#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Aug_15】永遠の道は曲りくねる。

2017-08-15 | HOKKAIDO
宮内勝典『永遠の道は曲りくねる

明日は敗戦の日。72年経ってもケツからクソ垂れ流しの事態だってことが、この本を読むとよく分かるわ。

沖縄の洞窟→ガマが舞台で、そのガマが米軍基地とつながっていて…という設定や、
地上戦で10万もの県民が犬死にし、そのために精神分裂病が本土の3倍も発症、
そのほとんどの人が庭に隔離されていた…とか。

その他にも目を覆いたくなるようなエピソードが
70カ国を放浪した宮内さんならではの筆致で子細に綴られ、
ぐわぐわぐわ…と引き込まれた。

何より世界各地のシャーマンが集う祝祭の舞台が沖縄で、
そのホスト役がユタである乙姫様…と展開していく中盤以降は、
もう何が起こっているのだぁ〜と、どんどん物語の洞窟へ。

結局、人間は都合の良いように世界を動かし、
どんどん汚物を垂れ流してきただけじゃないか…と思ってしまう。

終盤のビキニ環礁の話に至っては、
原爆→水爆の人体実験に島民が曝されていたというえげつない話で、
その人体実験の目的が原発売買の物証として…という、「あはれ」としか思えない結末。

どこまでも人間は曲がりくねっておる。

結局、人間が人間を論ずることそれ自体が滑稽至極であり、
その滑稽さを客体化するには、謙虚でなくてはならないのだ…という、
真っ当なところに落ちる。


中上健次も生きていれば宮内さんと同年代。
彼ならどんな叙事詩をトッチラカシタのだろう…と、思わせる一冊。


沖縄を愛する輩にはタマラナイ本だ。

 地上近くで爆発して、金属片が5,60メートル四方へ飛び散って、
 車さえずたずたに切り裂いてしまう。
 山羊も、牛も、人も、こまぎれの肉片に変えてしまうの。
 ハンバーガーのミンチみたいに土壁にはりついていた。
 地べたには小さな耳や指が散らばっていた。
 私は狂ったように叫んでいた。敵の姿はまったく見えないのに血の海だった。
 へたり込んでいると蠅がたかってきて、地べたや土壁が黒くなっていく。
 こちらの手にも群がってくる。
 わたしは狂って、地の底へすうっと沈み込んでいくような気がした。

                                    (156p)

 ジャングルに分け入っていくと、偵察に出ていた米兵たちが木に縛り付けられていた。
 ズボンが引き下ろされて下半身がむき出しになっていたそうです。
 男根が切り取られ、口に押し込まれていた。
 あまりの酷さに茫然となって、心が萎えてしまったというのです。
 ほかのPTSDの退役軍人たちの治療を続けていくうちに
 まったく同じ光景を見た兵がたくさんいることがわかってきました。
 負傷してまだ生きているうちに木に縛りつけられ、
 切り取られ、あそこから血を流し、自分の男根で窒息していった。
 そんな死に方は絶対にいやだ。
 帰還してからもセックスしているときにあの男根が浮かんできて萎えてしまうそうです。

                                    (283p)



Comment    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【Aug_12】「海辺の生と死」b... | TOP | 【Apr_08】羅生門 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | HOKKAIDO