弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

圧力容器の冷却方法

2011-03-29 10:17:04 | サイエンス・パソコン
タービン建屋から海へ向かうトレンチから大量の汚染水が見つかったことで、事態は深刻になっています。
タービン建家地下の溜まり水の由来は圧力容器内の燃料棒であることが元素分析から明らかですが、トレンチの溜まり水はまだわかりません。燃料プール放水のオーバーフロー分も含まれていることでしょう。
今後トレンチの水量がさらに増大するとすれば、それは圧力容器の冷却用に送り続けている水が起源であることに間違いありません。
15日の記事「2号機は悪い方向に向かっている」で書いたように、15日の朝方、私が眠れなくなった原因の一つが、圧力容器に注入し続ける水の行く末でした。
(1) 圧力容器内の水位はあっという間に下がるようだが、崩壊熱のみでそんなに水は蒸発するものだろうか。
(2) 外部から海水を注入しているということは、注入した分に等しいだけ圧力容器から外に水(と水蒸気)が排出されているはずだが、それは格納容器(と圧力抑制室)内に収まりきるのだろうか。
(3) 格納容器内へ排出された水蒸気は、圧力抑制室内でどの程度凝縮して水になるのだろうか。水蒸気のままで内部にたまったものは、格納容器の圧力を上げる方向に働くのではないか。
(4) 格納容器内に排出されて水となった部分についても、どんどんたまったら格納容器一杯になってしまうのではないか。
(5) 結局、(3) の余剰水蒸気、(4) の余剰水は、格納容器から出さざるを得ないが、どこに貯めているのだろうか。

現時点で、
・圧力抑制室内にはまだ水が満杯になっていないと推定されるのか。
・タービン建家地下とトレンチ内に漏れ出した水は、どのような経路で漏れだしたのか。
という点については明らかにされていません。しかし、早晩、圧力抑制室内は満杯になると想定されていたはずですから、そのための手は当然に打っておくべきです。

私は、現在の圧力容器冷却の方法に名前を付けました。「掛け流し」です。
事故当初は「海水掛け流し」、最近は「真水掛け流し」に変わりました。掛け流しである限り、格納容器内には水が増え続けます。
これをはやく、「循環冷却」に変更しなければなりません。
循環冷却するためには、熱せられた水を二次冷却水で冷却する必要があり、そのための既設系統としては、復水器内の冷却システムと、残留熱除去系の海水冷却システムがあります。しかしそのどちらも、現在はポンプを起動することができません。

本日の朝方、私はひとつの方法を思いつきました。
「トレンチにたまった水を圧力容器に送り込む」のです。
トレンチにたまった水は現時点では冷えているようなので、取り敢えず冷却媒体として機能します。そして、トレンチの水がオーバーフローして放射能汚染水が海に流れ出ることも防止できます。

取り敢えずはひとつの提案として。


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10 コメント

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注水しても原子炉水位が上昇しない理由 (xls-hashimoto)
2011-04-02 16:24:33
原子炉冷却材浄化系(CUW)のポンプや熱交換器等の機器は、原子炉建屋2階にあります。

これらの機器の配管の高さは、炉心頂部より低い位置にあります。

したがって、原子炉冷却材浄化系のバルブが完全に閉まっていないと、サイホンの原理により、この高さ以上に原子炉水位は上昇しない事になります。

原子炉冷却材浄化系は、次の機能を有しています。

1.炉水の浄化
2.炉水の復水器への排水

2.炉水の復水器への排水は、起動時・停止時に制御棒駆動水等が炉内に流入して水位が上昇するので、この余分な水を、排水するために行われます。

今は、自動停止で排水中に、突然停電したため、バルブが開いたままになっており、注入した水が復水器へ流れっぱなし状態になっていると思われます。

また、タービン建屋内でその配管にヒビ等ができ、そのからトレンチに漏れ出たものと思われます。
原子炉冷却材浄化系 (ボンゴレ)
2011-04-02 17:15:08
xls-hashimotoさん、コメントありがとうございます。

上の記事の図面に、原子炉冷却材浄化系を書き加えてみました。機械工学便覧の図面を元にしたのですが、これで間違いないでしょうか。

冷却材浄化系のバルブが現時点で開いている可能性があり、圧力容器に注入している水がこの系統に流れ込んでいるというわけですね。そのまま復水器まで流れ込むだろうし、途中の配管に亀裂が入っていればそこから流出するだろうと。

