弁理士の日々

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前置解除後の審尋が原則中止に

2014-04-20 14:44:21 | 知的財産権
拒絶査定不服審判請求と同時に明細書等の補正を行うと、まずは前置審査にかかります。前置審査官が審査を行ってやはり拒絶理由が解消していないとなると、前置が解除され、その後、審判官合議体が審理を行います。

今まで、前置解除されると例外なく、審判長から出願人に対して「審尋」が行われていました。前置審査官による「前置報告書」が添付され、その前置報告の内容に対して意見があれば、「回答書」を提出しなさいという指令です。
前置解除通知が出願人に届いた後、審判の審理が開始されるまでにはタイムラグがあります。審理の順番待ちです。出願人は、審判官合議体に追加の意見を出したいとの希望を持っている場合も、順番が回ってくれば「審尋」が送られてくるので、それから回答書の準備すればいい、というスタンスでした。

ところが、今年3月28日、「ルールが変わった」というアナウンスが特許庁からありました。
前置報告を利用した審尋について
平成26年3月  特許庁 審判部
『平成26年4月以降は、これまで行ってきた、原則全件に対する前置審尋の運用を改め、前置審尋については、審判請求から審理を開始するまでに時間を要する技術分野など、前置審尋が有効な場合についてのみ行うこととします。』
『1.前置審尋を送付する対象
前置審尋の送付は、審判請求から審理を開始するまでに時間を要する技術分野の前置報告書が作成された事件を対象とします。
当面、前置審尋の運用を行う技術分野
医療、バイオテクノロジー関係の技術分野』

以上のアナウンスによると、要するに、「医療、バイオテクノロジー関係の技術分野以外の分野については、前置解除後の審尋を行わない」と読み取れます。

私はつい最近まで、このアナウンスに気づかなかったので、気づいてびっくりしました。

比較的最近に前置解除通知を受け取った案件があったので、IPDLの「審査書類情報紹介」で調べたところ、前置審査官による前置報告書をダウンロードすることができました。従って、審判官氏名通知を受け取る前でも、何らかの「上申書」を作成して提出しておくことは可能です。
また、「審判官氏名通知」を受け取った段階は、審判官の合議が速やかに終了する段階である可能性があり、もし意見を言いたいと考えているのであれば、審判官氏名通知を受け取ってすぐに審判長に電話し、「意見を言いたいので時間を与えて欲しい」とお願いする必要があります。

これからは、前置解除通知を受け取ったら、以下の3つのうちのいずれを採用するか、出願人と相談して決めなければなりません。
(1)審判官は決まっていないが、取りあえず前置報告書の内容に対する反論を審判長宛の上申書として提出する。
(2)審判官氏名通知を受け取ったら遅滞なく、審判長に「意見を言いたい」と連絡してお願いする。
(3)何もしないで審判官の合議に任せる。

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