BS・・もとい! VS隊長な日々

ただの保護者だったのにいつの間にやらBS隊長3年を経てとうとうVS隊長。
愚痴や独り言が満載

ボーイスカウト活動の行く末・・・4

2007-06-13 19:12:29 | ボーイスカウト活動の行く末
え~っと、先々週に「ボーイスカウト活動の行く末」をアップして
その週は勢いに任せて連日の更新を繰り返しました。
さすがにすこし頭冷やしたほうがいいかな、とこの件での記事は
止めていたのですが、近所のVS隊長から全国大会で配布された
この件に関する資料をメールで送っていただきました。

すぐにも記事で紹介しようかともおもったのですが、そのVS隊長さん
も頂き物の資料で出所の方の了解を取っていなかったのでちょっと
静観していました。

そうするうちに「京都のちずやん」さんが同じ資料を
アップしてくださって、それを契機に「スカウティング研究センター」のブログ
「かいいち ろーばー のへや」でも取り上げられています。



私としても先々週の頭に血を上らせた状態からは多少おちついてます
のでSAJの資料をもう一度ゆっくりと読んで考えてみたいと思います。


まず制度改革に臨む動機というか現状の問題点の認識

1. スカウト人口の減少に対応して標準隊の構成を撤廃し少人数でも
  隊登録ができるように制度を変えたことにより却って少人数での
  活動がある部分ではデフォルトとなりBS隊では班の運営/自治
  VS隊では隊会議や隊運営会議といったスカウトによる自治が
  機能していない。

2. BS隊の進級プログラムとVS隊との進級プログラムが互いに
  独立しており一貫性にかける上に、トップランクの進級章である
  富士章を到達点ではなく通過点としていることの目的が取得率
  が極端に低くしかも取得年次がVS年代の上限ギリギリに集中
  していることからも意味のないものになっている。


というようなことらしい。
(私の拙い要約なのでぜひとも原典をご確認いただきたい)


そのこと自体に反論するつもりはあまりない。

確かに全国的にCSまではともかくとしてBSのスカウト数は
10人ちょぼちょぼ、というのが多くみられ、かろうじて2班の編成。
これだってキャンプなどで部活や試験で数人欠席すれば合同班に
しないと機能しない、などという話はよく聞きます。
中には1班というBS隊だって今は珍しいものではないでしょう。

VS隊にいたっては登録数はさておいて、実稼動のスカウトが2桁
になっている、という話のほうが珍しいでしょう。
(私のところも現在3名で人のことは言えません。)

そうなると確かに隊会議や隊運営会議を実施して自治により活動を
展開していくことは難しいという現実はそこここで目にします。

でも、それはその人数確保が難しい二つの隊を一緒にして、とりあえず
の総体を大きなものとして(それでも知れているでしょうが)数を
確保しようということで解決するのでしょうか?

BS隊とVS隊ではそれぞれ活動の具体的な内容が異なっています。
BS隊では班の中での役割や責任をまっとうすることにより自発活動
への助走とすることが大きな流れです。 
自分で出来る事、しなくてはならないことを自覚し確実に責任を果
たすことを「班」という器のなかで習得していきます。
まだまだ習得期間ですから隊長の介入もたまにはあるでしょうが、
それを出来るだけ初期の誘導だけにとどめて班長にリーダーシップに
よって自分達で展開していくところがBS隊の白眉のはずです。

そしてVS隊ではそこで習得した(はずの)自律航行によって自分の
活動を作っていきます。 もちろん隊という枠もありますから議長を
中心にBS隊よりも一歩進んだ自治の形態を目指し、隊長をオブザ
ーバーに追いやるくらいになってくれることを目指します。

余談ですがSAJではVSまでは隊長、RSでアドバイザーですが
BSAではTroopではScoutmasterですがVentureでは「Advisor」と
なります。

そして実際の活動では自分で自分の課題を決めて、実施の方法を
考え、計画を立て、実施し報告するというプロジェクトの遂行を
中心に活動して行きます。 これを個人で実施するか、仲間と共同
で実施するかはその内容や自分自身の取り組みたい形式で決めれば
いいことで隊からは規定されません。

だから、以前のような標準隊の規模の呪縛に縛られずに活動ができる
のです。 VSでは3名から隊登録ができます。 またスカウトが1名
しか居なくても隊長とのマンツーマンで活動することが出来ます。

ところがSAJの今回の改革案の動機によれば、こうしたことにより
リーダーシップの涵養が為されなくなったのだそうです。

そうなんでしょうか?

隊の人数が少なければリーダーシップは育たないのでしょうか?

私はまったくそうは思っていません。

リーダーシップの定義の問題かもしれませんが複数の人数がいる
チームの中でしかリーダーシップは発揮されないものなのでしょうか。

私はこのリーダーシップという言葉に「源意識」という言葉を当て
はめて考えています。
たとえ周囲がどうであろうと「自分」はそれをする! という断固たる
意識がリーダーシップの元にある、と思っています。

人数が少ないからできるとかできないとか、あるいは条件がととのった
から出来るとか出来ないとか。 そうした状態はリーダーシップからは
遠い意識だと思っています。

つまり自律航行のきちんとできるスカウトはリーダーシップの元は
既にしっかりと有ることになります。

あと必要なのは協調性を含めた「コミュニケーション能力」です。
これは今のスカウト世代にはなかなか大変なことかも知れませんが
隊長とのやり取りによっても養うことも出来ます。

団内他隊への活動奉仕などによっても異なる世代とのコミュニケー
ションの力は養われます。 地区行事であるとか他団のスカウトとの
合同活動や共同プロジェクトなどを展開すればいくらでも養えます。

隊の人数が少ないよりは多いほうが展開は有利になるでしょうが
それだけのことです。 人数が少ないことはただ少し不利なだけです。


では逆にBSとVSを一緒にしたらこのリーダーシップは一気に向上する
のでしょうか?

