【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =36=

2016-12-27 11:28:40 | 冒険記譜・挑戦者達

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第14回 デビルズ岬のペンギンロード =1/3= ◇◆

 南極入りしてちょうど10日目の、2015年1月18日。 貧栄養で淡水の湖である、ミッジ湖、チェスターコーン湖、リムノポーラー湖という3つの湖での一通りの調査や測定を完遂した私たちは、次に栄養豊富な塩湖の調査へ出かけることにした。

 バイヤーズ半島にある塩湖はすべて海岸付近に点在しているので、海岸に暮らす様々な大型動物の排泄物や死骸を通じて豊富な栄養が流入してくる。 そのために山の上にある湖とは違い、栄養豊富な湖になっているのだ。 今回その中でも比較的アクセスしやすくて、まだ行ったことのない半島西側の“プレジデント浜”にある3つの塩湖をターゲットに選んだ。

 けれど理由は実はそれだけではない。 私たちがプレジデント浜方面へ行きたい理由はもう2つあった。 1つ目は、まだ見ぬ“ナンキョクミドリナデシコ”が生息する丘があること。 南極に自生している2種の高等植物のうち、ナンキョクコメススキはバイヤーズ半島のどこにでも生えていて、その形態や生息環境もよく分かった。 しかし、この10日間歩き回ってみてもナンキョクミドリナデシコはどこにも見つけることができなかった。 私は写真でしか見たことのないナンキョクミドリナデシコをこの目で見て、どういう形態をした植物なのか、そしてどんな生息環境にいる植物なのかを観察してみたくてたまらなかったのだ。

 そして2つ目はちょっとミーハーな理由、プレジデント浜にあるジェンツーペンギンとヒゲペンギンのルッカリー(集団営巣地)に立ち寄るためだ。 ただし断っておくが、単に「かわいいペンギンちゃんを見たい」という気持ちだけじゃなく、真っ当な目的もある。 ペンギンの排泄物や羽根や卵殻や死骸と、それが大量に含まれている土壌やそこに生息する植物を採集しなければならないのである。 ペンギンを経由して海洋生態系から陸上生態系へと運び込まれる栄養源のベースとなる情報を得るためだ。

 このナンキョクミドリナデシコの丘とペンギンルッカリーはほぼ同じ場所にあり、そこには“デビルズ岬”という名前がついている。 和訳すると“悪魔の岬”・・・荒れ狂うドレーク海峡を越えて命からがらやって来た船から、この岬がまるで悪魔のように見えたのか、この岬を通る強風が悪魔の声に聞こえたのかなんなのか。 由来は分からないが、なかなか凄みのある、想像力を掻き立てる名前である。

 キャンプ地からプレジデント浜にある1つ目の塩湖までは歩いて2時間ほど。 山を越えると、海岸線とともに塩湖が見えてきた。塩湖の傍らにはミナミゾウアザラシが3頭ゴロゴロと寝ている。 噂通り、こんな状態ならば湖に栄養が大量に供給されるのは間違いない。

 多項目水質計で水質を測定し、湖水サンプルをボトルに採取した。 海岸付近は雪が解けているのでアイスドリルなど必要ない。 それどころかボートさえも必要ない。 なぜなら、水深がわずか50cmほどしかないからだ。 おかげで、水質測定も採水作業もお茶の子サイサイという次第である。 どうやらここバイヤーズ半島の塩湖はどこもそんな状況のようだった。

 そのままプレジデント浜の海岸に沿って南に歩いていくと、まるで日本海の海岸にあるような千畳敷風の岩場風景が続いていた。 そしてなんとも色とりどりの海藻が岩場を鮮やかに埋め尽くしていた。 すぐ近くの砂浜はどこか南国のビーチのような雰囲気を醸し出していて、透明な水越しに海藻がゆらめく姿が見えた。 ミナミゾウアザラシやペンギンたちが気持ち良さそうに泳いでいる。

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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