【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =28=

2016-12-11 15:46:22 | 冒険記譜・挑戦者達

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第11回 「アザラシの丘」への散策に =1/2= ◇◆

 「ぎゃーっ!」
「うわーーーっ!」

  今回の調査地である南極リビングストン島のバイヤーズ半島に到着した日の夕方。 ちょっと散策のつもりで、キャンプ地の南西にある海に突き出た小高い丘Sealer Hill(和訳すると“アザラシの丘”というちょっと面白い名前)へ向かうことにした。 ところが歩き始めてすぐに雪に苦しめられ、私と共同研究者の工藤栄さんは悲鳴を上げていたのだ。

  ここの雪はサラサラの雪ではなく、湿った、というよりも限りなく水に近いシャーベット状の重い雪。北東北の3月ころの雨が降った日の雪を思い浮かべてほしい(と思ったけれども、北東北で育った人にしか通じないのかもしれない)。

 しかもその雪の層の下には水溜まりがところどころに隠れている。 海岸に出るためにはキャンプ地から約400m続く水溜まりシャーベット原を越えて行かなければならない。 膝丈の長靴を履いてはいるものの、時折ズボッと膝まで雪と水溜まりに埋まって冷たい水がほんのり入り込んでくる。

  なんとか難所を越えて海岸に出た私たちは、ホッと息をついたのもつかの間、目の前の浜辺の光景に驚いていた。 なんと、信じられない量の海藻だらけの浜だったのである。 ピンク色と紫色と緑色の海藻が50cmくらい堆積している。 多いところだと1m近く積もっているのだ。

  あまりの興奮に走り寄って海藻の山の上に跳び上がってみた。 何とも言えないフカフカでタプタプの感触がまるでウォーターベッドの上を歩いているようだ。 その時、すぐ近くで「ブヒーーッ!」と豚の鳴き声のような音が聞こえた。 岩のような灰色の巨体が3つ、海藻山と海藻山の間にゴロンと横たわっている。

  5~6mほどもある巨体の一つが私に気づいたらしく、顔を上げてこちらをジロリと見た。 ミナミゾウアザラシだ。 見わたすと、何十頭ものミナミゾウアザラシが浜辺にゴロゴロと転がっている。

  こちらを気にして見ているアザラシは他の2頭のアザラシの上に乗っかっていて、私に向かってまた「ブヒーーッ!」と音を出した。 と思いきや、それを機に至るところから「ブヒーッ、ブヒーッ」という音が聞こえてきた。 とにかく、みなブヒブヒブヒブヒ言っているのである。 なんでこんなブヒブヒ言うのか・・・音がするたび気になって仕方がない。 この音自体、お世辞にも美しいと言えるものではないのだが、それよりも何よりもミナミゾウアザラシは、なんというかブサイクそのものなのである。

  ところが人間というのはおかしなもので、しばらく海岸を歩いてミナミゾウアザラシを見慣れてくると、なんだか彼らがかわいく見えてくる。 と言っても、あくまで“ブサカワ”の部類だが。

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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