トトヤンの家庭菜園

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地の果てまで

2017-07-14 16:07:29 | 日記
40年前のあの頃を。

クローニン(1896-1981)は医師から小説家に転じた英国の作家で、作品世界には貧しい庶民労働者と良心的な医師を登場させることが多いことで有名で、
自分にとってはもっとも愛読してきた外国作品といえるかもしれません。世界には国粋主義者もいれば、社会主義者もいます、それに加えて信仰に道を求め世の中を照らそうとする生き方もあります。
目の前の進む道に、このような限定された3つの選択を迫られたとしたら、自分は迷いなくクローニンの生き方を選ぼうとするでしょう。だからといってキリストを信じるものではありません。クローニンは常に宗教と社会正義を
テーマとする作家です。ところで、40年前の件ですが、やはり、振り返って思い起こすのは当時の愛読書です。クローニンのこの 小説 『 地の果てまで 』日本語版 集英社文庫は父と子という生得的な根深いテーマを扱っていて、それも推理小説風に仕立て上げています。
訳者である竹内道之助の作品案内をひもといてみます。
是非、心に留めて頂いて、その作品意図のエッセンスを受け取ってください。(物語は、死んだとばかり思っていた父が、実は終身刑に服していることを知り、しかも破廉恥な殺人罪という罪名になにかしら釈然としないものがあることを直感した主人公の大学生が、幼時の記憶をたよりに、父がそんな罪を犯すような人間ではないという信念から、なんとかして真実をつきとめ、獄窓に呻吟する父を救い出したいと、身を賭して政治悪や社会の不正に抗し、その執拗な真実探求がついに父の無罪を証するに至るといった筋立てとなっています。(略)異常な興味と稀に見る緊迫感をもって、読者に強い印象を与えるという事実は、否定できません。
本書を貫く強烈なヒューマニズム。人間的な、あまりに人間的な主人公の言動が、法律や推理や常識では到達しえない境地まで、物語をすすめて行く。(略)主人公のポールがついに真犯人をつきとめ、おもむろに父の無罪が証明されるまでの、緊迫に緊迫を重ねたシーンの連続は作者のそれまでのどの長編よりも、すぐれた叙述、めざましい描写として、読者に巻をおくあたわざらしめるものがあると思います。法廷での再審理弁論は本書中の圧巻であり、ここでは一流の推理作家も顔色なしといった、みごとな場面が展開されているのです。
そして、ここまで筋を運んできた作者は同時に釈放された後の父の姿を、目をおおいたくなるほどのえげつない人間として、妻子や友人や、我々読者の前に描いてみせます。生命を賭してまで救い出した父が、こんなに浅ましい男だと知ったときの主人公の気持ち。しかし、十五年間人間的な自由をうばわれていたために、ほとんど欲望とエゴのみと化したような父をも、やがては真の人間に復帰させる曙光を用意してあるように思われるのです。(略)ともあれ、作者は人間にぎりぎりの条件を課して、それを凝視するところから生まれる、まことに幅のひろい愛情を投射し、いかなるものにも曇らされない透徹した目を持って、非人間化した人間をも、再び真の人間として生かしうる道を暗示しているとさえいえるのです。


【備考】過去の放送(TVドラマでは)地の果てまで
TBS放送・(木 )時間22:00-22:56放送期間1972/04/20 ~ 1972/07/27
原作 クローニン「地の果てまで」
出演 近藤 正臣、二谷 英明、中野 良子、木村  功、奈良岡朋子、大原 麗子、南風 洋子
解説 ギャラクシー賞第21回期間選奨受賞作品。

(映画では)東宝作品  遠い明日(あした)監督神代辰巳
( 1979年・映画・カラー・97分 ) ※未ビデオ化
  原作:A・J・クローニン「地の果てまで」 監督:神代辰巳 脚本:馬場当 出演:三浦友和/若山富三郎/いしだあゆみ/宮下順子


アーチボルド・ジョゼフ・クローニン(Archibald Joseph Cronin, 1896年7月19日 - 1981年1月6日)は、スコットランドの小説家、劇作家、ノンフィクション作家。

クローニンはダンバートンシャイア(Dunbartonshire)のCardrossのRosebank Cottageで生まれ、
早熟な学生であり、1914年、グラスゴー大学で医学を学ぶための奨学金を得て、
1916年から1917年にかけて、第一次世界大戦のイギリス海軍外科医として働くため休学し、1919年に首席で大学を卒業。
その後、南部ウェールズの鉱山町トレデガー(Tredegar)で開業する。この時の鉱山業の職業上の健康被害調査は、後の小説、
ウェールズを舞台にした『城砦(The Citadel)』や、ノーサンバーランドを舞台にした『星は地上を見ている(The Stars Look Down)』に。

処女作『帽子屋の城』も頑固一徹でほとんど冷血漢ともいうべき父親とその三人の子供の対立として描かれ、娘の一人は家出をし、一人は自殺して果て、さらに息子は父親の後妻と出奔してしまうという悲劇を。「スペインの庭師』では一人息子をきびしく育てる父と妻の不貞を。
『城砦』では子供のいない夫婦のアンドルーとクリスチンを。青年医師アンドルーの情熱と挫折、再生の物語が熱く描かれています。

地の果てまで、等、自分の読んだ他の作品を列記しておきます。
城砦(The Citadel、1937年) - 日本語訳:中村能三(新潮社)、竹内道之助(三笠書房)
青春の生きかた(Shannon's Way、1948年) - 日本語訳:竹内道之助(三笠書房)
スペインの庭師(The Spanish Gardener、1950年) - 日本語訳:竹内道之助(三笠書房)
若き日の悩み(The Valorous Years、1950年) - 日本語訳:竹内道之助(三笠書房)
人生の途上にて(Adventures in Two Worlds、1952年、自伝) - 日本語訳:竹内道之助(三笠書房)



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