MASTER PIECE

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風が吹くとき

2013年03月28日 22時32分58秒 | 映画



(ストーリー)
イギリスの片田舎、年老いたジムとヒルダの夫婦は、子供も独立し、ゆったりとした平穏な年金生活を送っていた。
ある日、核戦争が近づいている事を知ったジムは、政府が配ったガイドに従って核シェルターを準備し始めるが・・・

1986年制作のイギリスのアニメ作品なのですけど・・・
全体的にとっても切ないです。切ないっていうか徹底的に救われない作品。

まず、ジムもヒルダも核爆弾が落ちたって事がどれだけの事態なのか分かっていない。
ジムは政府のガイドに従ってシェルターを作るのだけれど、どう見たって簡易的なもの。
それが安全に身を守るものとは到底思えない・・・

水道から水が出ない・・・「政府が止めているのだろう」
ガスも電気もきていない・・・「これじゃお茶も飲めないな」
ラジオを聴くことにしよう・・・「おや?電池が切れている」
情報は新聞が来るまで我慢しよう・・・

そして次第に放射能に侵されていく夫婦の描写もかなり辛い・・・

この作品を観て戦争や核の恐怖をメッセージとして表現すには中途半端な表現では駄目なのだろうね。
平和に暮らす夫婦を襲った非日常を、いつもの変わりない日常で描いてあるので
ここまで徹底していると、かなり恐怖感が実感できます。

とても辛くて重いテーマの作品でした。

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パッション

2013年03月22日 18時19分33秒 | 映画



これはなんと言ったらいいんだろうか・・・

映画という娯楽を楽しむ作品では無くて、イエスの受難(パッション)を疑似体験する作品でした。
作品自体にドラマチックやファンタジーの要素を求めるのとは違い
リアリティーを追求してあるので、けして万人が楽しめる作品では無いし、観た人の感じ方でかなり感想が違うと思う。

私は敬虔なクリスチャンではないので、特に受難のシーンは目を背けたり「うぁ!!」「いやぁ!!」って声が出ましたが。
逆にクリスチャンの人は涙を流すだろうし、この作品を観てもっと深くキリスト教を理解できると思う。

いや・・・イエスの教えではないような気がする・・・

もっと根本的なイエスの偉大なる精神とか愛とか・・・人間の原罪とか贖罪とか・・・
言葉にするにはかなり難しい部分です、だから体験して感じる作品なのだろう。
観た人が疑似体験してどう感じるか?・・・メル・ギブソンはその部分を主張したかったのだと思う。

しかし楽しめる作品では無いにせよ、驚くほど良くできた作品です。
悪魔との対峙、ユダの裏切り(密告)から総監ピラトの判断、磔のシーンなど凄く理解しやすい。

ラストはイエスが悪魔(サタン)に打ち勝ったとの解釈でいいのかな。
この映画を理解する上でとても重要なシーンでしたのでもの凄く印象的です。
このシーンを入れる事でイエスの受難の意味が理解できて、じわじわと感動がこみ上げる・・・
もっと感情移入出来る人は泣くでしょうね・・・多分。

蛇足ですけど、私が好きな【マイ・プライベート・アイダホ】に出ていたジム・カヴィーゼルがイエスを演じていたので。
映画ファンとしては不思議な邂逅を感じました・・・

観て損はない作品だと思います。

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ミーン・ストリート

2013年03月16日 11時38分48秒 | 映画



マーティン・スコセッシ X ハーベイ・カイテルの作品。

ロバート・デ・ニーロも出ているが、変な役で主役のハーベイを食ってしまっているので
なんとも中途半端な作品でした。

私としては最近観た中では、けっこう硬派な作品ですけど、内容が軟派過ぎて・・・

仲間内での借金の揉め事、そして最後は・・・

この作品はスコセッシ監督の自伝なのですけど、主役のカイテル=スコセッシだとしたら感情移入できるが
デニーロ=スコセッシだとしたらあまりにもトリックスター過ぎて感情移入出来ないです・・・(笑)
まぁ、良くも悪くもデ・ニーロが目立ってしまった作品という事でしょうか。

ニューヨーク、リトルイタリー地区で育った若者たちの群像劇なのですけど
内容的には日本映画の【パッチギ】的な印象ですね・・・(もちろん製作はこっちの作品が先です)

映画の冒頭に主人公のカイテルがニューヨークで一番古いキリスト教会で懺悔するシーンがあるのですけど
そこで主人公はとっても信心深い男として描かれている、仲間内でもその事についていじられたりするシーンがあるが
それをジョークで受け流す主人公は絶対的な自信やキリスト教に対して敬虔さを持っている人物なので
やっぱり監督のスコセッシは自分の姿をこの主人公として描いています・・・
後年【最後の誘惑】を作る監督の原点を見ることが出来て興味深いですね。

やっぱりどう見てもカイテルのかっこ良さよりもデ・ニーロが目立ってしまう作品でした。

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4

2013年03月11日 23時37分44秒 | 音楽



久しぶりに音楽ネタでも・・・

このフォリナーの4作目【4】に思い入れがある人はもう40歳以上なのだろう。
中学生の時に死ぬほど聴いたアルバムです。
今でもたまに聴き直します、まったく飽きないです(笑)

覚えやすいメロディラインとコーラス、ルー・グラムの歌の上手さと聞きやすい楽曲構成で完成度が高いですね。

【ブレイク・イット・アップ】は当時の化粧品のCMに使われた記憶が・・・
大ヒットの【ガール・ライク・ユー】は個人的には好みじゃないけど、しっとりといい楽曲。
特に好きなのが【ウーマン・イン・ブラック】でして、思い入れがあります。

当時は売れる洋楽のアルバム=いい作品という産業ロックの風潮があってまんまと乗せられていました(笑)
それに反骨精神を発揮したのか、高校ではピンク・フロイドやクリムゾンなんかを聴く
君たちには良さは分からないだろうね?このコード進行や難解な歌詞が・・・みたいな今でいう「痛い」学生でした(笑)

改めて聴くと、当時のエイジアもフォリナーもホール&オーツもマドンナも時代を切り取った凄いアーティストです。

ところでこのフォリナーが6人から4人になって、4作目に出した作品のタイトルが【4】って
今考えると、バンドとしての意思表示と自信がこの作品に集約されていてシンプルだけど凄い作品だと思います。
私にとってはフォーエバー・ヤングな作品です。(笑)

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幽霊たち

2013年03月04日 22時56分45秒 | 書籍



【書き出し】

まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。
ブラウンがブルーに仕事を教え、こつを伝授し、ブラウンが年老いたとき、ブルーがあとを継いだのだ。
物語はそのようにしてはじまる。

探偵ブルーは依頼人ホワイトから、ブラックなる人物を監視してほしいとの依頼を受ける。
そのブラックを監視しても何も起こらない、しだいにブルーは混乱していく・・・

なにも特別な事件は起こらない探偵小説・・・
クールで頭脳明晰で冷静沈着な主人公ブルーが次第に追い詰められていく小説(笑)

でも、面白いです・・・こういうアイデアでのまとめ方は意外性での勝負ですが
ポール・オースターはスマートでまとめ方が上手いのでシュールな内容が映画のシナリオのような印象ですね。

でも、これって映像作品にしてしまっては退屈なんでしょう・・・多分。
文学で読み、読む者のイマジネーションでラストまでグイグイ持っていって余韻を楽しむ。
そのような印象を受ける作品です。

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