偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏576トビ岩山(千葉)磨崖仏

2015年04月10日 | 登山

トビ岩山(とびいわやま) 磨崖仏(まがいぶつ)

【データ】トビ岩山 160メートル▼最寄駅 JR内房線・竹岡駅▼登山口 千葉県富津市竹岡の関山集落先のトンネル▼石仏 トビ岩山岩峰の西側、地図の赤丸印。青丸は供養塔▼地図は国土地理院ホームページより(地図に山名はなく、三角点192.6の東の崖を伴った東西にのびる峰をトビ岩山とした)


【案内】トビ岩山へは、富津の関山と相川を結ぶトンネルの関川側、かつての別荘地へ登る道から入った。別荘地奥の左手の尾根に取り付き、192.6三角点方向へ向かう。途中右側へ分かれるいくつかの道はみな白狐川へのコースなので左、左と進む。192.6三角点の南側のトラバース道に入るとトビ岩山への平坦な道になり、トビ岩山崖の上と下の道の分岐に出る。山頂へは左の上の道、ここに案内する磨崖仏は右の下の道に入ってすぐの岸壁にある。


 磨崖仏は高さ約1メートル。合掌をした坐像で頭部の肉髻(にっけい)から、如来形に見える。しかし顔が欠落し、下半身も風化して台座があったかどうかの確認もできない状態で、確かな尊名はわからない。磨崖仏の脇には二つの龕が掘られ、銘不明の石塔と三面八臂の馬頭観音坐像が祀られている。房総の山には馬頭観音と大日如来を祀る例をこのブログでいくつも案内してきたが、トビ岩山のこの石仏たちはそれには当てはまらない。
 房総には神奈川県の鎌倉に造られた〝やぐら〟と同じ形式の龕が多く、そのなかに磨崖仏が彫られているところがいくつもある。トビ岩山周辺では富津市数馬の岩井堂や、同市竹岡の薬王寺がその代表で、鎌倉のやぐら同様中世のものが多いのも特徴だ。露座では新しいものだが、鋸山の百尺観音や薬師如来の巨大磨崖仏がある。意外に思えるが磨崖仏の多い房総である。しかし山中で磨崖仏に出会ったのは、これまでこのトビ岩山だけである。



【独り言1】前に物見塚山からトビ岩山へ向かいましたが、道がわからず断念したことがありました。今回は関山集落の奥から再挑戦です。失敗はごめんですから、地図と磁石をたよりに慎重に進みました。しかし、何度か白狐川方面の尾根に踏み込みこんでしまいました。そのたびに見たのが、かつて利用された形跡のある道で、その一ヶ所には写真のような石塔まで立っていました。この道は白狐集落と相川集落を結ぶように見えましたが、真相のほどはわかりません。写真下はトビ岩山から南側の物見塚山方面の眺めです。



【独り言2】竹岡の関山集落の道路二ヶ所に、不思議なものがぶら下がった注連縄が渡してありました。地元の人に尋ねると、〝注連吊り〟というものだそうです。集落の入り口と出口の二ヶ所に、悪霊・主に疫病を防ぐために吊るしたもので、毎年2月に新たにするとのこと。吊るされたものは、男根、草鞋、桟俵。昔はもっと大きなものをつるしたそうで、こんな大きなものをもつ、あるいは使う男がいる、ということを表現したものだそうです。各地にあった道切りと同じ趣旨の行事なのでしょう。昔は竹岡のどの集落でもやっていたそうですが、今はここ関山だけに残っているとのことでした。


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