私自身は、タービン建家地下やトレンチに溜まっている汚染水が、どのような経路で流出したのかの推測をまだ目にしたことがありません。xls-hashimotoさんの推測は、どのような理由に基づいているのか、教えていただくとありがたいです。またこの推測は、東電も共有している推測なのでしょうか。
さらに、この推測に立つ場合、対応策はどのように考えられるのでしょうか。

よろしくお願いいたします。
注水しても原子炉水位が上昇しない理由 (xls-hashimoto)
2011-04-03 11:06:11
原子炉冷却材浄化系を書き加えた図面に、更新されていないので確認できません。

燃料プールは、燃料プールだけで閉ループになっています。残留熱除去系(RHR)には、つながっていません。蒸発した分、新しい純水が補給されるだけです。

「女川2号機 原子炉冷却材浄化系 系統概要図」が下記URLです。
http://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2006/08/23c2.pdf

「ろ過脱塩器」から「再生熱交換器」に行く途中に、上に上がって左に折れる所に、右に折れタービン復水器に排出する配管があります。
バルブが付いており、運転中は常時閉になっており、タービン復水器に排出される事はありません。
原子炉起動時・停止時に余剰水を排出するのに開きます。
今は、原子炉停止したので開いていると思います。

これらのポンプや熱交換器は原子炉建屋2階の、それぞれ遮蔽された小部屋にあります。
これらの配管を含めた機器の標高は、炉心(燃料)の標高より低いので、サイホンの原理で注入した水は、自然にタービン復水器に抜けてしまうことになり、炉心(燃料)頂部は露出することになります。

「女川2号機 原子炉冷却材浄化系 系統概要図」でわかる様に、原子炉冷却材浄化系は給水系に戻されて原子炉に戻ります。
したがって、格納容器から出てタービン復水器に至るまでのラインでバルブを閉めれば、このラインからの流出は無くなり、給水系のノズルを超え原子炉水位は上昇していく物と思います。

ループを作って炉水を冷却するためには、原子炉水を主蒸気ノズルから溢れさせ、主蒸気ドレン配管から復水器に排出させるようにします。
ただし、この配管の口径は小さいので水量が確保出来るかどうかは、検討の余地があります。

ためなら、給水系から溢れさせ、原子炉冷却材浄化系の再生熱交換器を経て復水器に排出させるようにします。
これでも、燃料上部4m位までは水を張れます。


この推測は、タービン建屋の線量が高いと報道された時から思っています。
私の伝えられる範囲には伝えましたが、いまだにあのような状況になっているのは、私の推測がまるっきり的外れか、残念ながら対策本部までは届いていないと思います。

原子炉が毀損していたら、こんなもんじゃすまないと思います。
冷却材浄化系の修正 (ボンゴレ)
2011-04-03 12:00:06
xls-hashimotoさん、詳細な解説をして戴き、ありがとうございました。
図面を修正しました。もし修正版が見られないようでしたら、ブラウザで「更新」をお願いします。

原子炉冷却材浄化系については、戻り系を二股とし、左側は給水管に戻し、右側は戻し弁経由で復水器に戻すような図面としました。
この「戻し弁」が現在開いている可能性があり、そのために圧力容器内の水がこの系統を経由して復水器に漏れ出ているのではないか、ということですね。

残留熱除去系から核燃料プールへ行くループは削除しました。このような系統は存在しないのですね。確か、新聞記事か何かを参照して書き入れたものと記憶しています。

報道に接する限りでは、シロウトの私でさえ「シロウト集団が対応しているのではないか」と疑うような状況が続いています。
しかし、記者会見に出てくる武藤副社長は、東大卒で原子力発電の専門家であるようですね。
どうにも理解できない状況です。

xls-hashimotoさんの提言が対策本部まで到達し、適切な対応が取られることを切に願っております。
注水しても原子炉水位が上昇しない理由 (xls-hashimoto)
2011-04-03 12:58:32
「BWR(沸騰水型原子炉)概略フローシート」が下記URLに掲載されています。
(「流体工学」誌1973年10月号に記載されたものだそうです)

http://ow.ly/i/9sVU/original

今、対策本部は、電源を復旧し各種の本設ポンプや熱交換器を動かし原子炉を冷却しようとしています。

しかし、これは止めた方が良いです(あくまでも私見です)。

原子炉は、核燃料の上部が露出し、炉水温度はわかりませんが、今の注入水量で落ち着いています。
と言うことは、復水器に排出され溜まった水を、仮設配管(ホース)で原子炉に戻してやれば、冷却ループが完成します。