たしかに高校生のスカウトから見たら下は中学生はおろか小学生まで
いるのですから相当リーダーシップを発揮する機会は多いと考えられ
ます。

しかし現実論として小学生(たとえ高学年でも)と高校生が同じ班に
編成されて恒常的な活動がきちんと展開できるのでしょうか?
例えば班集会ひとつを考えても使える時間枠が高校生と小学生では
まったくことなります。 

今、私の隊(VS)の定例の隊会議は土曜日の19:00~21:00と
なっています。 女子スカウトも2名いますし団ルームからの帰りの
バス便の問題もありますから出来るだけ延長のないようにしています
が実際にはバイトや部活で送れて集まるスカウトも珍しくありません
から行きおい終了時間は遅くなります。 それでもそうした夜の時間
でなければ物理的に皆で集まることが出来ないのです。
では、その時間に班集会をやります、といって小学5年生は参加でき
ますか?
進学塾だって9時すぎまでやっているのだから、と保護者を説得し
ますか?

私は小学生あいてにこの時間設定はNGだと思っています。


そして高校生が班の運営の統括をするようになると中学2~3年生の
要するに現在のGBクラスの意識がどうかすると急降下するような
気がします。

現在でも多くのBS隊で中学生のGBが塾や部活で活動参加が少ない
とお嘆きの隊があると思います。 だから高校生がいれば中学生の
活動が少なくてもなんとかなる、と思ったら大きな間違いだと思います。

隊にもよるでしょうが、今のGBクラスは多くの場合に班での責務と
部活や塾との板ばさみのなかでもがきながら必死に活動参加を模索
しています。 たとえ欠席が多くてもです。
それは自分が行かないと後輩がこまるから、班が機能しなくなると
おもうからたとえキャンプに遅刻しようとも途中の2時間だけだろ
うとやっとの思いで野営地に駆けつけています。
それが「高校生がいるから大丈夫」となったらどうでしょうか?
それでも今のようにぎりぎりのスケジュールを縫ってなんとか活動に
参加することを模索しつづけるでしょうか?

そして、ここが大事なんですが、ここで「先輩がいるから大丈夫だろう」
という意識をもってしまった中学生が高校生になってきちんと班運営
の牽引者として隊の戻ってくるでしょうか?

私はこの点について楽観的にはなれません。


まだ問題はあります。

高校生にとって小学生までを含む班を率いて活動展開することは
非常に大きなストレスを伴います。
奉仕の精神であるとか、後輩の世話であるとか、意義は認めるでしょう。
だから、それが上班として派遣された時、とか団行事の時とか
限定的な機会ならばキチンとやると思いますし、また努めるように
指導者も誘導します。
でも、これが日々の恒常的な活動であったらどうでしょうか?

私はそのストレスの蓄積は高校生スカウトのモチベーションを
大きく損なう可能性を否定できません。

要するに
「なんでオレがいつもいつも小学生の面倒ばかり見なくちゃ
いけないんだ?」
というわけです。


確かに中にはそのことと自分の興味、進路希望が一致して活動に
さらに積極的になる場合もあるでしょうがそれをもって普遍的に
こうした形態を肯定するわけにはいきません。


しかもこうした隊/班運営の主力を担いつつ別途に「高度」
「広範囲」「専門的」な活動も自分の進歩のために展開しなくては
ならないそうです。(この部分が現行VSの課程に相当するのでしょう)


そんなこと出来ますか? ホントに?

学校の授業以外の時間のほとんどはこの活動に注ぐくらいの覚悟が
ないと活動の継続ができないのではないでしょうか?


こうしたことを考えていくと新しい統合された部門での高校生
スカウトは今のVSで多くのスカウトがプロジェクトに着手しない
で過ごすように「高度」で「広範囲」にわたる「専門的」な活動展開
には指一本触れずに 隊指導者補助者として遇されるか、あるいは
そのための訓練に明け暮れることになるのではないでしょうか?


どう考えても今回の改革案の向こう側にスカウト活動(特にVS)
が活性化するようには思えない。

BS→VSの上進時の非継続を食い止めるために統合して
シームレスにしても結局、高校生スカウトがモチベーションを失い
過剰な負担につぶされて途中退団していく絵しかみえてこないのです。



長くなりました。

動機 2については次のエントリーにします。




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1 コメント

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全くそのとおり (Iインストラクター)
2007-06-13 22:19:41
前の記事にコメントを書かせていただきましたが、全くkurosanの仰ることに同感です。

用は、高度なプログラムとかでVSと同じように活動して、なおかつ、BSの活動で班長をやれってことになるんでしょうね!



そんなに時間を使えるスカウトがいますかね?

そういうスカウトがいるのなら、VS隊は今のようなことにはなっていないでしょう。



この件について、私の隊の隊長と話ししましたが、彼が話したSAJの人の話しぶりから、とりあえず、統合することが前提であるように感じたと言っていました!



中2や中3のスカウトがいなくなってしまうと思いますよ!

だって、BS隊4年もやっても、まだまだ上から指示されて動くだけ、班長やるまで、あと3年頑張るか!とはならないでしょう?