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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

2007-04-15 | 映画
原作は200万部を超す大ベストセラーらしいが、母親の息子に対する犠牲的な情愛が描かれていると聞いただけで、ちょっと引いてしまっていた。
しかし、成功者が亡き母を偲んだ自伝小説が、どうしてこうも売れたのか、未だに不思議である。

昔から、出来の悪い子ほど可愛いって言うが、ボク(オダギリジョー)はその類いである。家庭を顧みないで外に愛人を作っているオトン(小林薫)のDNAを受け継いだのか、どこか自堕落ではあるが、よくある話の範囲でのことであり、特殊なケースではない。小林薫のオトンは一見すると飄々とした憎めない持ち味だが、若い頃に東京で挫折を味わったと思わせる繊細さが垣間見えて好演。
オカン(内田也哉子→樹木希林)も世間の母親なら、同じように子供に無償の愛を注ぐであろう想像の範囲内であり、特別悲惨な状況での話ではない。
にもかかわらず、世の男性の多くはボクとオカンに、自分自身と自らの母親を投影して、自責の念と後ろめたさに、苦々しい思いで涙を流してカタルシスを感じるのである。

脚本を担当した劇作家の松尾スズキは、意外にもさほどお涙頂戴的なアプローチはせずに、お得意のユーモアを交えた作りである。
また、少年時代のボクや、若い時のオカンを、現在のボクに対面させるという演劇的な方法も効果的に生かされている。
オトンもボクも、オカンの犠牲のお蔭で自由人でいられた訳であり、彼らの生き方を批判するつもりは毛頭ない。
しかし、ボクがある程度の成功を収め、病気のオカンを引き取る余裕があったからこそ、この親孝行物語は成立したのであり、今の社会では、オカンの口癖の「なんで頑張れんかったんとかね?」のケースが多いのも現実である。
ジャンル:
映画
キーワード
松尾スズキ 内田也哉子 オダギリジョー 東京タワー
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同感です。 (ヌートリアE)
2007-04-18 12:51:47
こんにちは。
まったく同感です。
何故、今、ありきたりの、少々マザコン気味(ほとんどそうだが)の若者の東京での生活が社会現象になるということ自体、僕には分かりません。
普段親を忘れている人が、この類の映画、小説を読んで、愛情をかみ締めていると錯覚させるぐらいのものではないか、との穿った見方をしてしまう、相変わらず偏屈な性格の私ですが、映画的には淡々としていて意外や、起伏が少なかったですね。
抗がん剤治療の壮絶さが跡に余韻を残しましたので、いい印象にならないですね。何か、意味があったのでしょうか、、。
でも、なんと言っても、原作は200万部を超えるベストセラーなんでしょうから、現代人に何か問いかけのあるものであったのは事実でしょう。
逆に、僕はストレートな「バッテリー」のほうが好感が持てましたね。
野球を通してみんなと何かを表現し、伝え合っている
というセリフは感動しました。
というか、年ばっかりとっていても、いつまでも僕が子供だということなのかもしれませんね。
演劇は少しストップしています。東京で見た演劇2つが素晴らしかったもので、大阪では次は厳選してみようと思っています。レベルの差があるのかどうか、勝手に判断しないほうがいいと思うからです。
それでは、また。
僕も偏屈かも・・・ (butler)
2007-04-19 18:16:13
>ヌートリアさん、

お久しぶりです。
僕も『バッテリー』のほうが好きです。
成功して収入が増えても、親不幸な人はいるわけだから
文句はないけど、やっぱり素直に感動は出来ませんでした。
同じ感想の人がいて安心しました。

関西で面白い劇団を見つけたら、是非教えてください。
ご贔屓の出演者を観にいきました(^^ゞ (ぴかちゅう)
2007-05-11 23:25:43
>ボクがある程度の成功を収め、病気のオカンを引き取る余裕があったからこそ、この親孝行物語は成立したのであり、今の社会では、オカンの口癖の「なんで頑張れんかったんとかね?」のケースが多いのも現実である。
確かに物語的にはこういう観方もできる作品ですよね。私も小説にもTVドラマの時も食指を動かさなかったのに、今回は樹木希林×オダギリジョーの配役にひかれて観にいってしまいました(^^ゞ
原作者が指名しただけあって松尾スズキの脚本も小ネタが随所にあってあまり暑苦しくないのがよかったです。キャストの持ち味も生かされていたと思えましたし。
プログラムも映画にかかわるスタッフのページが充実していて満足でした。さすがにインディペンデント系の監督が是非自分に撮らせてほしいといって納得のいくメンバーを集めてつくっただけのことはあった作品だと思いました。

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