とめどもないことをつらつらと

日々の雑感などを書いて行こうと思います。
草稿に近く、人に読まれる事を前提としていません。
引用OKす。

「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ」←? よく分からなかったので丁寧に解説。

2017-06-17 05:01:14 | 雑感
「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ」。
結論から言うと、これは誤訳である。
しかも結構な数の人間を誤った方向に導いている意味で悪質な誤訳である。どういうことだろうか。これを考えていこう。

私はしたり顔で何か名言みたいなことを言っていたり書いていたりするのを見ると「あぁん? んなわけねえだろ」と天邪鬼的に思ったりする。
イメージ的には般若の面が瞬発力よろしく、「しぱぱぱ」と顔を出したり出さなかったりとかそういうような感じで、和室に座っていると私の天邪鬼が瞬間的に障子から顔を出したり出さなかったりして、部屋の中の様子を伺うのである。
私の頭の中では、般若の面をかぶった天邪鬼という子鬼が、ちょっと開いた障子の間の向こうで、反復横とびを常にやっているのである。

今回のお題は「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ」。これ本当にそうなのか? 

誰かが「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶからね~」とかネットでしたり顔で書いているのを見るとどうも違和感がある。
じゃあ例えば、何か個人の人生を選択するのに必要な知識を、将来的にどういう仕事をすればいいのか、あるいは、人生をどのように送ればいいのかと言うと、愚者はそういうのはトライ&エラーで自分が経験したことだけを元に、判断基準を形成する。これはよくありませんよー、と言うのは教訓として分かる。
しかしそれではそれを修正するのに、じゃあどうすればいいの? と言うと、「歴史から学ぶ」。いやいや、図書館に行って、歴史書を読むのがそんなに個人の人生にとって有効なのか? いや、社会決定を行う政治家や官僚であれば別なのだが、多くの人の場合はそうではないでしょう。どちらかと言うと、個人が経験した「個人経験」と、社会がどのような政治決定を為したかという積み重ねの記録の「歴史」の中間解である、「他人の経験」あたりが一番効率がいいんじゃないの? とは思う。

それでは原文に当たりましょう、と言うことで読んでみたが、原文も実はそのとおりで、「他人の経験」や「過去に起こった個人的経験」をそのままhistoryと訳したのが最翻訳された時に「歴史」と誤訳されたようである。

初出として発言したのは、初代ドイツ帝国宰相のオットー・フォン・ビスマルクであった。


オットー・フォン・ビスマルク - Wikiquote
https://ja.wikiquote.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。(直訳)
Nur ein Idiot glaubt, aus den eigenen Erfahrungen zu lernen.
Ich ziehe es vor, aus den Erfahrungen anderer zu lernen, um von vorneherein eigene Fehler zu vermeiden.

愚者は自分の経験に学ぶと言う、私はむしろ他人の経験に学ぶのを好む。(英語版)
Fools say they learn from experience; I prefer to learn from the experience of others.


と言うことで、真の意味はこれであったのと同時に、これを我々の思考形態に適用すべきだ。

尚且つ注意せねばならないのが、改めて言うと、「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ」は誤訳であったのである。
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引用ツイート(おおむね同意) (トピルツィン)
2017-06-17 09:27:55
引用ツイートしました。
https://twitter.com/toopiltzin/status/875861683721224192
以下雑感。
名言を引用するという「歴史から学ぶ」姿勢自体が誤っていて、正しく過去の人間の発言を把握していないというのは面白いですね。
ただ、booterさまが以前書いていたとおり、「愚者は経験から学び…というのは誤訳である」という主張が正しいかどうか、裏が取れるまでは控えめに賛同させていただきます。
というのも、booterさまが参照している情報源がwikiquoteである点です。
もちろん、これが間違いであるという訳でもありませんし、もっとよい方法があると言っている訳ではありません。
ただwikiquoteはwikipediaと同じく誰でも編集可能なものです。また、該当の名言には出典が書いてありません。
これで出典を探し出すと非常に大変なので、
wikiquoteは次善の策ではあると思います。
誰かが「書いた」なら該当書籍を当たればいいんですが、誰かが「言った」となると出典を探すのは非常に困難です。
ああ、それにしても、
なぜwikiquoteで該当箇所を編集した人は出典を書いてくれなかったのでしょう。
出典マニアとしては辛い所です。
このような出典マニア御用達の名言辞典として
梶山 健『世界名言大辞典』があります。
しかしこの辞典をもってしても、多くの名言は「出典不明」とされています。
巷にあふれる名言本が出典さえ言及していないのに比べれば、すこぶる良心的であるというのは事実なのですが。
また、このような出典を確認する方法として図書館に問い合わせるという方法もあります。
一部の由来不明の文章はこれで解決できました。
もっとも、そこまで気合を入れて出典を探す必要があるのかという現実的な問題も存在します。
Unknown (booter)
2017-06-17 14:50:03
コメントありがとうございます。お久しぶりですね。

本件の出典調査の件については、まさしくトピルツィンさんの姿勢が正しいと思われます。ご指摘のとおりです。そのとおりです。ありがとうございます。

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