これで、充分です。

もし本設の残留熱除去系を動かして原子炉を冷却しようとすると、この配管の中を1,000mSv/hを超える水が流れる事になります。

残留熱除去系海水系配管は、口径も大きく、原子炉建屋内の人が立ち入るエリアにも敷設されています。

これらの周りの雰囲気線量率が、高線量になってしまい、復旧工事の支障になってしまいます。

また、本設の機器の復旧には、それらの機器が健全である事を全部確認しなければなりません。
そんな事、いつ終わるかわかりません。

それらの機器にアクセス出来るかも、まだわかっていません(原子炉建屋に人が立ち入ったと、まだ報道されていません)。

人手をかけずに、注水と放水を閉ループで出来る様にし、建屋外部の線源除去と除染をした方が良いです。

ただ、これって、時間はかかるけど、金はかかりません。金のかかる物を持っている人は、使ってみたくなるんですよね・・・・・
冷却水循環化の方策 (ボンゴレ)
2011-04-03 13:34:29
xls-hashimotoさん、コメントありがとうございます。

原子炉のフローシートをご紹介戴き、ありがとうございます。このような図面を探していたのですよ。
ただし、
・原子炉冷却材浄化系においてxls-hashimotoさんがおっしゃっていた右股経路と「戻し弁」が記載されていない
・原子炉冷却材浄化系が、再循環ポンプ系からの分水ではなく、圧力容器底部から直接取水している
という点で異なっているようです。
また、圧力容器から残留熱除去系までの経路が不明でした。

> 原子炉は、核燃料の上部が露出し、炉水温度はわかりませんが、今の注入水量で落ち着いています。
> と言うことは、復水器に排出され溜まった水を、仮設配管(ホース)で原子炉に戻してやれば、冷却ループが完成します。
> これで、充分です。

というご意見は、私が抱いているイメージと一致しましたので安心しました。
私は上の記事で「トレンチの溜まり水を圧力容器に戻したらいいのでは」と提言しましたが、復水器の溜まり水を戻してもいいわけです。

本日の日経朝刊によると、「フランスのアレバから、汚染水を一時的に保管する組み立て式のタンクや放射性物質除去装置の提供を受け、除染した水を再び原子炉に注ぎ、仮設の循環冷却装置とする仕組み」が検討中であると報じられています。
報道で「循環」を目にしたのはこれが最初です。
この方法でも良いのですが、少なくとも1週間でできる対策ではないですね。機材をフランスから空輸するにしても、現地で組み立てて配管するのに2~3週間かかりそうでやきもきします。
直ちに復水器あるいはトレンチから圧力容器に戻したらいいと思うのですが。
注水しても原子炉水位が上昇しない理由 (xls-hashimoto)
2011-04-03 16:08:55
>・原子炉冷却材浄化系においてxls-hashimotoさんがおっしゃっていた右股経路と「戻し弁」が記載されていない
右股経路(復水器への排出ライン)と「戻し弁」があり、停止時にその様に機能していると知っている人は、ほとんどいませんし記載される物もありません。
いたら、こんな状態がこんなに長く続かないでしょう。
ただし、原子炉建屋に、まだ、誰も立ち入っていないとしたら、バルブは閉められません。

>・原子炉冷却材浄化系が、再循環ポンプ系からの分水ではなく、圧力容器底部から直接取水しているという点で異なっているようです。
また、圧力容器から残留熱除去系までの経路が不明でした。
残留熱除去系は、原子炉再循環系から分岐しています。1973年だと1号機しか稼働していないので書き損じたものと思います。
また、残留熱除去系は、いろいろな運転モードがあります。
1.原子炉停止時冷却系(RHR)
2.低圧注水系(LPCI)
3.格納容器冷却系
4.他(今回、原子炉隔離時冷却系(RCIC)が働き、タービンを回した蒸気がサプレッションチャンバー(圧力抑制室)に排気されました。この熱を取り除く運転モードで、電源喪失で機能しませんでした。結果、サプレッションチャンバー内の水は100度近くになり冷却機能を喪失しました。)

残留熱除去系のポンプは原子炉建屋地下2階にあり、モーターはその上に乗っかっています。ここにどれほどの水が溜まっているか不明です。
今、これを動かそうとしていますか、そんなに簡単に動くとは思えません。

