
やばい。。今週末は雨か。さらに寒いときている。
僕は寒さに弱い。ダメだ。この雨、寒さのコンディションで7時間も山の中は走れない。
根性なしと言われても仕方ない。身体のほうが大事だ、と心に決めかけていた。
因みにいままで自転車も含め30本以上はレースに出ているが、DNSは一度も無い。
リタイヤも無い。が、今回ばかりは諦めてかけていた。今思えば、チームメイト=兄がケガ
で不出場もあり、まるで相方が居ない漫才師みたいなもので、気弱になっていたのかもしれ
ない。
が、前日天候予報は好転してきた。
「いけるか」
一度はキャンセルした宿を取り直す。
行くからには、やる。ビシッとやる。荷物をそそくさとまとめ現地へ向かう。が、やはり道中
は雨。明日は何とかなると信じ、ハンドルを握る。晴れたにしても、雨上がりのコンディション。
山中の足場の過酷な状況は容易に想像が着く。
レース当日。
雨は上がった。昨年の思わぬ中止の鬱憤を晴らすように、元気よくスタートする。
さ、これからの長丁場。とにかくは7時間は山を走るわけだ。一昨年の11Kmで、山の感触は
概ね判る。焦ってみたところで、息切れするだけだ。自分のペースを守ると決める。
登る、登る、ひたすら登る。トレイル”ランニング”とは名ばかりで、実質「高速登山」だ。
ランニングできるフィールドは少ない。と、グチを言っていても仕方ない。とにかく、登るのだ。
そして、下り。これも、「こんなのありかよ」と思うほどの危険な下り。ま、でもこれくらい
でないと、どMなトレイルランナーは納得しないんだろうが。確かに最初は、やばいと思いつつも
だんだん慣れてくる。このレース、季節的に冬から身体が完全には目覚め切ってない時期にある。
最初は脚が思ったように出なかったが、だんだん走れるようになってくる。
そう思うと、だいぶ勘が戻ってきたか。
いい加減登り疲れたころ、やっと腕時計の高度計が、現在このコースの最高標高であること示す。
そして、また下り。トレランは下りが楽しい、といってもこのコースの斜度はキツイ。ハンパなく
キツイ。登りは最初から覚悟しているが、下りがこんなにキツイことを改めて思い出す。
シングルを下りきり、ダブルトラックへ出る。
前に見える人は何人も歩いている。余程疲れているんだろう。が、僕は淡々と走る。コース後半
のこの部分は初めて走るが、正直好きな斜度だ。ダートではあるが、いつも走っているI田山の
斜度に感触が近い。身体も後半の粘りが出てきた。いい感じで呼吸がタクトを刻む。淡々とでは
あるが、そこそこ走れる。ここで15人は抜いたか。
そして気持ちのよいシングルトラックに入る。11Kmには設定がないこのエリア、山の尾根を
走る快適なコース。なるほどね、これがこのコースの”おいしい”部分か、と一人納得する。
マウンテンバイクのSDA王滝が42kmがメインでは無く、やはり100km、120kmが
メインであるように、このトレランレースも間違いなく32kmがメインであることを実感する。
ダブルトラックあり、おいしいシングルあり、階段、岩場、沢登りと「超満足」なメニューが整
っている。さすが。
腕時計を見る。プロトレックのストップウォッチは5時間後半を示す。が、当初の予定よりは順調
か。何とか7時間は掛から無さそうだ。残りはパンフ写真でよく見る名物の?後半の岩場下りだ。
下りと言っても、微妙なアップダウンの連続でヘロヘロな足取りに追い討ちを掛ける。
脚が上がってないらしく、時折つまずきかける。やばい、ここでケガはできない。せっかくここまで
来たのに。少し立ち止まり、息を整え直す。
さあ、ここからは最後の下り。
気合を入れ直す。もう、下るだけなんだ。切れかける集中力をつなぎ直す。
延々と下る、下る、下る。すでに思考は止まり、ただ感覚だけで脚が出る。ふと我にかえる。
時計は6時間27分。ゴール地点の表彰式のアナウンスが聞こえる。
「(6時間)半は切れるか」
すぐ後ろにも人が迫っている、思わず声を掛ける。
「半切れますよ!いけますよ!」
アスファルト道にでる。ダッシュする。ゴールのタイマーは6時間29分台が見える。届いた!
すぐ後ろの声かけた人も無事30分を切った。かけより握手する。
「あのときに半を切れますよと言っていただけたので、がんばれました!
OSJのレースで表彰式を見れる時間に戻るのはステイタスなんですよ!」と、その人。
そのステイタスは知らなかったけど、とにかく無事に「生還」できたことを握手で分かち合った。
走っているときは、「ちくしょう、何でこんなに苦しいんだ」と思いつつも、走り終わって、あの
トレイルの美しさを思い浮かべると、また行きたくなる。やっぱりどうやら、高山病ならぬ「好山病」
らしい。ここを走っている人たち、みんなそうなんだろう。
リザルト:2012 OSJ新城トレイルランニングレース32Km
6時間29分23秒 194位 年代別60位
概ねエントリーの1/3付近の凡百なタイム順位だが、完走はできた。
当初の予想では、真ん中くらいならと思っていたので予想は上回ったが結果には満足していない。
もうちょっと走れる。まだ、いける。もちろん走っているときには必死だったけど。ペース配分も含め
まだまだ攻め代はある。もっと、走るよ。もちろん、楽しんでね。
写真は、今回の「戦友」マウンテンマゾヒスト。
苦しい局面をともに戦った戦友の姿が走る前より、少しカッコよく見えた。