【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =95=

2017-04-21 14:15:28 | 浪漫紀行・漫遊之譜

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 北極・南極、アァー 素敵な地球のはて =田邊優貴子= 

= WEB マガジン ポプラビーチ powered by ポプラ社 より転載 =

◇◆ 南極の森 = 2/3= ◇◆

  2日後、きざはし浜には昭和基地からのヘリコプターが着陸した。 ヘリコプターからは、潜水調査をサポートしてくれる仲間の隊員たち7名が降りてきた。 1ヶ月ぶりに会う昭和基地の仲間たちはみな、こんがりと日焼けし、たくましい顔つきをしていた。 久しぶりの再会を喜び、みなで抱き合った。 潜水調査前日のこの日、士気は最高潮に達し、明らかに誰もが高揚した様子だった。

 「こちら、きざはし浜。本日の潜水調査を実施する。天候は快晴————」  「こちら、昭和通信。本日のフライトは予定通り実施する」  2009年1月21日、朝6時。 昭和基地に無線で連絡を入れた。

 ついに長池での潜水調査の日がやってきた。 天候は、雲のかけら一つ見当たらない快晴。 この日のために、目に見えない何者かが仕組んでいるのではないかと思うほど、すべてが絶好のタイミングだった。 少し風があるものの、たいした問題ではなかった。 恐らく、昼前には止むだろう。

 朝8時半、ヘリコプターがやって来た。 他の物資と分けておいた潜水調査機材をほんの数分で手際よく積み込み、全員がヘリコプターに乗り込んだ。 ふわりと機体は浮かび、きざはし浜小屋が小さくなっていった。 旋回し、1分もしないうちに長池が見えてきた。 長池に歩いて先回りしていた2名が、オレンジ色の発煙筒を焚きながら大きく手を降って着陸点に誘導している。

 ヘリコプターは地面すれすれで着陸点をさぐりながら微移動し、少し苦戦したのちに長池の湖岸に着陸した。 積み込んだ物資を下ろし、ヘリコプターの乗務員に迎えの時間を再確認して別れを告げた。 すぐにドライスーツに着替え、湖底に設置するビデオカメラを組み立て、動作確認をした。 うまくいくようにと願掛けをした。

 あとはもう、調査を開始するばかりだった。 さほど緊張する間も与えられないままに朝から時間が過ぎていた。 ちょうどよい高揚感と緊張感、これからついに長池の中に入っていけるという期待感。 全員で最終確認をし、無線連絡係が昭和基地に調査開始の連絡を入れた。

 「今から、長池での潜水調査を開始します」 エアタンクを担ぎ、ゆっくりと水の中に入った。 私のあとにはダイバー2名とボート2艘が続いた。 マスクを通した目の前には、2年前にシュノーケリングをして見たときと同じ光景が広がっていた。 差し込む太陽の光が幾重もの筋となって水中を突き進み、湖底には光の波が揺らめいている。

 左手首に装着したダイブコンピューターを見ると、水温は2℃。 確かに入水した直後は、冷たさで頭がギンッと締め付けられるような感覚だったが、それもすぐに慣れた。 湖の中心部に向かって、水面をひたすら泳いで進んだ。 どんどん水深は深くなり、湖底が遠く離れていく。 時折、陸の風景を確認しながら進んでいった。 これまで、何度も何度もボート上から調査をしていたおかげで、周囲の地形や湖岸からの位置関係から、自分が今いる地点の湖底までのだいたいの水深が予測できるのだ。

 きっとこの辺だろう……恐らく水深は6〜7メートルと予測し、近づいてきたボート上の仲間に水深計で測定するようお願いした。

 「6.8メートル」  「よし、じゃあここにします。まずは先に私だけで湖底の様子を偵察してきます」 私は、レギュレーターを口にくわえ、ジャケットに入れていた空気を抜いた。 ゆっくりと潜行していく。 急に自分の周りは静けさで包み込まれ、一人ぼっちになったかのようだ。

 重力が無くなり、空間の中にわたし一人が浮遊している。 距離感がわからなくなる。 ぼんやりとしか見えていなかった湖底が徐々に近づいてきた。 やがてはっきりとした形と明確な色彩になって目に飛び込んできた。  ゴボゴボゴボゴボ……

 「なんだこれ!?!?」 自分がどこにいるのかも忘れ、くわえていたレギュレーター越しに水中で叫び出しそうになった。 いや、もしかしたらそのとき叫んでいたのかもしれない。 目の前に広がる、自分を取り巻く光景にあまりにも驚き、興奮のあまり口から空気がものすごい勢いでこぼれだしていた。

 そこには、湖の外に広がる岩石砂漠のような陸上の様子からは想像もつかない、なんとも幻想的で不思議な世界が湖底一面に広がっていたのだ。 まるで尖塔状の遺跡が無数に林立し、全体が苔むしているような異様な光景。 大きいものだと高さ80センチメートルほどもあり、多様な種の藻とコケが共存してできあがっている。

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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