せっかく原子炉が落ち着いているのだから、本設にこだわらず、仮設でバランスポイントを見つける事が一番です。
それから、全体の攻め方を決めれば良いです。


>本日の日経朝刊によると、「フランスのアレバから、汚染水を一時的に保管する組み立て式のタンクや放射性物質除去装置の提供を受け、除染した水を再び原子炉に注ぎ、仮設の循環冷却装置とする仕組み」が検討中であると報じられています。
報道で「循環」を目にしたのはこれが最初です。
外に出て行っているのは、今すぐ止めなければなりません。いろいろやるのはそれからです。
循環冷却をどのように復活させるか (ボンゴレ)
2011-04-03 20:42:34
xls-hashimotoさん、またしても詳細に解説頂き、ありがとうございました。

さきほど、テレビで東電の記者会見を見ていました。「放射能の封じこめに至るまで、どのような見通しを持っているか」という記者からの質問に対し、回答者は
「復水器を空にするのに数日、タービン建屋地下の溜まり水を復水器に移すのに数日、その後タービン他建屋の放射線の推移を確認した上で、タービン建屋内の機器調整に入る。(循環冷却のための)残留熱除去系の機器は原子炉建屋内にある。」趣旨の回答をしていました。
上記回答では、「原子炉建屋内の機器修理に入るための手順見通し」がまったく語られていません。従って、「現時点で見通しは存在しない」ということになるのでしょう。

何で残留熱除去系にこだわっているのか分かりませんが、この方針であれば数ヶ月かかってもおかしくありません。

復水器内の水を圧力容器内に戻すための仮設設備が構築可能なのであれば、まずはその方向で走り出すのが正解だと私も思います。
Unknown (きなやん)
2011-04-04 21:56:33
>だめなら、給水系から溢れさせ、原子炉>冷却材浄化系の再生熱交換器を経て復>水器に排出させるようにします。
>これでも、燃料上部4m位までは水を張れます。

給水系からは水張りはできません。
CUWは、給水系に繋がっていますが、繋がる直前に逆止弁がついています。即ち、給水系に水張りしても、逆止弁があるため、CUW系に水をためることはできません。

MS系を使うしかないと思いますが。
注水しても原子炉水位が上昇しない理由 (xls-hashimoto)
2011-04-05 00:04:19
>給水系からは水張りはできません。
>CUWは、給水系に繋がっていますが、繋がる直前に逆止弁がついています。即ち、給水系に水張りしても、逆止弁があるため、CUW系に水をためることはできません。

との事ですが、御前崎にある2号機は、100AのCUWの戻りが150AのRCICにつながり、それが450AのFDWの逆止弁の後につながっています。福島の2・3・4・5号機も似た様な出力なので逆止弁の後につながっていると思います。
CUWにも、つながる前に逆止弁が付いているので、逆流することはありません。
CUWの戻りで、戻せます。


タービン建屋の溜まり水は、どこから漏れたのかを考えますに・・・・

多分、原子炉建屋(天然岩盤)とタービン建屋(人工岩盤)が揺れた際、不等変位(左右逆方向に揺れたor離れた(前後逆方向に揺れた)orタービン建屋が跳ねた(上下逆方向に揺れた))を起こしたため、配管にとんでもない加重がかかり毀損したと思われます。
したがって、漏れてる場所は、原子炉建屋を出てすぐ・タービン建屋に入ってすぐの場所(タービン建屋1階給水加熱器エリア内のMSトンネルエリア)だと勝手に思ってます。
そこから、原子炉建屋とタービン建屋の間に出来たすき間に流れ込んでいったか(この可能性は少ない)、すき間が出来なかったらタービン建屋のトレンチ内に流れ込んでいったものと思われます。

ピットから出てる黒い水の勢いは、どこかでストームドレン(雨水排水管)に流れ込んで、その配管から出ている様に思われます。
ヒットにヒビが出来て、あんなに綺麗に丸穴が開くとは思えません。


CUWの排水は、復水器には流れ込んでいません。
なぜなら復水器に溜まった水は、外の復水タンクに戻せるほど線量が低いですからです。
これは、運転中にタービンを回して水に戻った、通常の復水だとおもいます。


2・3・4・5号機ではタービン建屋の1階廊下に、原子炉建屋の入口(エアロック)があります。
この入口が、どれだけずれているか非常に興味があります。

しかし、まだ、この入口はいつ開けられるかわかりません。
この入口を開けないとRHRポンプに近づけません。

RHRポンプは、どっぷりと水に浸かっていると思います。
放水で原子炉建屋5階面(燃料プール・ウエル・DSピット以外)に落ちた水は、床のファンネルと階段から階下に降りていき、RHRポンプのある地下2階に溜まっていくからです。


循環水系を回復すると、溜まり水を復水器で冷却することが出来ます。
それを、原子炉に戻してやれば良いと思います。

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