大いなる休暇

2005-06-06 22:39:21 | movie
「スローライフも楽じゃない」
というキャッチコピーに、私はやられてしまった。ので、見るのを楽しみにしていた作品。

カナダ・ケベック州のサントマリ島は、人口150人にも満たない小さな島。そこで暮らす人々は漁で生計を立ててきたのに、最近はぱったり魚が取れないため島離れが進み、大半が生活保護で暮らす毎日。
そんな彼らは職を得られるよう工場を誘致する活動をしていたが、その条件として挙げられたのが、医者がいること。
医者だっていなくなってから久しいのだ。そんな矢先、町長までついに出て行ってしまった。そこで代わりに町長になったジェルマンは何とか工場を誘致するため、医者に島のことを気に入ってもらい、住んでもらえるように一念発起し、都市に住むありったけの医者達に医師募集の手紙を送るのだが、なしのつぶて。
一方、島から出て行った元町長は警官になり、ある日道路でパトロール中に止めた車には整形外科医が運転していた。彼は許可証を出そうとして、うっかり財布からドラッグの袋を飛び出させてしまう。元町長はジェルマンと別れ際「何とかする」と言い残して島を去ったその約束を果たすチャンスがやってきたのだ。そして、その彼、ルイス医師はサントマリ島に1ヶ月やってくることになったのだった。

そこでジェルマンと彼の親友イヴォン、銀行員アンリは、「ルイス医師に島のことを気に入ってもらおう計画」を練る。
アンリは「お金を拾ったらうれしい」と提案し、彼がその担当を引き受ける羽目に。
そしてまた、一番まともな家を持っていたアンリは、家を一ヶ月ルイスのために明け渡すことにもなってしまう。
ルイスの好みを知るために、家の電話に盗聴器をつける始末。
ルイスがクリケットが好きと分かると、クリケットについてまるで無知な彼らはインターネットで調べて、クリケット好きを装い、白いユニフォームまでも揃えて、ルールなんて皆理解していないまま、ゲームに興じているふりをしてみせる。本当はアイス・ホッケーが好きなのに。
などなど、涙ぐましい努力による、悪意のない嘘で固められた、魅力的なサントマリ島生活が、住民総動員で繰り広げられる。

ここに出てくる住民はなかなか個性的で、どこかユーモラス。そして憎めない。
イヴォンは島から一度も出たことがないし、アンリも銀行員とはいえ事実上はお金の受け渡し業務しか仕事がないけれど、「俺はATMじゃない!」と言い張ったりする。

計画は順調に進み、工場誘致もなんとか資金を工面して、万事うまく運んでいるかに見えたが...



こういうコメディはややもすると、やり過ぎが鼻につく場合があるけれど、この「大いなる休暇」は、ちょっとやり過ぎてるけど、鼻につかない。
それは、カナダ映画だからなのか、フランス語だからなのか、キャストのせいなのか、さっぱり私には検討つきませんが。
(あー、でもこの作品の監督は、これが初長編映画で、CM業界出身だとか。CM出身の監督って結構イケる撮り方をしてくれる場合が多い気がする、と私はかってに思っている。)
大きな「賞レース」向きではないけれど、とにかくあったかい話で、見た後自然と口元が緩んじゃう作品。
(で、しばらく経ってから過疎やら何やらの問題に目を向けてもいいんじゃ?)

(忘れてました。島に来たルイス医師の話もなかなか気のきいたストーリーになっているのです。彼にとっても「大いなる休暇」だったわけです。それは見てのお楽しみに。)
(原題:大いなる誘惑)


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予告中の「プライド 栄光への絆」はいまだ書けず(←何もたもたしてるんだか。)
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