弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

バグダッドで大規模掃討作戦

2007-02-11 23:26:50 | 歴史・社会
産経新聞による報道
「AP通信によると、イラク駐留米軍報道官は7日、深刻な宗派対立による流血が続くイラクの首都バグダッドでの武装勢力に対する大規模掃討作戦を開始したと言明した。同通信は、最終的に投入されるイラク治安部隊と米軍の規模が8万5000人にのぼるとしており、米軍増派に国内で反対が強まっているブッシュ米政権にとっても威信をかけた作戦となる。」

先日バグダッド・バーニング2(アートン社発行)を紹介したばかりです。
この本の中で、著者のリバーベンド(ハンドル名)が実際に遭遇した掃討作戦(強制家宅捜索)の様子が描かれています。詳しく引用してみましょう。
2006年2月11日の数日前、リバーベンドはいとこのJ(16歳)の誕生パーティで、その日はおばの家に泊まります。

夜中の午前2時過ぎ、携帯電話が不通になっていることに気付きます。
「Jは突然警戒するような表情をし、何かを思い出したように『あー、これはー』と声を上げた。『R、あなたの横にある電話をチェックしてみて』私は横にある固定電話の受話器を上げ、息を殺して発信音を待った。何も聞こえない。
『前にもこういうことがあったわ』Jは続けた。『この地区が掃討作戦にあったとき』
最初、私には何も聞こえなかったけれど、そのうち自動車か何か乗り物の音がゆっくり近づいてくるのがわかった。Jは飛び上がって彼女の父親を揺り起こしに行った。

私はアンモ・Sが外に出て、道に面した門の大きな南京錠を外している音を聞き、『どうして鍵を全部はずしてしまうの、J?』と闇の中で叫んだ。『もし3秒以内に門を開けなければ、けだものたちがドアを壊すからよ。やつらはその後庭も家のなかも荒らし回るのよ』

もう午前4時だ。
部隊が近づくにつれ、外の騒音はだんだんと大きくなってきた。ドアを開けろと怒鳴ったり、ドアを銃でガンガン叩く音がときどき聞こえてきた。
この前おばの地区であった強制捜索では、彼らの住む通りからだけでも4人の男性が連れ去られた。二人は20代初めの学生で、一人は法学部、もう一人は工学部の学生だった。そして、三人目は60代初めのおじいさんだった。罪状も告げられなかったし、何かもめたわけでもなかった。ただ外に出るように命令され、白い小型トラックに乗せられ、他の地区からの男の人たちのグループと一緒に連れ去られた。家族はそれ以来彼らの消息を聞くことはなく、彼らが死体で発見されることを予測して、日に何回も死体保管所を訪れている。

午前5時過ぎ
彼らがやって来た。・・・・・つぎの瞬間、彼らは家の中にいた。突然家は、ドカドカと足を踏み鳴らし、あちこちの部屋に押し入って怒鳴り散らす見知らぬ男たちでいっぱいになった。もうめちゃくちゃだった。
突然、二人の男が居間に入ってきた。一人が私たちにカラシニコフ銃を向け、『お前らのほかに誰かここにいるか?』と、おばに吠えた。
   ・・・・・
突然外で誰かが大声で何か叫び、それは終わった。侵入してきたのとほぼ同じ速さで彼らは立ち去った。

後で知ったところでは、この日襲撃のあいだじゅう、アメリカ軍がこの地区を包囲して奴らを守っていた。これはアメリカ軍との共同作戦だったのだ。

おばの地区からだけでも、少なくとも12人の、19歳から40歳までの男たちが連行された。裏の通りには、50歳以下の男のいる家などひとつもない。弁護士、技術者、学生、ふつうの労働者達は、みんな新生イラクの『治安部隊』によって連行されてしまった。彼らに共通する唯一の事実は、彼らがスンニ派の家族であることだ。」

リバーベンドが体験したのと同じことが、今バグダッドの全域を舞台として繰り広げられているということでしょうか。
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