レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ドン、サンタ、ミスター

2007-10-12 05:42:13 |   ことばや名前
 青池保子の歴史長編『アルカサル』は、14世紀のカスティリア王ドン・ペドロ1世を主人公としている。「ドン」は身分のある男につける。「ペドロ」などありふれた名前であり、同作品にも何人も登場するので、区別のために主人公のみ「ドン」をつける方針になっている。これについてある時2chで、「ドンちゃん」「ドンさん」という呼び方はおかしいのではないかという声が出た。でも作者自身もそう呼んでることだし仕方ない、という方向で落ち着いていた。・・・私も実のところ、固有名詞でないものを個人名のようにすることには抵抗がある。作中では差別化して使っているから固有名詞だと言えないこともないけど。
 「サンタクロース」を「サンタ」と略するのも同じようにおかしい。意味は「聖者ニコラウス」なのだから、「サンタ」の部分は名前ではない。
 長嶋茂雄という人物をして「ミスタージャイアンツ」と呼ぶことには反対しないけど、単に「ミスター」と称するのはいかがなものか。
 逆に、固有名詞なのにそれを超越して使われる名前もある。「サロンパス」、「ホカロン」、「オロナイン」、「コミケ」、「トーン」。極めつけは「カエサル」、「アウグストゥス」か。
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2 コメント

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おことばを返すようですが (ひでかず)
2007-10-13 21:47:45
「固有名詞でないものを個人名のようにすること」は,日本ではむしろ普通におこなわれてきたのではないでしょうか.有名なものに源義経の「判官(ほうがん)」や狩野元信の「古法眼」があります.これらは普通名詞が固有名詞化したものといえるでしょう.こうしたことの背景にあるのは,おそらく,本名にはそのひとの「霊」が宿っているのでみだりに明かすべきでない,という日本古来のアニミズムです.
居酒屋で,中年のオッサンがみな「社長」と呼ばれているのは,このアニミズムの成れの果てではないかと,わたくしはおもっています(笑).
なるほど (レーヌス)
2007-10-14 06:54:56
 コメントありがとうございます。
 なるほど、有名どころである「判官」のことは忘れていました。確かに、本名を使うことを避ける傾向はあります、必ずしも日本特有ではなさそうですけど(「神の名をみだりに~」とか)日本でのほうが一般にまで普及しているような気はします。ご指摘ありがとうございました。
 もっとも、「ミスター」がまかりとおっていることへの私の抵抗感はやはり変わりませんけどね。「巨人」を代表する存在であることを示すならばもう少し妥当な呼び方をひねりだしてもよさそうなのに。「ミスター!」なんて、いわば、「旦那!」って言ってるようなものであまりに広すぎ・・・。

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