松林図屏風萩 耿介日本経済新聞出版社このアイテムの詳細を見る |
知らぬ者のいない日本画の巨匠の生涯を、彼を取り巻く人間模様やキリスト教や仏教、時の政治や芸術などとの関係を緻密に織り交ぜて描く、美術ファン必読!!
家族を連れて能登から上京、絵師として活動を始めた長谷川信春(等伯)は、永徳率いる狩野派全盛の世にあって有力寺社や武家からの注文は得られず、不遇をかこっていた。天正十年六月、本能寺の変。秀吉が信長の跡目を襲い、世は移る。だが、かつて堺の商人から聞いた言葉が頭を離れず、それは息子の久蔵にも影響を与えた。絵師の本分とは何か? 安土桃山の世に独自の画風を打ち立てた謎の多い絵師父子の生涯を描ききった力作長編。 』
本書、朝日新聞の読書のページ(2/8)に「時代小説の新鋭 才能豊かに夢幻の世界つづる」と紹介されていた4冊のうちの最後の1冊。(あとの3冊は蛇衆、三悪人、源平六花撰)
この3冊、毛色の違った作品たちで、けっこう面白く読んできたのだけれど、うーん、これはねぇ。
のっけ、本能寺の変の実況中継(笑)はよかったのだけれど、腰砕け。
あれもこれもと欲張った散漫な印象で、絵師としての苦悩、家族との関係、狩野派との確執、「きりしたん」と「降倭」のエピソード・・・どれもこれも中途半端。
もうちょっと整理してそれぞれを深めたらいいのにと残念に思う。
このプロットで例えば高橋克彦に書かせたらどんなに感動的な話になるかと思うと・・・もったいない。
・国宝 松林図屏風 東京国立博物館の作品紹介