MASTER PIECE

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欲望

2013年10月02日 22時29分11秒 | 映画



究極の不条理世界を描いた問題作・・・ってDVDの裏面解説なのが、すでにちょっと面白い(笑)

原題が【BLOW-UP】って単純に引き伸ばしって意味ですが、邦題が【欲望】なのも不条理です。

新進気鋭の若きカメラマンが殺人事件の目撃者となるストーリー
単純に説明するとこれだけなのです・・・
その殺人事件には深く関与しないが、次第に主人公は不安に募られていく・・・

うん、なんでしょうか? たしかに不条理な世界ですね。
殺人事件の謎を解き明かしていく展開でもないし、それによる登場人物たちの葛藤や大きな行動がある事もない。

監督のミケランジェロ・アントニー二は何を表現したかったのか?

ラストのエアテニスをする若者の集団がとても印象的でした。

今まで主人公は自分のことしか考えないし、自信を持ったカメラマンでしたが。
夢か現実か分からない白昼夢みたいな出来事に遭遇したことによって
自信をなくし不安になる人間の心境や心の変化を表現したと思う。

見えるものが見えなくなり、見えないものが見えてくる・・・

ラストで主人公はエアテニスの若者集団に参加する(ボールを投げ返す、あくまでエアーです)事で。
自分が体験した不条理な出来事を、自分で解釈、納得しようとするんですね。

この作品はストーリーの展開を楽しむっていうより、ファッションや風俗を淡々と楽しむ作品です。
結果、大風呂敷を広げた究極の不条理世界っていう感じではなくて、ある意味ファッショナブルでPOPな作品でした。