とめどもないことをつらつらと

日々の雑感などを書いて行こうと思います。
草稿に近く、人に読まれる事を前提としていません。
引用OKす。

ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ

2017-04-27 22:49:07 | 雑感

ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ
2017年04月21日 11時30分
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170420-OYT8T50040.html

 2014年にソニーが不採算事業として売却し、投資ファンドのもとで独立したパソコン(PC)メーカー「VAIO」(長野県安曇野市)。15年に就任した大田義実社長は、1年で売り上げを倍増させ、本業のもうけを示す営業利益を黒字転換させるなど「V字回復」させた。これまでも通信機器会社や化学材料会社の経営再建を成功させてきた大田社長に、これまでの取り組みと、今後の展望を聞いた。

赤字スタートからEMS立ち上げ

――独立から3年、そして社長就任からの2年間をどう振り返りますか。

 社員数250人のPC専業メーカーとして独立しました。ソニーはグローバルでPCを展開しており、全盛期に年間860万台を販売していましたが、国内販売は10分の1以下でした。独立した初年度は国内のPC事業のみでスタートしましたが、会社の体裁を整える時期だったので20億円近い営業赤字を出しました。私は独立して2年目に社長になり、まずは国内特化を継続して、「(利益を増やし)量を追わない」戦略で経営することにしました。一方、ソニー時代は一般向け販売が主でしたが、法人向け(BtoB)を中心に販売する方針に転換し、専門の営業部隊を作りました。また、国内中心とはいえ、少しだけ海外販売も始めました。さらに、250人もの社員がPC専業で食べていくのは難しいと感じ、今までソニー製品のためにしか使われていなかった技術や製造設備を外に持ち出そうということで、EMS(電子機器の受託生産)事業を始めました。

強みは「高性能」

――中核のPC事業は、一般向けの市場が厳しくなる中、各社ともBtoBに注力しています。激戦を勝ち抜くうえでVAIOの強みはどこにあると考えますか。

 高性能機種に強いです。たとえば高度な処理を必要とする金融機関のトレーダーや、設計会社などにユーザーが多く、(上位機種の)「VAIO Z」や「VAIO S13」などを採用してもらっています。Zは軽くて丈夫なうえ、フリップモデルは画面の向きを変えられるので、保険会社の営業担当者らがお客様に説明するところから、署名してもらうところまで1台で完結できます。キーボードと画面の取り外しが可能な「デタッチャブルPC」の発売なども、お客様の要望も踏まえて検討したいですね。


――ソニー時代のVAIOは一般向けのイメージが強かった。もともとBtoBにはパナソニックなど強いメーカーがありますが、BtoBのイメージを強めることができたのはなぜですか。

 今は一般向けは3割程度しかありませんが、やはり始めたころは「ソニーってBtoBやってるの?」と驚かれました。それで、会社が独立し、方針が変わったことを伝えていったんです。軽くて丈夫で、インターフェースも充実しているということでヒットに結びつきました。最初は「一般向けでしょう?」「高いでしょう?」と言われましたが、競合機種に比べたら決して高くはないので(受け入れられた)。さらに、企業幹部の方が元々ソニーのVAIOのファンで、そこから売り込んでいったケースもかなりあります。企業のシステム担当の方も、使ってもらうと良さをわかってくれます。「全然違う」と。


――BtoB向けでは業界でも存在感はまだ小さい。伸ばせる余地はありますね。

 そうだと思います。ただBtoBでも「値段さえ安ければいい」という市場もある。そっちのほうに参戦するつもりはありません。まったく一からのスタートでしたが、去年ぐらいから数千台レベルの注文も入り始めています。国内の市場規模もまだ拡大するのではないでしょうか。
既存技術を生かした新規事業

――EMS事業は、台湾や中国の企業が強い。VAIOならではの強みがあると考えたのですか。

 「安い製品を安く作ってくれ」という発注は受けないことにしました。VAIOは元々、ソニーのデジタル製品の生産を担ってきた歴史があります。安曇野では(電子マネーなどに採用されている非接触型ICカード技術)「FeliCa」(フェリカ)の関連製品や、犬型ロボット「AIBO」(アイボ)なども作っていたので、技術者も生産設備もレベルが高い。遊ばせておくのももったいないので、PCの技術者にもEMSにかかわってもらい、新規事業として立ち上げました。PC以外の機器も、設計から試作品作り、組み立てや物流、修理まですべての機能がそろっています。お客様から「こういうものを作りたい」と言われたら、設計の段階から請け負います。


――どういった企業から請け負っているのでしょう。

 講談社の「鉄腕アトム」型ロボット組み立てキットや、トヨタ自動車のコミュニケーションロボット「KIROBO mini」(キロボミニ)などですね。ロボットにはPC生産の技術が応用できます。また、「Moff Band」(モフバンド=スマホなどと連動させ、腕や足に巻いて動かすことで、疑似的に野球や楽器演奏などを楽しめるおもちゃ)も受託生産しています。


――いわゆる家電ではなく、「とがった製品」やコンセプトが明確な製品が多い印象です。メーカーと密に連携しながら作り込んでいくのですね。

 たとえば洗濯機のように広範囲で売るものではなく、特定市場向けの製品が多いです。


――現状でEMS事業の引き合いは多いのですか。

 多いです。たとえば、ベンチャー企業などからも発注が相次いでいます。ただ、リソース(経営資源)は限られているので、中身を見て判断します。Moff Bandもベンチャーの製品です。


