【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =51=

2017-01-23 15:20:56 | 冒険記譜・挑戦者達

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第22回  「落ちたのは、きっと好き過ぎたから」 ◇◆

スカルブスネスに入った日からちょうど1カ月が経過しました。 本当に1カ月??と、信じがたい気持ちです。

 ここ数年、雪が大量だったせいか、まだまだ氷が張っている湖が数多くあり、ボートでの調査がすんなりとは進んでいません。とにかく早く氷がなくなってほしいものです。 しかし数日前、ついに白夜が終わり、地平線の向こうにゆっくりと滑るように太陽が沈んでいきました。と言ってもその後すぐに、太陽はまた姿を現したのですが。

 そんなわけで、これから徐々に気温が下がっていく時期になってしまったのです。 調査期間は残すところあと2週間ちょっと。晴天が続き、あとは風の力で湖の氷が急速に融けることをひたすら祈るしかありません。 なかなか氷がなくならないとは言え、ボートを漕ぎ出すことが可能な湖から順々に調査をして回っています。 風が吹く日は大変ですが、天気がよくて無風の日は本当に気持ちがよいものです。

 聞こえるのはオールで水を漕ぐ音だけ。 湖によって水の色は様々で、水質計を水中にゆっくりと下ろしていくと吸い込まれそうな気持ちになります。 少し暗くなった時間帯に、赤く染まった山々に囲まれながらする調査も格別です。 そんな南極の湖があまりにも好き過ぎたせいでしょうか。
 いや、湖の神から呼ばれたのでしょうか。

 「長池」という名がつけられた湖の氷の上を颯爽と歩いていたときのことです。 突然、地球の重力を感じなくなりました。

   ん?! なんだ??  あれ? 体が冷たいぞ。

 なんと私は薄氷を突き破って、湖の中に落ちたのでした。 幸い歩いていたところが湖岸に近かったおかげで、水に浸かったのはみぞおちまで。 おお、そういうことか・・・ 私は冷静に状況を把握しました。 ここは先達の手法を踏襲してここを脱出するしかない。

 先達とは、この水と氷の世界の住人であるウェッデルアザラシのこと。 私は迷わず彼らの真似をし、スルリと氷の穴から氷上に這い出て、ことなきを得たのでした。

 それにしても冗談抜きに、アザラシの真似はきわめて重要なのです。 なぜなら、薄くシャーベット状になっている氷は、もがくとただ割れるばかりで、なかなか水中から上がることができないからです。 しかも、そんなことをバタバタとやっているうちに、0℃近くの水によって急激に体が冷えてくるので、もしかすると焦ってパニックを起こしかねません。

 そこで、体全体を使って腹這いをすることによって、氷に加わる力を分散させる「アザラシ式」が有効となるわけです。

 長池は今後、潜水調査をする湖。 期せずして少し早めの水中偵察をすることができたのでした。

 もしかすると、懐の深い長池の神が、野外生活で汚れつつある私をちょうどいい頃合いで入浴させてくれたのかもしれません。 まあ、なんというか、少し体がすっきりしたのは事実です。

 

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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