
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フィリップ・ロングマン


 原注
 以下に過去20年間の右派の発言を辿ったフィリップ・ロングマンの随筆を掲載する。父権制は必ず復古するが、現状が継続すればキリスト型でなくイスラム型の父権制が顕現してしまう。我らの父権制を復古させる期間は20~70年しか残されていない。
 願わくば西欧の多文化体制が我ら文化保守に政権を移譲せんことを。例え、欧州が紅世化して灼血の大河が流れようとも、イスラムとマルクス主義は必ず敗北し、新欧州の文化ルネサンスが灰燼から蘇る。

(出典不明)

 「我らが嫁無しで生存できるのなら、我らローマ市民は皆あの迷惑者を厄介払いすることだろう」クィントゥス・カエキリウス・メテッルス・マケドニクス将軍は出生率の低下する前131年、こう演説した。「されど、我らが俺の嫁を快適に扱えぬよう天は嫁を設計なされた。我らは泡沫の歓喜よりも種の恒久存続を考慮し、苛立たしきローマ女に向き合って、生殖の義務を果たさねばならない」
 世界人口はこの2世紀で6倍に増えた。疫病で中断しても、人類はずっと持続可能分以上に生殖してきた。人口増加でセカイが混雑する事態をマルサス等の近代学者は想定した。
 しかし、この30年間以上、先進国を中心に出生率は持続水準の2.1以下に低下している。これは衛生状態のカイゼンを差し引いても余りある事態だ。中国、韓国、シンガポール、日本、カナダ、カリブ諸国、欧州全域、ロシア、一部中東諸国がその事例だ。
 老人過剰社会を懸念する政府は各種対策を打ち出している。シンガポールは「速婚会」を主催し、フランスは家族持ちに優遇税制を打ち出し、スウェーデンは日療(デイケア)を財務支援する。しかし、これで若年出産が進んでも、子の数は増えない。両親の経済状態が悪いと、独裁者でも出産数を増やせないのだ。
 このような事態は歴史上何度もみられた。では人類は何故衰滅しなかったのか?それは父権制の御蔭だ。
 父権とは男支配だけを意味するのではない。男が適当な地位の女と結ばれる価値観だ。父権も一つの価値観故に他の人生観と競合し、循環を繰り返す。しかし、父権こそが富裕層の出生率を高水準に保ち、子供への投資を増やす。父権なしでそれができた先進文明は未だ存在しない。
 文化進化の歴史では、父権的な社会のみが人口力で権力を掌握し、そうでない社会は蹂躙されてきた。これは啓蒙主義者がスルーしたい人類史の真名だ。

 保守的な出産潮(ベビーブーム)
 父権と人口、権力との間には相関関係がある。米国は先端兵器をもってしても、人員不足故に帝国秩序をイラク等で顕現できない。大英帝国も出生率が20世紀低下すると共に衰退した。一人っ子が常態化した中国、ドイツ、イタリア、日本、スペインなどではどんなに人材が優秀でも人命の価値が高すぎるのだ。
 高齢化社会の進展と出生率の低下は高齢者福祉の原資不足に結び付き、労働者層への増税となって顕現する。増税すると、若年夫婦は更に出産しようとしなくなり、悪循環が生まれる。
 出生率が低下すると、国民気質も変わる。1930年代の米国で子無しの女性は1割程度だったが、50年代になると2割が子無しで閉経した。その数は60年代以降のフェミ潮や対抗文化運動で増加しただろうが、その遺伝子は次世代に受け継がれまい。一人っ子家庭にもその指摘はほぼ当て嵌まる。
 一方で、4人以上出産した親の子供が増え続けている。これはつまり、子無し家族を常態化した社会風潮を無視した者の子供が次の社会を形成するということだ。そうなれば、父権や伝統、民族意識も復古することだろう。
 現に、世俗個人主義が主流だった米国文化が宗教原理主義へと転移し始めている。2004年大統領選でブッシュを選出した州の出生率はケリー選出州より12%高かった。これは欧州でも同傾向であり、世界市民と自称したい欧州人の出産傾向は最も低かった。
 こうした世上の変態は歴史上何度もみられた傾向だ。生殖を怠る世俗や個光の文化価値観は、父権的な伝統価値に代替される宿命なのだ。
 古代希秦(ギリシア・ローマ)社会から、知識階級は少子化を志向していた。しかし、それによって社会が衰滅することはなく、文化進化の原理に従い父権秩序が復古してきたのだった。

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