源平六花撰奥山 景布子文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
歌舞伎等でごくなじみのある登場人物のその後について、想像もしたことがなかったのだけれど、こうやって文章になっているのを見ると、納得できる物語になっている。
「常緑樹」=一条大蔵卿と常磐御前
「啼く声に」=千鳥(俊寛の)
「平家蟹異聞」=松虫(与一の射た扇をかざし持った)とその妹鈴虫
「二人静」=静(信田の狐)と北条政子
「冥きより」=熊谷直実と妻相模(平家物語では直実は敦盛を討っている)
「後れ子」=建礼門院徳子(安徳天皇母)
本歌取り(プロットを他から得ている)=安易であると捉える向きもあろうかとは思うが、
作家というものはこういうふうに物語を紡ぐのかと妙に感心した1冊。
奥山景布子さんは中世国文学(『四条宮下野集全釈』など)の研究者平野美樹さん(文学博士)。
本書も朝日新聞の読書のページ(2/8)に「時代小説の新鋭 才能豊かに夢幻の世界つづる」と紹介されていた4冊のうちの1冊。これが3冊目。
あとの1冊も楽しみである。
・蛇衆
・三悪人