KPOP! 愛だけがそこにある。

迷子になりに出かけよう。
月明かりのparadeへ。さあ、目を閉じて・・・

RABIN 小説 type 04 「too love」

2016-10-16 05:58:09 | 93 parallel 4(書店員 豆)
*フィクションです。

《ウォンシク 編》








暮れていく夕陽を切り裂く影が長く伸びていた。

轟音と共に飛行機が飛び去って、あいつの『先輩』って人が行ってしまった後の、空を見て悲しそうにしていたあの日の姿を思い浮かべる。



どうしてるかな。
と思う日には、ふらりと本屋に立ち寄った。
適当に行っても会える確率は高くて、いなくて話せないと退屈になった。こんな気分は初めてだった。 あいつは女の子じゃねえのに。



バイトで使ってる配送車の時計がPM9時をすぎた頃、俺のスマホが振動し「また文句かよ」とこっちも文句を言いながらインカムのスイッチを押した。

配送センター本部からの注意かと思ったが、聞こえてきたのは「シガ?仕事終わった?」というビナの声だった。

「おお、ビナ。今戻るとこだ」
ーー『あのさ・・・ちょっと一緒にいてくれないかな』
「は?・・・どうした」
ーー『いいから来てよ!あのコンビニにいるから』
「ちょっと待てるか?車、戻してくっから」
ーー『うん。早くね。急いで』

急になんだ。

でもまあ、俺を呼びつけるって事は普通の状況じゃないんだろう。
俺は心配になりスピードを上げてセンターへと戻った。このまま行きたいがそうもいかない。



センターからは自分のクルマに乗り換えてコンビニに向かう。

乱暴に路駐して、コンビニのドアを押し開けると
奥のイスに座って待ってたビナが「こっち」と手を振ってきた。いつもの笑顔はない。

「ごめん。本部に寄ってきた」
「遅い」
「仕方ねえだろ?伝票持ってたからさあ」
「もうちょっとで1人で帰るとこだった」

テーブルを見ると、読みかけらしい本のかなり後ろのページにしおりが挟まっている。

「なんだよ?」
「ねえ、外に誰かいた?」
「そりゃあいるだろ?まだそんな遅くねえし」
「後をつけられてる」
「え?ビナが。誰?どんなヤツ」
「僕らより少し年上の男。この前、夕飯買ってたらさ、いつもひとり分だねって声かけられて」
「・・・・・」
「一緒に飯食おうとか言われるから嫌で。断わってもしつこいし、ジェファニヒョンは今日いないしさ」

「どのくらいだ」
「最近だよ。3日くらいかな」
「それで俺を呼んだのか」
「なんとかしてくれってことじゃないよ。今日一緒に帰ってよ」
「んな訳にいかねえだろ?俺が言ってきてやるよ。こういうのは早いとこなんとかしねえと」
「なんて」
「人のもんに手え出すなって」
「僕ってシガのだったっけ」
「今はそうゆう事にしとけ」

なんでそういう言葉を言ってしまったのかは、自分でもわからない。

けどこれがいちばん効果あるだろう。
俺はビナの肩を抱き、コンビニを出た。
軒先で待っていた男の表情がサッと変わり、「こいつだな」とわかった。

「ビナ、今日俺んとこ来るだろ?」
これ見よがしに親しそうに振る舞う。
ビナは一瞬だがイヤそうな顔をする。
なんだよ傷つくだろ。ってあれ?これは演技だったはずだ。なのになんでこんな気持ちになるんだ。

「先に乗ってろよ」
ビナをクルマに乗せた後、俺は軒先にまだいるヤツに近づいた。

「あいつになんか用ッスかね?見ての通り、ワガママだしひとりでブラブラするけど、俺のもんなんですよ」
「俺はただ飯を奢ってやろうとしただけだ」
「あー、じゃあ俺に奢ってくれます?なんなら今からでも」
「どうしてお前に」
「同じカネならいいんじゃねえの?・・・今ならまだ許してやる。・・・消えろ」

わざと指と手首を鳴らす。
腕をまくり、タトゥーを見せると途端にヤツは後ろに下がった。

「なんか勘違いしてるかな?俺はただ、飯を食おうと」
「ああそうか!ありがたいっすよ。そこまで心配してくれてスンマセン。お礼にウチの事務所まで来てくださいよ」
「じ、事務所・・?いや、まだ奢ってあげてないしね。終電の時間だから行かなければならないな」

慌てた様子で去っていく。
うまくいってよかった。

クルマに乗り込むと、俺はふう、と息を吐きながらビナの手を握った。

「やべえーー!びびった」
「なんて言ったの」
「事務所に来てくれっつった」
「バイトの?」
「そう。勝手に誤解してくれてよかった」
「あはは!シガの見た目ならね。そう思うよね。
ありがとう・・お礼になんか食べに行こ」

「ああ、いいよ」
今回は上手くいったが、俺の知らないとこで危ない目にあってるとかじゃねえだろうな。

「帰るとき電話しろよ。毎日」
「ヒョンがいたらヒョンと食べるし。平気だよ。
今までは先輩といたから1人って慣れなくてさ」

俺と食えばいい。夜は俺が送るよ。

そう言いたくて、自分の気持ちに気づく。

俺はビナといたい。できればずっと。
お前の『先輩』にはなれないかもしれねえけど。

「ビナ」
「なに?」

握った手を引き寄せて、肩を抱き込む。

「悪りい・・ちょっと」

キョトンとしてるビナと軽く唇を合わせる。
抵抗しない。

もうちょっと。
夢中になりそうで心の何処かが警告音を出す。

「・・・・・シガ」

「ゴメン。こんなとこで」

「びっくりするだろ・・・」

怒ってはいない。よかった。

「お腹減ってるから早く行こうよ」
「ビナ、お前イヤじゃねえの?俺といて」
「うん。嫌じゃないよ・・ていうかさ!まだわからないしね」
「俺とどうにかなるって事が」
「うん。なんだろ・・この感じ。先輩といた時とは違うんだよ」
「じゃあお前も俺を好きかもな」
「知らないけど・・・多分」

やばい。すげえ嬉しいかも。
一気に熱くなって、鼓動が速くなる。タバコを吸いたかった。

「とりあえずメシ食いに行くか」
「今日はシガの奢りでね」
「さっき自分が奢るっつってただろ」
「キスの分だろ。反省してよ」
「なんで反省だよ。いいじゃん」


まだ甘ったるい雰囲気にはなれそうもないが、一緒にいるのが楽しくて話を続けたかった。

食ったら俺んとこで呑もう。



1人にするのが危ないから、泊まっていけよ。そんな言葉をこっそり用意しながら、ニヤつくのを隠して夜の街にクルマを走らせた。




next



*******
*画像公式から。


コンビニ出た後、肩を抱かれて豆がイヤそうにしてるのはただ恥ずかしかったから。
ツンデレっぽい感じです〜!
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« らびん『狂い咲く Emotion』 | トップ | RABIN 小説 type 05「 慈雨... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。