「2083―ー欧州独立宣言」日本語版

グローバル極右界の「共産党宣言」、現代世界最大の奇書

イスラム寛容のアムネジア(p712~)

2013-01-25 00:11:20 | イスラム史批判
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 ボスニアのイゼトベゴヴィッチは2003年亡くなった。西洋マスゴミは彼を穏健派と呼ぶが、それは違う。彼は1970年『イスラミズム宣言』において、イスラム圏全体を包摂する大イスラム連邦の創設を訴え、投獄された経歴の持ち主なのだ。そこでは夷教政権を転覆し、新イスラム社会を創設するまで力を養晦するよう提唱されている。
 イゼトベゴヴィッチはまた、国連認定のアルカイダの燐子ヤシン・アル・カーディからも資金援助されていた。ヱヴァン・コールマンの『アフガン・ボスニア網』によると、アルカイダの欧州細胞を理解するにはボスニア内戦が重要だ。イゼトベゴヴィッチはザワヒリどころかオサマ・ビン・ラディンにも査証を発給していた。サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』は1993年の論文が初出だが、そこでも宗派を超えたイスラム諸国のボスニア支援が言及されている。彼らムジャヒディーンは戦後もボスニアに残り、テロ基地の運営や青年への教布を行っている。バルカン半島中に拡散した彼らは、非アラブの「白人ムスリム」も募兵している。サウジは10億ドル以上を投資して、158のモスクを建てた。人口の1割がムスリムのブルガリアでもまたトルコとの国境部を中心にテロ組織の侵蝕が進んでいる。
 マケドニア共和国はコソボ紛争後、アルバニア人多数区でアルバニアの国旗を掲げるのを公認した。すると、2001年分離主義者により7か月間の紛争が勃発した。マケドニアでは4分の1がムスリムのアルバニア人だ。現今の出産趨勢では、マケドニア人は近未来深刻な試練に直面するだろう。コソボでもキリスト系セルビア人の教会や修道院がNATOの傍観する中討滅されている。
 国連保護軍(UNPROFOR)のルイス・マッケンジー司令官は「我らは逆を空爆したのか?」という文章の中で、「コソボのアルバニア人は我らをストラディバリウスにした。我らは彼らのコソボ純血化作戦に間接的に協力してしまった。90年代初頭の暴力行為も非難せず、我らはコソボのアルバニア人を被害者扱いしている。実際は加害者なのに。もしこのまま独立を認めたら、テロ組織に支援された同種の独立運動を公認することになるだろう」と記した。
 国連交渉官として、アハティサーリは「セルビア人そのものが有罪」と語った。旧ミロシェビッチ体制だけでなくセルビアの民族凡てを罪人扱いしたのだ。この発言を当て嵌めるなら、相応しいのはトルコだろう。トルコはオスマン時代からアルメニア人を筆頭にジェノサイドを繰り返し、今も謝罪は愚か認定さえ拒否している。
 ディミター・アンジェロフがいうように、オスマン帝国のジハードはバルカン半島に壊滅的影響を齎した。現今の「世俗」トルコもジハードの伝統を継承している。1974年のキプロス侵攻で燼光されたヴァロシャの街からはギリシア系住民が放逐され、トルコ軍の長城が街を覆っている。北キプロスでは18万の内10万がトルコからの入植者だ。キリスト教施設の破壊を通して北部のイスラム化が進捗している。ニコシア・ビザンツ博物館によると、2万5000近くのイコンが北部から奪光され、ロマネスク教会等は世俗の用途に改造された。キプロス共和国内のモスクが保全されているのに、北キプロスでは教会のモスク化が進行していることを突かれた北の政府代弁人は「これはオスマンからの慣習」と答えた。
 タタールの軛に置かれていたロシア政府よ、どうか洞燭して欲しい。どうして西洋侵蝕を目論むイランに核技術を提供するのだろうか?イランの野獣は自分達には来ないと盲信しているのだろうか?しかし、イランはチェチェンの逆徒たちを隠密訓練しているではないか。
 中央アジアでもソ連崩壊以後、ワッハーブ・クールに基づくイスラム復興が進んでいる。ロシアはイスラム問題で内憂外患に囚われている。中央アジアとの国境管理を強化しても、国内ではムスリム人口ばかりが増えている。この趨勢が進めば、ロシアはプーシキンの国でなくアブドラの国に変態するだろう。大国の霊夢に耽るのなら、米国以上の脅威を国内に認めるべきだ。
 冒頭で挙げたポール・フレゴシは指摘する。「西欧のイスラム領植民地化は1830年代からの130年間程度だが、イスラムの西欧植民地化工程は1300年間以上継続している。ムスリム勢力の植民地主義の方がより劫火だった訳だが、原罪を西欧人の方が背負わされるとは何という逆説だろう」
 フニャディ・ヤーノシュは15世紀、ベオグラードなどでオスマン帝国のジハードを大いに遅延させた偉大なる将軍様だが、母国ハンガリー以外でその名を知る者はまずいまい。彼の英雄的行動は米国と豪州をイスラムから救済したといえるほどだ。我らの子弟は学校でこうした者の名前すら教わらず、西洋植民地主義や嫌イスラム流の邪悪性のみを学ばされている。
 当代西欧はゴーマンと自虐の危殆なる融合体だ。ムスリムはタイやインドで夷教徒の隣人を討滅している訳だが、ゴーマンにも西洋人は同様の事態が西洋で起きるとは思っていない。我らはヒンドゥー教徒やバルカンのキリスト教徒にこそ耳を傾け、困難に陥るのを避けねばならない。
 西洋が多文化主義の美酒に耽溺していなければ、ムスリム移民が欧州を盲流することもなかっただろう。文化遺産を誇ることと異文化の教訓を学ぶことは両立する。これは賢者なら当然のことだ。ここで孫子の兵法の言葉を引用しよう。

 敵を知り己を知れば、百戦危うからず。敵を知らずも己を知れば、一勝一敗す。敵を知らず己も知らざれば、百戦危うし

 西洋は敵の実勢はおろか、自己の身份まで忘却している。この喪失の代償は必ずや高くつく。これぞ歴史対価アムネジアだ。

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