「2083―ー欧州独立宣言」日本語版

グローバル極右界の「共産党宣言」、現代世界最大の奇書

滑稽なるEU(p295~)

2012-11-07 22:54:45 | 現代欧州
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 EUの官僚たちは滑稽なほど自らの戒禁に嵌まり込んでいる。

・欧州連邦のイデオロギーとして多文化主義を採用
・国家の民主主義体制を保守したいだけの者を「嫌外人流」と糾弾
・第三世界からの移民を制限したい者には「人種主義者」の烙印

 EUは人種主義と「嫌イスラム流」を封絶するために禁語をまとめた「レクシコン28」を作成した。それによると、「イスラム・テロリズム」は政府当局者にとっての禁語となり、「イスラムを誤用するテロリスト」が正当な表現になった。
 2006年初頭、デンマークのアルヴァロ・ジル・ローブル人権監督官は小学校でキリスト教の科目を改定する案に異を唱えた。欧州の価値観を支える宗教を教えるためには、「三大一神教」を教えねばならないと述べたのだ。三大一神教とはつまり、キリスト教、ユダヤ教、イスラムのことだ。なんということだろう。欧州の伝統的宗教はキリスト教とユダヤ教のみなのに、EUはイスラムもこの2宗教と対等に扱うよう勧めている。これぞ確信犯的なユーラビア思想だ。欧州の伝統にないイスラムをユーラビア思想の名の下で児童に注入しようとしている。むろん、ヒンドゥー教や仏教は蚊帳の外だ。
 また、EUは死刑復活を求めたポーランドの大統領の呼びかけに対して、「死刑は欧州的価値観に反する」と反論した。待って欲しい。どのような民意をもって「死刑は反欧州的」と決定したのだろう。死刑論議は脇に置いてほしい。重要なのは、ここでもユーラビア思想が大衆不在の場で決めつけられたことだ。
 しかし、ユーラビア思想において最も恥辱的なのは、ユーラビア思想など知る由もないマスゴミが自然とその戒禁に嵌まっていったことだろう。ユーラビア思想がストラディバリウスの如くその真名を最も発揮するのはマスゴミ分野だが、マスゴミは無自覚的にユーラビア思想的な反米と反イスラエルに走っている。
 2006年5月、欧州・アラブ対話の一環としてヴィーンで報道関係者の大会が開かれた。大会の議題は「人種主義、嫌外人流、マスコミ――全宗教と文化の敬意ある理解のために」だったが、反セム主義が議題になかったので、イスラエルのダン・アシュベル駐墺大使は会議を棄権した。この対応に対し、大会関係者は「我々は反セム主義や嫌イスラム流の問題も話し合った」と反論した。
 ブルース・バウアーは、多くの欧州人が多文化主義を社会への脅威と捉えているというのに、当局がこの民心を人種主義の昂揚と看做していると糾弾する。バット・イェオル女史もEUのムスリム移民政策に反対すると、「ナチのユダヤ人への処遇を想起させる話法」というやれやれな反応が大真面目に返ってくると嘆く。「人種主義SOS団」の如き国家系の「独立」組織やマスゴミ関係の全体主義的組織が「多文化的な環地中海」のPC主義戦線を背後で形成しているのだ。
 しかしながら、こうしたPC主義の言説に真っ向から反抗する「抵抗のメディア」も存在する。インターネットの電評(ブログ)空間を中心とするこのメディアは良識ある市民たちを動かし、2005年フランスやオランダ政府の熱狂的推進姿勢を跳ね除け、EU憲法案を国民投票で廃案に追いやった。[これには左翼メディアも大きく貢献した]。反対の中心は、紛れなく無数の電評だった。
 だが、その数か月後、EUはイラン、サウジ、キューバ、中国の権威主義者たちを集めて、「より効果的なインターネットの国際的制御(検閲)」について話し合った。ここでの声明が恐ろしいのは、BBCの報道のようにプロパガンダ的にみえないことだ。彼らはスルーの技術を利用して大事の真名を人民に知らせぬまま潮流を形成し、気付いた時は「晩時の嘆き」にしてしまうことだ。

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