レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「中世」の範囲

2006-05-19 06:42:02 | 歴史
 先日の番組、『ニッポン人が好きな100人の偉人』に、マリー・アントワネットがはいっていた。偉人かい!というツッコミはもちろん入れたいが、それを言い出すとキリのない顔ぶれだったのでそれはこの際おいとく。ここで問題にしたいのは「中世を華麗に生きた王妃」という説明!
 「中世」がいつからいつまでを指すのか、きっちりと決まっているわけではない。「ゲルマン民族の大移動からルネサンス以前まで」とした本、「西ローマ帝国が滅亡した5世紀末からルネサンス・大航海時代の間」という説明、「百年戦争まで」、「500年〜1500年」と諸説ある。かなり漠然としていることは確かだ。・・・しかしな、18世紀、フランス革命となるともう完璧に違うだろ!「中世を華麗に生きた王妃」の言葉ならば、アリエノール・ダキテーヌなどのほうがはるかにふさわしかろう。フランス王ルイ7世の妃、離婚してイングランド王ヘンリー2世妃、リチャード獅子心王の母、とことんタフでお騒がせな女。・・・でも知名度はアントワネットの比ではないのだな。
 どうも、厳密に言葉を使おうとしない人々は、王様や貴族や平民がいて、馬車に乗っていて、女が長い裾の服を着ていて、適当にムードのある「ろまんちっく」な昔をみんな「中世」ですませてしまうようだ。
 ところで私にとっては、「中世」といってイメージがしっくりくるのは、せめてカール大帝(8〜9世紀)あたりからだ。中世ものの代表のアーサー王、モデルとなった人物は6世紀の人と言われているが、6世紀はどうも「中世」って気がしない。専門家でもない私の感覚なんて権威ないけど。ドイツ中世文学の代表作の一つ『ニーベルンゲンの歌』は、舞台は民族移動の時期、これもむしろ古代と言いたくなる。アイスランドの『エッダ』『サガ』はまさしく中世に出来ているのだが、これを「北欧中世」と書いてあると、正しいにも関わらずなんとも私は違和感覚えてしまうのだ。う〜ん、「中世」というと、大陸ヨーロッパで、カトリック世界のような気がする。この、カトリックと中世との結びつきは、少なくともドイツ文学史においては意味がある。すると、ルターが「中世」にとどめを刺したという見方もありそうだ。
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アントワネット カール大帝 アーサー王 ニーベルンゲンの歌 大陸ヨーロッパ アイスランド リチャード イングランド王 ゲルマン民族の大移動 西ローマ帝国
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4 コメント

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中世と近世 (HAYA)
2006-05-20 11:11:31
ちょうどこの間、イラストレーターの小林智美さんの、あるオンラインゲームに関してのインタビューを読んだとき、新大陸を開拓したりマスケット銃をバンバンと撃ちまくるゲームなのに「中世風」という言葉が出てきて「ええ〜?」と思ったところでした。

古い時代が好きでも歴史そのものに興味のない人は、近世という時代区分を持っていないような感じですね。語感の問題かもしれません。遠く感じるからこそ惹かれるのに「近世」なんて、という感じで。

ルターといえば、学生時代、ドイツ語の授業で「ルネサンスと宗教改革」というテキストを使いました。今手元にないのでどんな本だったか上手く説明できないのですが。

難しくって友達と手分けしつつヒーヒー言いながら訳してたんですが、人文主義と宗教改革の違いを比較したりしつつも、両者をある程度関連づけて議論していたように記憶しています。

これのためか私にも中世=カトリックというイメージは強いですね。
遠いからこそ (レーヌス)
2006-05-20 14:17:35
訪問ありがとうございます。

「近世」の区分が出てきたのは新しいことだとも読んだことがあります。近くにあると夢を持てないということは卑近な例でもありがちですからね。ハーレクインヒストリカルでも「中世」は多そうです、あと19世紀。
古代→古代末期→中世 (ほへぇ〜)
2006-05-20 14:38:11
ピーター・ブラウンの『古代末期の世界――ローマ帝国はなぜキリスト教化したのか?』という本を読んで、初めて古代と中世の間に古代末期という時代区分があることを知りました。



その本での中世の定義付けというのが面白くて



『イスラム世界との交流を断ち、欧州が欧州として独自に発達――発展というわけではないらしい――した時代』



すなわち



『地中海を挟んで豊穣なイスラム帝国が欧州という貧乏人を相手にしなかった時代』



だそうです。具体的にはレーヌスさんの主張と同じシャルルマーニュの戴冠以降ということです。
古代末期ですか (レーヌス)
2006-05-20 14:56:23
ありがとうございます、それは面白いですね。宗教の要素は現代日本であまり意識する機会がないですが、歴史を見る上で不可欠のように見えます。

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