――EMSは稼ぎ頭になりそうですか。

 まだまだ成長途上ですが、社員250人のうちかなりの人数をEMSに割いています。始めたのが1年あまり前ですが、2017年5月期の決算で(事業のもうけを示す)営業黒字を予想しており、PCに次ぐ「第二の柱」になりそうです。また、PCの技術者の手が空いたとき、EMSを手伝ってもらうといったように柔軟な体制をとっています。


「技術力から新事業が染み出す」会社に

――小さな組織ならではの良さですね。


 ソニーを離れてよかったのは、意思決定のスピードが上がり、社員の動きも早くなったことです。人員配置など、リソースの調整が素早くできます。一つのプロジェクトが立ち上がれば、5人ぐらいがさっと集まって仕事ができるようにしています。


――一時、東芝や富士通との事業統合も検討されましたが、結局白紙になりました。組織の強みを生かすためには、他社との事業統合よりも、独立独歩でやっていくのがよかったのでしょうか。

 私は複数の企業の再建を手掛けてきました。どこでもそうですが、まずは会社として安定させないといけない。そう考えた時、他社と統合しても(社員が)幸せにはなれないと考えました。EMSも含めて、技術力から新事業が徐々に染み出していくような会社にするのが理想です。


――250人の社員の大半は、現在もソニーや関連会社の出身者なのですか。

 いわゆるソニーや子会社出身の人が大半です。新しい技術者も増やしており、営業をやってもらうこともあります。今春は新卒の社員7人を採用し、うち6人が技術者採用でした。東京の大学の出身者もいますが、大半は長野、地元出身の学生です。


――地元の雇用にも貢献していくのですか。

 長野の企業ですし、雇用面で貢献したいという思いはあります。


――大企業では遠距離の転勤が付き物ですが、それがないのも魅力ですね。

 就任の時に社員に約束したのは、安曇野工場でビジネスを続けていくことです。本社も安曇野に残し、人も減らさない。実際に約束は守っています。


――よくメーカーで課題になるのは、技術を理解した営業担当者の不足です。意識して増やされているのですか。

 意識して増やしています。法人営業の場合は、カスタマイズ(設定変更)があります。「カスタマイズできますか、できませんか」とお客様に問われたとき、技術出身者でないと即応できません。製造現場も知っていて、様々なシチュエーションにも対応できます。ソフトやセキュリティー関連など、お客様の悩みにもその場で応えられ、解決できる。また、BtoBは指紋認証が必要だったり、特殊なセキュリティー性能を求められたりしますが、そうした(開発上の)課題も見つけて、次のモデルを作る際の参考にしています。実は最初、技術者に営業をやってもらうことに抵抗もあったんですが、聞いてみたら全員が「営業をやってもいい」と言う。みんなお客様の声、自分の開発した商品に対する反応を聞いてみたかったんでしょうね。


経営再建は「シンプル」

――元々、物流や通信など畑違いの分野の企業を再建してこられましたが、ITは初めての挑戦でした。VAIOでも成功できたのはなぜでしょう。

 どんな会社にも、いいところと悪いところがあり、それらを早く見極められるかどうかがポイントです。日本のメーカーでは、「日本で製造するとコストが高くなるので海外で」となりがちです。そうではなく、会社の中を見渡して、(日本の)製造拠点が会社にとってどういう意味を持つのかということなどを、一つ一つ考えていく必要があります。まず(再建対象の会社に)入る前にいいところと悪いところをきちんと見極めたうえ、悪いところは直し、いいところは伸ばして発展させる。ある意味、非常にシンプルです。そのために、お客様の目線に立つことが大切です。一方で、ソニーから離れて自由になった部分もあるので、(EMSで)技術を売るようにしました。そこでまったく新しいものを作り出せることに気づいたんです。


――第三の事業の立ち上げを目指しているそうですね。

 今準備が進んでいます。VAIOの強みである「ものづくり」の技術から発展させた事業です。しかし、VAIOにはPC以外の販売機能やソフト開発機能などはないので、他社と提携したり、他社に出資したりして補完します。投資して一からやるより効率的です。ただ、中身はまだ具体的には言えない状況です。


――投資ファンドが発行済み株式の9割以上を握っていますね。

 目標は新規株式公開(IPO)、あるいはファンドではない企業に株主になってもらうことです。可能性は無限にある。とにかく、外から見ても「魅力的な会社」にならないといけません。一緒に仕事をしたいと思ってもらえる会社になるという意味です。「安定化」を進める段階は終わりました。


――今期も残り2か月ですが、前期より業績は伸びそうですか。

 増収増益は達成できそうです。業績は好調だと思います。PC、EMSの両方が引っ張る形です。


――4月7日に、新しいスマートフォンも発売しました。

 新型機「VAIO Phone A」は大変好評です。Windows10を採用し1年前に発売した「VAIO Phone Biz」と形状などは同じですが、Androidを搭載している。SIMフリーで、2枚のSIMカードを入れられる「デュアルSIM」機能などもあるうえ、価格も手ごろです。イオンや通信大手インターネットイニシアティブ(IIJ)などの携帯電話会社から回線を借りる仮想移動体通信事業者(MVNO)で取り扱っています。アルミニウムのボディーも洗練されており、頑丈さも売りの一つです。ビジネス向けのニーズには十分応えていると思います。防水機能などは搭載していませんが、次に発売する機種で検討します。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロボットと仕事競えますか ... | トップ | ジュースの川流れる=工場倒... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

雑感」カテゴリの最新記事